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 長い間アップデートしていなかったので、「もうハーレーズ・ダイアリーは終わったのかなぁ!?」と思った方もいたのでは……。長らくお待たせしたが、今回からページもリニューアルし、復活することとなった。スミスさんは多忙なので不定期連載となるが、今後は可能なかぎりフロリダの釣りを中心とした話題を届けてくれるとのことなのでお楽しみに。
 今回は、スミスさんの地元フロリダ州で1月29〜2月1日にかけて開催されたバスマスターツアー第1戦ハリス・チェーン・オブ・レイクス大会の模様をお送りしよう。


 パート2: CITGO BASS Bassmaster Tour第1戦 スペシャル・ルポ

 知っている方も多いだろうが、バスフィッシングのメッカとしてアメリカでも名高いフロリダ州はそのほとんどが湿地であり、このため大小数多くの湖が存在している。規模の大きなレイク・オキチョビーやレイク・トホ(トホペカリガ)、セント・ジョーンズ・リバーなどでは、BASSやFLWなど数多くのメジャートーナメントが開催されている。今回バスマスターツアーが開催されたハリス・チェーン・オブ・レイクス(以下ハリス・チェーン)も、そんなメジャーレイクのひとつであり、かつては莫大な賞金額を誇ったBASSメガバックスも開催されている。
 この湖は、地元では単に「ハリス」や「ハリス・チェーン」などと呼ばれている。ただし、「ハリス」という場合はレイク・ハリスだけを指すことも多い。チェーンというのは「続きの」という意味で、ハリス・チェーンというのは複数の湖の総称なのだ。事実、ハリス・チェーンにはレイク・ハリス以外にもレイク・ユースティス、レイク・グリフィン、レイク・ドーラなどが存在している。これら大小いくつかのレイクがキャナル(水路)で繋がっているのだ。
 近年減水傾向にあったハリス・チェーンはキャナルで繋がっていながら、航路が浅すぎて全湖を廻ることができなかった。ところが、徐々に水位が回復し安定したこともあって、昨年からBASSの大会で使用されている。私の自宅があるゲインズビルからハリスへは、クルマで約1時間。生まれ故郷のワイルドウッドという町からは30分くらいだ。それだけに私も身近に感じるレイクの1つといえる。また、ハリスといえば先にも書いたBASSメガバックスがかつて開催された場所で、1987年から1989年の3大会には日本からコウジ・ヨシダ(吉田幸二さん)が参戦したことで有名だ。思えば、このとき私は初めて彼と会ったので、今となってはいい思い出である。


 
 さて、ツアー第1戦の話題に移ろう。私はアメリカ人だが、Basser誌での連載をしていたこともあって日本人との付き合いが長い。そのため、日本人アングラーの上位入賞を大いに期待している。タカヒロ・オオモリ(大森貴洋さん)は、今シーズン初戦からトップ12名が進出できるセミファイナルに残って、素晴らしい滑り出しを見せた。予選の2日間と打って変わり、決勝の2日間は天候が悪くなったが、それはオオモリを含め残ったアングラー全員にいえることで、そんな過酷な状況に挑戦するようすを見るのは観戦者としては非常に楽しい。事実、この時期のフロリダ州は天候の変化が激しく、このためにバスのコンディションも目まぐるしく変わってしまう。前日に見つけた数多くのスポーニングベッドからバスがまるで姿を消してしまうということも珍しいことではない。それだけに、

アングラーたちは状況の変化にフレキシブルに対応するためのスキルが求められるわけだ。
  そして、この移り気なフィールドは必ずしも地元勢に有利とはいえない。私が住んでいるゲインズビルの地元アングラーといえばショウ・グリズビーとバーニー・シュルツなのだが、悲しいことに彼らを含めた地元フロリダ勢はひとりもトップ12に入ることができなかった。非常に悔しい。
 大会3日めを12位で終えたオオモリは、「天気が悪かったし、バスもスローだったけど、僕自身にとってはいいトーナメントだった。センコー(ヤマセンコー)でベッドフィッシュをねらったけど、思うようにバイトさせられなかった。まぁ来週、スミス・レイクの大会(ツアー第2戦)で頑張ってみるよ」と語っていた。この「バイトにいたらなかった」という部分は、どのアングラーにも当てはまっていたようで同じような話を多くのアングラーからも聞いた。

 その反面、こういったバスを見事にバイトさせたアングラーたちが上位入賞を果たしたといえるだろう。大会中には2尾の10ポンドオーバーが釣り上げられたこともあり、ハリスはこのところの汚名を返上したといえるだろう。なぜなら、昨年のツアー第1戦しかり、1992年にここで開催されたインビテーショナル戦の優勝ウエイトは14Lb10ozという低いものだったからだ。あのころは7尾リミットで日程は3日間である。これは現在で
 

もBASSの最少ウエイト記録として残っている。このときの勝者はU.S. Openで3度の優勝を経験しているマイク・フォークスタッドだ。当時、ハイドリラを駆除するために州は化学薬品(除草剤)をレイクに散布した。この除草剤の影響でバスが激減したため釣果に影響がでたといわれたが、以来、ハリスは10余年を経て再生し素晴らしい釣り場として蘇った。これは今回の結果が証明しているといえるだろう。
 大会3日め、昨年のクラシック・ウィナー、マイケル・アイコネリは13Lb5ozをウエイインしトータルを49Lb13ozにすると、前日の4位から一気に首位へジャンプアップした。その他ベテラン、トミー・マーチンがファイナル6に残った。大会を通して素晴らしいウエイトが続出したが、特に最初の2日間ではビッグウエイトが続出したためドラマチックな展開だった。アルトン・ジョーンズは初日10Lb13ozをウエイインし、2日めにはマーク・リスクが10Lb3ozをウエイインして会場を湧かせた。彼らはもちろん各日のビッグフィッシュ賞(1000ドル)を獲得した。
 そして今回、バスマスターツアー第1戦を制覇したのは「近年スランプにはまっていた」と自ら語ったマーティー・ストーンで、優勝賞金の10万ドルを手中にした。これで彼がAOYレースやクラシック・クオリファイに一歩近づいたのは間違いない。

 ストーンのパターンを紹介しておこう。彼は「(プラの日程も含めて)ここ1週間、スピナーベイトでは1尾も釣れなかった。でも昨日、フリッピングへのバイトが弱まって、スピナーベイトにスイッチしたら、4Lb6ozのグッドサイズが釣れた。競技終了の30分前のバイトだった。それで今日(最終日)は朝からスピナーベイトを投げた。45分くらいやって反応がなくて、フリッピングにチェンジしてもダメだった。そのとき、『負けても勝ってもスピナーベイトでいくか!』って決めたんだ」と語っていた。時としてプロアングラーは、自分がもっとも得意とするテクニック(ストーンの場合はフリッピング)を捨てて、ひらめきを大事にすることがある。今回ストーンは神のお告げからか、スピナーベイト・パターンで勝負に出て優勝した。この彼の決断力と集中力は、今後の釣りに大きく影響していくだろう。
 

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