2004年01月15日

江戸和竿に惚れた

Date: 2003-07-24 (Thu)

今日のオススメ曲「HatesphereのUnder Water」

 ある日突然、江戸前の釣りに憧れて、ハゼ、キス、アナゴ、コチ、カワハギ、テナガエビ、コブナ、タナゴなどを無性に釣りたくなり、行き着いたところは江戸和竿だった。要するに竹竿、英語で言うならバンブーロッド。この竹製のサオを和竿と呼ぶ。その中でも江戸後期あたりから江戸前の魚を釣る目的として進化したのが、江戸和竿……だと思う。これに関する資料は山ほどあるから、読み返せばわかるけど、今日は面倒なので江戸時代に出来上がったロッド・ビルディングのスタイルとしておく。
 
 もともと他人と同じことをするのが好きではない性格だったので、マニア間でウケている江戸和竿の江戸前フィッシングには、なにか熱いものを感じた。「やるしかねーじゃん」と一気に気合いも入った。ハゼ、キス、カワハギ釣り人口は多けれど、それを和竿で釣るという人は俄然少ない。
 まず第一に、サオ1本の値段が高い。最低4〜5万円で、現物を見て1番高価だったのは45万円。有名な竿師さんの“作品”なら数百万円するらしい。
 また、和竿はカーボンやグラスロッドに比べ取り扱いが面倒で、修理にも時間がかかる。重いのも難点の1つだ。アユの和竿もあるが、カーボン製に比べると雲泥の差がつくほどヘビーで、筋肉痛になること間違いない。
 
 だが、「この江戸和竿で釣りをする」という行為自体が、粋なのだ。関西出身のボクにとって、“粋なヤツ”という称号は、なかなか手にすることのできないもの。ボクが「粋でいなせ」な素振りを見せるというのは、完全に東京に魂を売ったことに相当する。非常にビミョーなポイントなのだ。
 JBワールド戦に参戦中の赤嶺吉蔵さんは大阪府出身だが、十数年近く東京に住んでいるため、一見すると関東のニオイを漂わせている。本人曰く「親しい仲間とお酒が入った場では、関西弁に戻りますよ」と言っていたが、普段はビジネスの関係もあり関東人になりすましている。
 W.B.S.に参戦中の狩野敦さんも東京に移り住んで長い。しかし彼の場合、仕事の都合で和歌山県と東京を行き来する生活を送っているため、関西気質を現在でも持ち合わせている。
 
 現在、東京湾と河口付近の釣りは、テナガエビからハゼへと移ろうとしている。宮本英彦さんによれば、今年のキスは、東京湾でも大漁だったらしい。
 江戸和竿のハゼ竿と言えば、特徴ある作りをしている。糸巻きと呼ばれる角みたいな突起が2つ付いていて、それにラインを巻き付けるシステムになっている。その角は象牙製だったりする。サオは2本継ぎが主流で、中通し仕様。数年前にバスロッドで流行ったインナー系の源流だ。やたらとクールである。ボクのような20歳代のお兄ちゃんが、この竿を持って乗り合い船でハゼ釣りなんかに出たら、周りの人から「粋だね〜」と言われるだろう……っていうか、言われたい。
 「粋だね〜」と言われたら、「当ったりめぇよ〜」と返すのが下町言葉のキャッチボールであって、その後の会話も進むのだろうが、ボク的には「当たり前やん」とか、「江戸前の釣りには、やっぱり和竿でっせ」と返してみたい気もする。
 
 そんなボクがバイブルとしているのが、以前つり人社から発行されていた「Mr.ローガン」なる雑誌。「かっこいいオヤジの釣り雑誌」がスローガンだった。読めば読むほどに引き込まれる「かっこいいオヤジがやる釣り」が満載で、和竿の話も毎号掲載されていた。ところが、ローガンは第8号を持って休刊してしまった。なんとも寂しいことである。最後の編集後記にはスポンサー不足のため、これ以上作れない、のようなことが書いてあった。そりゃそうだろう。あれは今まで見た釣り雑誌の中でも、マニアが読むものだったから、どう考えても発行部数はすぐには伸びないし、スポンサーも付きにくい。でも休刊は悲しかった。あれ以来、1ヶ月に1号ずつ繰り返し読むようにしている。
 
 和竿と江戸前の釣りについては、また書く機会がたくさんあると思うので、今日はこのあたりで終わりにしておこう。

Posted by DODGE at 2004年01月15日 18:38 in 2003.5〜8月