ジョージのピットは有名フィールドのように大きくはないが、なにしろプライベートな場所なのでプレッシャーが低い。私は何度かこのピットで彼と一緒にバスフィッシングを楽しんだものだ。そしてある日、彼はすっかり意気投合した私に、ピットへ通じる道の鍵を渡し「いつでも好きなときにここで釣りをしてくれ」と話してくれたのだ。
彼の死後はしばらくご無沙汰をしていたのだが、彼の妻であるモニカに連絡したところ「ぜひ彼の分もピットで釣りを楽しんでほしい」という言葉をいただいた。そこで私は、知人の息子ティムとその友人のAJを連れて、久しぶりにジョージのピットを訪れたのである。もちろん、手には彼が残してくれた形見の鍵を握って……。
現在大学生のティムは、それほど熱心なバスアングラーではない。子供のころの彼は釣りよりもバスケットボールや野球に夢中だったからだ。そんな彼から珍しく「一緒に釣りに行きたいんだ」という申し出があった。そこでちょうど1週間前、ティムと彼の友だちのアヤと私はウィサラクーチ・リバーに行った。ところが、釣果は決していいとはいえないものだった。私とアヤでなんとかカワイイバスを2尾釣りあげたが、ティムはノーフィッシュに終わった。私は「彼もなんとかあのゼロを挽回したいんだろう」と感じていたので、今回ここに彼を誘ったというわけだ。
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