2005年08月26日

リー・シッソンとロン・トロイヤーの話--その2

 「ウッドクランクの神」であるリー・シッソンとは、ある仕事を通じて知り合った。あのとき以来、何度も電話で話していたし、メールも交換したし、ルアーや釣りだけでなく、いろんなことを話合ってきた。そんなシッソンとはじめて会って話す機会に恵まれた。それが7月下旬にラスベガスで開催された“世界最大のフィッシングショー”ICASTだった。

 私もリー・シッソンと同様に仕事でこのショーを訪れていた。ショーの初日からリー・シッソン社のブースに行って、直接会って話しをしたかったのだが、仕事を優先せざるをえなかったため、トイレに行った帰りにちょっとだけ彼のブースを除いてみようと計画を立てた。広い会場に何百社のブースが並んでいるためシッソン・ブースを探し出すのは至難のワザだ。そこで予め、ICAST用に発行された出展ブースの一覧が掲載されたガイドブックを見て、ブースの場所を確認したワケだ。
 ところが、何度始めから終わりまで読んでも、ひっくり返して読んでもリー・シッソン社が出展していると書かれていない。だが、出発の2週間前に電話で話した際には「私もブースを構えているから、遊びにおいでよ」と誘ってくれていた。「ジャパニーズルアーを見たいからいくつか持ってきてくれ」と言われたので、四苦八苦しながら、ルアー選びもした。なのに、そのガイドブックにはシッソンの文字がない。「まさか、病に倒れたのでは!? それとも倒産したのか!?」と悪い方向にばかり考えてしまった。会えるチャンスは開催されている3日間のみ。悩んでいる間時間が経過し、初日が閉幕。私はホテルに戻ることになった。
 
 ショー2日め、初日と変わらず仕事をしていると、日本の釣り具問屋の魚矢さんの営業さんと出会った。彼は会場をあっちこっちと歩き回り、いろんなブースで商談をしていた。彼らはリー・シッソン社のルアーも卸しているので、リー・シッソン社は出展してないのかと尋ねると、「共同ブースを構えていた」と言うではないか。なんとその共同ブースの相手は、basswave内のイカしたルアー紹介コーナー「Daddy, I've found something!」にも出てきたソーンウッド・ルアーズだったのである。
 それで数時間後、トイレ休憩で仕事から一時離れた際に、ソーンウッド/リー・シッソン・ブースに立ち寄ることにした。
 
 私が会場内を歩いていると、ソーンウッドとリー・シッソンのロゴが見えてきた。すると、大柄な男がこっちを向いて、顔をくしゃくしゃにして笑顔を作り、手を挙げて、「遅かったじゃないか」と言った。リー・シッソン本人である。
 会場には魚矢さんのバイヤーだけでなく、他の問屋やショップ、日本からの出展メーカーの人たちもいて、日本人は少なく見積もっても20-25人はいただろう。なのに、シッソンは、向こうから歩いてくる私を見つけるなり、どうしてbasswaveのDODGEとわかったのだろうか。
 「ハーイ」といった感じで挙げていたグローブのように大きな手を下ろしながら、そのまま握手を求めるモーションに入った。
 「そろそろ、来るころじゃないかと思ってたよ。君が来ると言ってたから、いつ来るのかと思って、昨日は仕事に集中できなかった(微笑)」と切り出した。
 「スイマセン。どうしても仕事を向け出せなくて、今もトイレに行った帰りなんです」と言えば、「忙しいのはお互い様さ。気にするな」と優しくブースに迎え入れてくれた。
 
 すると、私たちの後ろでゴソゴソと荷物の整理をしていた男が仕事を終えて、声をかけてきた。
「DODGE、やっと会えたじゃないか。ソーンウッド・ルアーズのロン・トロイヤーだ」。彼ともメールでやり取りはしていたが、顔を合わせたのは今回がはじめてだった。


次回に続く。

Posted by DODGE at 2005年08月26日 18:48 in 釣り