2005年04月01日

3.26決戦の見所はNEOの板橋戦だった

今日のオススメ曲「Craig Morgan のThat's What I Love About Sunday」

 3.26といえば、HERO'Sや新日本プロレス、GAEA JAPAN、大仁田厚“卒業”興行など首都圏ではプロレスと格闘技の興行戦争が勃発していた。HERO'Sや新日プロは数万の観客動員を記録し、大仁田興行も2200人という超満員札止めを後楽園ホールでやってのけた。そんなファンの取り合いとなったこのビッグデーに板橋区グリーンホール(旧産文ホール)を舞台にNEOが「We are NEO第7戦」を開催。観衆は200人で超満員という小さな会場だったが、僕の3.26一押し興行はこれだったと断言してもいい。

 興行は淡々と進行し、NEOらしい和やかでエンターテイメント性に満ちた雰囲気が今回も充満していた。全6試合中第5試合までは普通のNEOっぽいものだったが、第6試合が見所だった。
 もちろんメインイベントに予定されたのは、TWF世界シングル選手権60分一本勝負、田村欣子vsザ・ブラディーだった。運動量の多い田村サマがブラディーに負けることはないと信じていたが、事件が発生。田村サマがブラディーをリングの対角線に振り、自分も相手に走り込んで攻撃を加えようとした際、田村サマはブラディーの目の前で足を挫いて倒れ込んでしたまった。その後田村サマは場外へと雪崩落ち、足を抱えながら痛みを堪えた。もちろんリング周辺にいた選手が駆け寄り、田村サマの容態をチェックに入る。しかしセコンドの介入によってタイトルマッチが無効、または反則行為と取られかねないと懸念し、田村サマは必死にリングへと戻ろうとする。
 リングに戻った田村サマだったが、ブラディーも怪我の重大さが気がかりになり、技を思いっきりブチ込めないでいる。
 そこに試合の立会人を務めていたライオネス飛鳥と井上京子が裁定に入る。怪我の重さを考慮し、「今後もプロレスラーとして活躍するために」無効試合に申請。もちろん田村サマはこれを不服とし、試合続行を申し入れるが受け入れられず、無効試合が決定した。
 
 田村サマの怪我がどれほどなのかは発表されていないが、足首を負傷したのはわかっている。その度合いによっては手術も視野に入れた治療が必要とされる可能性もあり、今後の動向に注目したい。
 
 この試合のポイントは、やはり田村サマの試合続行不可能という珍しい展開だ。彼女はタイトルマッチを成立させようと必死だったのはわかるが、事故や大きな怪我が少ない彼女にとってこの無効試合は試合で負ける以上に悔しかったのかもしれない。なんせ3.26は興行戦争とまで謳われた大激戦の一日。プロレスファンの取り合いになるのは必至で、それでなお、印象に残る興行を魅せなければ、せっかくこの興行を選び足を運んでくれたファンに申し訳が立たない。
 女子プロレスのファンは男子プロレスのファンより優しい。プロレスをショー、またはエンターテイメントとして充分に理解している。試合中に起こる少しの失敗は、“愛嬌”として許してくれる。エンターテイメントの流れのひとつとして認めてくれている。だが「それは彼女たちを甘えさせている」と取れる。プロレスとはジャレ合いではなく、危険なスポーツである。技の展開ひとつで選手の命をも奪いかねない。つまり、技が完全に決まらず相手が完全に受け身を取れなかった場合、大事故に繋がるケースもある。選手が失敗を繰り返しても、観衆が軽く受け流してくれるため、そんな優しさに甘えてしまい技術、精神レベルが停滞している選手もいる。
 何が言いたいのかといえば、田村サマをそのまま続行させず中断させた京子と飛鳥の判断は正しかったということだ。中途半端なムーブしかできないのでは、観衆も納得がいかないだろう。無効試合裁定も納得しにくいが、試合のレベルを落としてしまう、またタイトルマッチの面白さが半減する部分を考慮すれば、無効試合の決定は正解だった。田村サマは女子プロレス界の中でもトップクラスであるため、技術的なミスは少ないが、逆にそんな選手がいい動きを見せられなかったときほどファンの落胆は大きい。
 この一戦は田村サマの怪我の回復をみて再度行なわれるらしい。それなら、選手、関係者、ファンもその試合へ感情移入できる。これでまたひとつ必見興行が増えた。田村サマの復活に期待したい。
 

Posted by DODGE at 2005年04月01日 14:32 in プロレス・格闘技