第4回
Smallies!


 Hello, Anglers of Japan! 
  今回は、アメリカ北部でもっともポピュラーなゲームフィッシュを紹介しよう。この魚が高い人気を誇るわけは、その魚が持つ力強さと賢さ、そしてそれをキャッチするためのテクニックがアングラーに求められるからだと思う。だから、この魚を釣るために世界中のフィッシング・ファンがアメリカにやって来るのだ。
  今日紹介するのは、日本でも人気が高いと聞くスモールマウスバス(Micropterus dolomieui)だ。
 
  スモールマウスは単純にスモールマウスと呼ばれることもあるが、いくつかのニックネームもある。たとえば、Smally(スモーリー)、Browny(ブラウニー)、Bronzeback(ブロンズバック)などとも呼ばれている。どれもこの魚の体型や体色の特徴から名付けられたものだ。
  ラージマウスについては、特にアメリカ南部において、Hog(ホグ)と呼ぶアングラーもいる。それはデカく膨れあがった魚体を見てホグ(野ブタ)をイメージして名付けたニックネームらしい。でも、南部の人たちの英語は訛っているから、ホグを“Hawg(ハゥグ)”と発音する人も多い。
  さて、スモールマウスの話に戻そう。
  私はスモールがもっともよく釣れるフィールドの1つであるレイク・セントクレアの畔に住んでいる。つくづく感じることは、「私はラッキーなのか!?」ということだ。このレイクは基本的にクリアーでシャローも多く、ほどよいカレントに恵まれている。スモールが定住するにもっとも適しているといわれている環境だ。ラージマウスもいるにはいるが、スモールとの比率は10:1と少ない。レイク自体は24マイル×26マイルとやや小さめ。ショアラインはサンドボトムで、ストラクチャーとなるロックも多数点在している。
  これを聞いてすぐにピンとくる読者もいると思うが、このレイクは産卵に適している地形が多い。だから、あらゆる種類の魚にとって、住みやすいコンディションにあると考えていい。しかも、スポーニングシーズンともなれば、10ヤードごとにベッドがある状態だ! ただスゴイのひと言につきる。
  しかし、このレイクにはクローズド・シーズン(禁漁期間)があり、6月の第2週までは釣りができない。シーズンがはじまったときにはスポーニングのベストシーズンは終了しているが、それでもスポーンの遅いバスを見つけることが可能だ。
逆にいえば、スモールはポストスポーンからの回復が早いので、食欲を回復したバスたちがベイトフィッシュを捜し回っている状態もありうる。
 私はこのレイクでフルタイムのフィッシング・ガイドをやっているから、どの時期にどこから釣りはじめればいいのか理解しているつもりだ。6月の第2週めは、もちろんベッドを捜しにショアラインを探索ことからはじめる。だが、私の背後でベイトをチェイスするバスのスプラッシュも聞こえるから、ベッドだけを攻略してばかりはいられない。
 
第10回
Northern Open 第1戦で2位入賞

2005/08/11
待ちに待ったBASSノーザンオープンが開幕。今年は出だしから好調だ
第1回
Fishing on Lake St. Clair

2002/03/09
 
第2回
With Mickey Bruce

2002/06/13
 
第3回
Walleye, another great game-fish

2002/07/15
 
第4回
Smallies!

2002/08/28
 
第5回
Monster Fish

2004/03/12
 
第6回
KVD Interview

2004/05/20
 
第7回
Northern Open 第1戦
2004
2004/05/20
 
第8回
Northern Open 第2戦
2004
2005/01/11
 
第9回
Northern Open 第3戦
2004
2005/03/15
 先に書いたシチュエーションで効果的なルアーは、スピナーベイト、チューブ系ソフトベイト、バイブレーションとジャークベイトだろう。私のフェイバリットは、グラブにジグヘッドのコンビネーションだ。ガイドのときにもお客さんに薦めているテクニックがあって、それはこのルアーをキャストしたら水面直下までフォールさせて、あとはそのレンジを保ちながらステディー・リトリーブすること。つまり、スイミングだ。シンプルなメソッドだし、実によく釣れる。日によっては、このメソッドだけで100尾を超えることもあるほどだ。
 
 シーズンが進むにつれて、スモールはディープエリアへと落ちる。スポーニング時は4〜10ftボトムにステイしているが、夏になると12〜20ftに潜ってしまうのだ。
  夏の代表的なテクニックは、チューブとジグヘッドのコンビネーションでのドラッギングだ。サンドボトムにあるハンプをねらってドラッギングするが、風が出た場合は、ロックエリアに移動することが多い。どちらにせよ、このレイクは基本的にフラットなので、ボトムにハンプを見つけたら、そのスポットには必ずベイトフィッシュやバスがステイしているのだ。

  スモールに加え、このレイク・セント・クレアでは、マスキー(muskie or muskellunge。学名はEsox masquinongy)が釣れることでも有名である。なんといっても、マスキーはこのレイクにおける最大のプレデターなのだ。マスキーの特徴は、カミソリのように鋭い歯と、全長4ftで30〜50ポンドにもなるその巨大な魚体にある。
  今年、私は日本人のお客さんを連れてガイドに出たとき、彼はそのマスキーの迫力に圧倒されていた。私が1ポンド半ほどのスモールとファイトしていたとき、なんとボート際で4ftほどのマスキーがそのスモールにバイトしてきたのだ。見た感じ、30ポンドは余裕で超えていた。彼もそれを見て驚いていたが、マスキーはすぐに口からスモールを吐き出してどこかに行ってしまった。
  「もしかすると、またバイトするかもね」と言ってそのスモールをフリーの状態にしていると、今度は水面近くを泳いでいるスモールにまたマスキーが飛び出した。だが、この巨大なマスキーはまた諦めて帰っていた。この日本人のお客さんは「ソルトウォーターのビッグゲームを目撃したみたいだ」と言っていたが、本当にそんな感覚だった。
 これがbasswaveに掲載されるころには、ここセント・クレアは日が短くなり、気温も下がり、低気圧も徐々に入り込んでいるだろう。だが、この状況は再びスモールが楽しい時期に突入しはじめたとも考えていい。レンジ的にはスポーニングに近い水深にまで上がってくるから、エキサイティングな釣りが楽しめる。特に9〜10月に暖かい日が続けば、スモールは2〜4ftにまで上がってくるのだ。こうなれば、1日100尾を超えるスモールを釣ることができるようになる。
  この調子でスモールは12月ころまで釣れ続ける。晩秋が一番釣果に恵まれる時期ではあるのだが、北方に位置するセント・クレアの冬は厳しいので、本格的な寒さが訪れるとアングラーの方が滅入ってしまう。

  今秋、私はB.A.S.S. Bassmaster Northern Opensに参戦するためにアメリカ北部を転々としている。セント・クレアのスモールを釣る機会はやや少なくなるだろうが、トーナメントで転戦した先でも写真を撮影してくるので、次回からはオープン参戦記なども紹介するつもりなので、期待してほしい。
  また、私に対して質問があれば、ドシドシ編集部にまで送ってほしい。

JON BONDY (オフィシャルサイト