2005年08月24日

リー・シッソンとロン・トロイヤーの話

今日のオススメ曲「Toby KeithのAs Good As I Once Was」

 長らくお待たせしました(待ってないか……)。Editor's Note復帰第一弾は、数年間封印していた釣りネタです。ここへはbasswaveとbw-clippingから観覧できるようになってるけど、basswaveから見に来ている人が多そうだから、あえて釣りネタを避けていた。あっちもこっちも釣りだと疲れちゃうからね。でも、ついにパンドラの箱を開けよう。禁断のストーリーを書き記したい。
 先月末、クランクベイトだけをまとめたムックが発売された。バスがスレきった時代にクランクベイトブームが巻き起こって、その最終形としてあのムックにいたったと考えられる。しかし、「どこからどこまでがクランクベイトなのか!?」ということだ。私はそんな疑問をクランクのエキスパートに投げかける絶好の機会に恵まれた。今回はそのときのエピソードを書いてみたい。

 トップウォーターベイトやワームの定義は簡単でも、クランクベイトの定義は難しい。リップが搭載されていればクランクかといえば、そうとは限らない。最近はトップクランクといったジャンルもあるし、シャッドラップもクランクベイトだというから、クランクはルアーカテゴリーの中でもトップクラスに幅が広い分野なのだ。
 そこで7月下旬リー・シッソンとラスベガスで開催されたICASTで夕食を共にした際に「クランクベイトの定義」を聞いてみた。
 シッソン曰くクランクの定義は、「クランクベイトの形状をしていて、ステディーリトリーブしたときに、ウォブリング、またはウィグリングをすること」が基本。言うまでもなく、シッソンはクランクベイトを作り続けて30年の大ベテランだ。現在彼の工場を借りてルアーを生産するソーンウッドルアーズのロン・トロイヤーは、「リーは、世界一のウッドベイトビルダーだ」と本人を横にして語った。それを聞いていたシッソンは何も否定せず、「私ほど経験を積んだウッドベイトビルダーはいない」と言えば、トロイヤーが「ウッドベイトに関して、彼が知らないことはない」と補足を入れる。
 面白いことに、トロイヤーはシッソンと毎日顔を交わしているワケで、彼のルアーも毎日見ているから、なんらかの影響がソーンウッドのルアーに出てもいいのに、デザインに関してはトロイヤーはオリジナル路線を突っ走っている。ルアーメーカーは個性を出さなきゃ自滅するが、ここまで個性の強いビルダーも珍しい。それはシッソンも然りだが……。
 
 だが、このオヤジたちはルアー作りに関して、ものすごいモチベーションを持っている。食事にはジップベイツの営業マンも誘って、4人で夕食を食べたのだが、ジップベイツが世界に誇るマグドライブシステムをシッソンとトロイヤーに伝えると、興味津々にそれを二人でディスカッションをはじめた。その間、私とその営業マンは巨大ハンバーガーにビッグバイトしていた(微笑)。
 マグドライブについては、最初に私が食事の前にシッソンに解説しておいたので、食事の席では、シッソンがトロイヤーにマグドライブを説明した。「これはシャフトの中にウエイトが入っていて、キャスト時に動いて後方に来る。リトリーブをスタートすると潜るからウエイトが前方にきて、ウエイトはマグネットでくっつく」と言えば、微かにボディーから透けて見える内部構造を二人で見入り、ニヤニヤと見つめ合うと、「これがジャパニーズ・テクノロジーか」と感心の表情を除かせた……。
 
次回へ続く。

Posted by DODGE at 2005年08月24日 14:47 in 釣り