2004年01月15日

赤いベルトの行方

Date: 2003-05-22 (Thu)

今日のオススメ曲「ピンク・レディーのうたかた」
 
 5月5日、横浜アリーナにて全日本女子プロレスの35周年興行が開催された。日本プロレス史上もっとも長寿な団体である。
 そもそも、すべては日本プロレスからはじまった。力道山が発足人である。同団体でデビューを果たしたアントニオ猪木やジャイアント馬場は後に己の団体を旗揚げする。そんな彼らも昨年30周年を迎えてたが、全女の歴史にはかなわない。男子プロレスが目立つ同業界にあって、女子プロレスはいまだマイナーではあることは確かだ。
 ところが、世間的に関心感の少ない全女に大変な事態が発生した。同興行でWWWA世界シングル王座戦としてチャンピオンの中西百恵(全女)と浜田文子(元アルシオン、現フリー)が相まみえたが、中西が敗れたことでベルトが全女から外へ流出することとなったのだ。
 ベルトの流出は他団体、男女を問わずに起こりうる時代である。それくらいで驚愕しているようでは、今のプロレス図式を楽しめない。
 しかし流出したベルトに問題がある。全女35年分の歴史を含んでいるためだ。
 
 まず、女子プロ界には現在数団体が存在するが、全女以外は新興であり、長いものでも10年。老舗とは歴史が違い過ぎる。文子はフリーであるため、もしこのベルトが旗揚げ数年の幼団体に持ち込まれたとき、果たしてその組織は35年分の重みを受けきれるのか、ということだ。
 浜田が奪った事実も深い。彼女は若干22歳でプロレス歴5年ではあるが、グラン浜田の娘である。グラン浜田はメキシコ遠征時代に知り合った女性と結婚し、誕生したのが文子。南米系の軽やかな身のこなし、グラン浜田譲りのプロレスセンス、そして日本女子にはない恵まれたレスラーとしての体格。女子プロ界の未来を背負うべき人材だ。
 そのレスラーが新チャンピオンとして君臨した。普通のレスラーがそのベルトを賭けて試合に挑むことすら難しい状況なのだ。
 しかも彼女はフリーであるため、どこのリングでも試合を行える立場にあるから、全女の面目は潰れてもおかしくない。
 そんな文子がメインに出場しているのがGAEAジャパンで、長与千種、ライオネル飛鳥、アジャ・コング、豊田真奈美など、元全日本女子プロレスOGが集う場所だ。彼女たちはみな、全女の価値観に合わず飛び出した者。外に出て行動を起こしたレスラーが集結する団体である。
 文子が「全女の赤いベルトなんて、今は価値がないからいらない」と言って返上すれば、これもまた35年の歴史を踏みにじられたと同然(WWWA世界シングルは赤い皮地で仕上がっているため、赤いベルトと呼称されることが多い)。
 一番恐れているのは、上記GAEAの元全選手たちが、GAEAのリング上で寄ってたかって、このベルトにツバを吐いたり、踏んづける挑発行為が起こることである。ゴミ箱に捨てるのも最高にいい展開になるだろう。
 
 こうなれば、全女対GAEAの対抗戦は、避けては通れない。GAEA凱旋1試合めとなった日、文子はベルトを持参しなかった。これは彼女が赤いベルトをリスペクトしたのか、それとも持参するほどの価値はないと判断したのか……。
 どちらにせよ、今後のGAEAの行動1つで、女子プロ界全体が動くカギとなる。

Posted by DODGE at 2004年01月15日 18:34 in 2003.5〜8月