2004年01月14日

野地の除名処分と今後のゆくへ

Date: 2003-04-16 (Wed)

今回のオススメ曲「ピンク・レディーの渚のシンドバッド」

 野地竜太が極真会館から除名された。組織からは、昨年11月に脱退した数見肇、そして3月に脱退したニコラス・ペタスに続き3人めの大物選手の離脱である。
 野地は4月4日に極真本部と話し合いを持ち、その後10日、メディアに向けて脱会のfaxを流した。これには「キックボクシングのようなグローブ系プロ選手としてやるのが目標で、練習に専念するために脱会届けを提出した」のようなことが記されていたが、極真側は、このfaxが「多方面の人に混乱を招いた」や野地は極真会館総本部特待生であったことから、「門下生の手本となる立場をわきまえていなかった」などを理由として、円満脱退ではなく、14日、除名という処分を下した。

 野地はK-1や一撃に参戦するなど精力的にプロのリングに上がっていた。空手道を突き進むより、選手生命の短さから考えても、プロの世界に飛び込みたいと思っても不思議ではない。
 先日極真から円満脱退したペタスは、昨年6月のK-1でセルゲイ・グールと対戦した際、自ら放ったローキックで右足のスネを骨折。全治3カ月と診断されるも、現在でもボルトが入っており、摘出手術をしてもリハビリ、練習を繰り返せば、復帰するには数年かかる。
 そこで今年30歳になるペタスは脱退(現役引退)を思案し、タレント活動を進めていく決断を下した。野地とはまったく逆の結果である。 
 確かに、野地は極真会館の次世代ヒーローとして君臨すべき人材だった。フランシスコ・フィリオ、グラウベ・フェイトーザ、ペタスに続く極真第4の刺客とまで言われた。事実、野地は186cm/106kgとヘビークラスであり、このサイズで立ち技界の日本人選手は現在数えるほど。極真には日本人の体型にあったミドル級勢が多い。一方でヘビー級となると「極真の中にも何名いたか」というレベルになってしまう。特に極真会館総本部としても、野地を貴重な存在としていたに違いない。だから、なおさら空手界としても残念だろう。
 しかしプロキック界も体格の大きい選手が不足していることから、野地の本格参戦を望んでいたはずである。
 
 K-1をはじめとしたキックボクシングのリングでは、いくらグローブ空手やフルコンタクト空手の練習を積んだからとはいえ、そう簡単に勝てない。むしろ、勝たせてもらえない。リングの形をどう自分の武器にするのか、相手との間合い、セコンドとのやりとり……。空手とは技術的に異なる部分が多すぎる。
 まったく対応できていないわけでもない。野地はプロデビューから3連勝した経験をもつ。K-1ジャパン勢の砦、武蔵とは判定までもつれ込んだ(野地の判定負け)。
 野地にしてみれば、「今のジャパンであれば、優勝の可能性もなしにあらず」と捉えていてもおかしくない。ただしそれには、プロとしてその技術を習得すべく、綿密な練習が必要だ。除名にはなったが、逆に極真という背負うものがなくなったおかげで、羽を広げて闘える。
 
 野地は、「どの団体から誘いがあったわけではなく、自分の意志で外に出た」とコメントしているが、今後K-1を主戦場とすることはまず間違いないだろう。
 武蔵の持つジャパン最強の称号も手の届くところまで来た。野地の今後の動向に注目したい。

Posted by DODGE at 2004年01月14日 18:27 in 2003.1〜4月