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パート6:レッドスナッパー・フィッシング

 日本のみんな、こんにちは。12月に入り、日本ではそろそろ暖房が必要なシーズンになっているのだろうか。ここフロリダは、12月といってもまだ冬といった感じはしない。Tシャツで歩いている人をたくさん見かけるし、ここではコートを一着も持ってない人だっているくらいだ。それだけフロリダの緯度は低い。私が住むゲインズビルから南へ2時間行ったオーランドではまだ夏の終わりといった雰囲気が残っている。さらに2時間南下すれば、フロリダ州最大のナチュラルレイク、レイク・オキチョビーがある。ここではもうすでにバスのスポーニングがはじまっているころだろう。来シーズンは1月から2月にかけて、FLWツアーがオキチョビーで第1戦、レイク・トホ(オーランド)で第2戦を開催し、BASSバスマスターツアーの第1戦がレイク・トホ、第2戦がハリス・チェイン(リーズバーグ)で開催される。いよいよ来シーズンのプロトーナメントがキックオフとなるのだが、幕開けのフィールドとしてフロリダが選ばれているのは、やはりスポーニングの早さにあるのだろう。
 さて、今回はレッドスナッパーという魚の話をしよう。レッドスナッパーは……まぁ手の平サイズの小さな魚だが、ルアーでも充分にねらうことができる。“手の平サイズ”と記してはみたが、これは私がいままでにこのサイズしか見たことがないから。インターネットで調べてみたら、なんと20Lb以上に成長し、フロリダレコードは46Lb8ozもあるらしい!(レッドスナッパーの参照はコチラ)。学名はLutjanus campechanus というのだが、日本には同じ魚がいないようだ。だたしLutjanusとはフエダイ科のことなので、沖縄以南に行けばこの魚に近縁な種に出会えるかもしれない。
 レッドスナッパーは汽水域に棲息する魚種のようで、フロリダでは秋になると特に沿岸部や河川内で見ることができる。

 つい最近、私は友達のシャノンと一緒にフロリダ州中部の西岸にあるウィーキーワッチー・リバー(Weeki Wachee River)へ釣行した。このリバーの源流は湧水で、水は基本的にクリアなのだが、どこか緑かかった透明感がある。川沿いには大小の住宅が建ち並んでいるが、メキシコ湾に注ぎ込むあたりはアシ原と椰子の木で覆われている。このリバーの他にもこの周辺には湧水で形成されたポンドやリバーが数多くあり、シルバースプリングスは全米でも有名な美しい避暑地だ。こういった場所では州法が厳しく、ノン・ディスポーザブル(non-disposable:使い捨てではないもの)ルールが徹底されていて、飲料水にしても水筒に入れて持参しなければならない。缶やペットボトルの持参は処罰の対象となってしまうのだ。
 シャノンは数年前からスナッパーフィッシングに入れ込んでいて、彼の予想では今回の釣行でお互いに5フィッシュ・リミットはキャッチできるだろうとのことだった。10in以上であれば持ち帰ることが許されていて、釣れればもちろん持ち帰ってディナーにする予定だ。シャノンのフェイバリット“ホール”は、上流部に遡ったプール状の場所で、その中でも「ミモザ・ツリー(ネムノキ科の木)の横からキャストするのがイイんだよ」と力説された。  
 
 彼のホールに到着すると、なんてことはない。縦横15mくらいの小さな丸いエリアだった…… が、水深は30mと思わず尻込みする深さだったのだ! 15m四方の煙突の上に立っている感じをイメージしてほしい。魚はそんなディープレンジにフワフワと浮いていて、どう見ても7〜8in程度。クラッピーやブルーギルくらいのサイズなのだ。バイトもギルにそっくりだった。ブルブルッと激しいアタリ方をするのだが、一瞬で終わって、しかもフッキングには至らず、エサのエビだけを盗んでいく。移動してみるがそこも不発で、結局メキシコ湾に近いエリアで多少サイズアップしたレッドスナッパーを見かけたが、10inに満たないものだった。
 結局、10in以上のレッドスナッパーを釣りあげることはなくボートを岸に寄せた。それで「今日はホントに天気のいいワンダフルな日だったなぁ」と、ひとまず釣果のことは忘れて天の恵みに感謝することにした(笑)。釣果は余裕で100尾を越えたのだが、キーパーサイズはゼロだった。エサのエビも最初はそのままつけていたが、そのうち小さくちぎってつけるようになった。あのサイズならこれでも充分に釣れたのだが、冷静に考えるとビッグサイズをねらうという目的を大きく外れていた。まぁ、とりあえず目の前の魚を釣ることを優先してしまうのもアングラーの性だったりするのだが。
 シャノンと私はハイスクールの同級生で、かれこれ50年来の付き合いになる。……ん? もうそんなに歳を取ったのかッ!?  自分のことながら信じられん。

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