2004年01月14日

アメリカはこんな国

Date: 2003-04-05 (Sat)

今日のオススメ曲「ピンク・レディーのカメレオンアーミー」
 
 バス釣りブームが過ぎ去って8年ほどの月日が流れた。あれ以来多数のバス釣り専門誌が発刊されてきたが、アメリカのバス釣り事情を記載しているのは、ハッキリ言ってB誌だけである。他にもそれらしき記事を掲載しているところもあるが、中途半端というか、「こういう釣りもありますよ」程度の紹介というか……Basser誌以外の方向性は、国内事情をメインに取り扱っている。
 しかしそのBasser誌も大会結果を中心に扱っているため、トーナメントの本質が見えない。「この団体は、こういう人たちが経営しています」とか、格式、一般的人気、運営側の裏事情などドロ臭い部分は少ない。むしろ、そのようなところには触れていない、と言った方がいいのだろうか。

 一言、「アメリカの大会に参戦する」と宣言すれば、格好よく聞こえる。「ぜひ、頑張って、優勝してくださいね」とファンが語りかけそうだ。アングラーは、手を振って空港を後にするのだろう。
 
 旅雑誌やトラベル系ブックでよくあるのは、デスティネーション(行き先)のいい部分ばかりを書いて、悪いところは書かない傾向にある。いいと思っていくわけだから、多少悪くともいい方向に考えてしまう。だが、本当に必要なのは、悪いところや地元の風潮である。「こういうことに気をつけろ」や「あそこは、危険だから近づくな」、「たとえ5分先の場所にいくにしても、タクシーを使うことを薦める」など、そういう情報が一番重要だと思う。
 
 それでなくとも、日本人は平和ボケしている。全員とは言わないが、高い確率で注意感がないというか、鈍感というか、危険が迫っていても感じていない人が多い。そういう人が普通の感覚でアメリカのトーナメントに出場するとどうなるかを考えてみたい。
 
 まず、アメリカは差別の国である。特にバス釣りが盛んな南部は差別意識が非常に高く、好意を持ってくれる人より、差別意識丸出しで接してくる者の方が多い。特に、英語の話せない相手には容赦なく冷たく、卑劣な態度で相手を見下し、サービスの悪さはある意味、規格外である。
 たとえば、ドロ沼に落ちたとしよう。その汚く臭い衣服を着用したまま町を歩けば、どこの国であろうと周囲の人たちはイヤな視線で見つめてくる。アメリカには、そんな視線で日本人を見る土地がたくさんある。ガソリンスタンド、レストラン、スーパーマーケットなど、どの場所に居てもそんな視線を感じることがある。
 最悪なのは、それをまったく感じないで平然と過ごしている日本人たちだ。特に観光客に多い。
 トーナメント・トレイルに参戦するのであれば、一々、そんな差別的視線を気にしていられない。ゆえに、あえてこっちも無視するのがいいだろう。だが、無視をしたことで「オメー、何シカトこいてんだ、オラッ!」と因縁をつけてくる連中もいる。
 
 ここまでは町中での出来事なので通り過ぎて無かったことにもできるが、極めつけは、大会に参戦している選手から差別を受ける事実である。
 聞こえるように、「ここは、お前らが来るところじゃないんだよ」とか、「帰って、バス釣りのマネごとでもやってろ」など異常なほどの差別と敵対心を持っている。アメリカン・ドリームという言葉のとおり、誰にでもビッグチャンスを手にする機会があると同時に、アメリカは閉鎖的な国でもあるのだ。
 並木敏成さんは、B.A.S.S.の旧インビテーショナルに参戦し1年めでTOP150に昇格。そして、次期シリーズにはクラシック出場も決めてしまった。あの国の人たちが、これを快く受け入れたとは到底思えない。見た目には「よく頑張ったね」と言っただろうが、「来年から日本人が参戦できないルールを作れないものか」と真剣に考えていたことだろう。
 懐が小さいと言えばそれまでだが、アメリカから差別意識は絶対になくならない。
 
 トレイルに出るということは、お金と体力、そして精神的にも重労働だ。自動車が壊れたとき、ボートが壊れたとき、盗難に遭遇したとき、対処できるか否かが問題である。これは「英語がちょっと話せる」程度では解決しない。
 盗難に遭った場合、もちろん警察に報告するのだろうが、大会場所を転々とする身のプロアングラーにとって、これはほぼ泣き寝入り状態だ。地元警察もヤル気のない連中が多い。親切なポリスに当たればラッキーだが、「どうせ日本人なんだろ」と見下した目で見る警官は、書類さえも適当に作成するから、事件は解決しない。
 
 危険な地域に踏み込んでしまった場合、アメリカ人アングラーでも死ぬ思いをするそうだ。
 インターネットで読んだ記事によると、Aさんは湖上をボートで走行中故障し、近くのランプに非難した。そこでは地元の子供たちがノベザオで釣りをしていた。スラム街に面する場所だったのだ。Aさんが無言でその場にボートを置いておくと、何をされるかわからない。そこで彼は近くにいた大人に50ドルを払い、自分の車とトレーラーを取りにいって帰ってくるまで、ボートを見張っておいてほしいと頼んだ。彼はタクシーを呼び、1時間かけて車を取りに帰った。戻ったとき、ボートからエレキが消えていたそうだ。またストレージを無理矢理空けようとした形跡もあった。50ドルを渡した男はもちろん消えていた。
 ニューヨークのスラム街はよく映画などで使用されるため想像がつくだろうが、田舎のスラムはまた別モノである。壊れそうな家屋が続き、昼間でも大人が仕事もしないで道を歩いている。目つきは異常に悪い。日夜を問わず、銃声が聞こえることも頻繁にある。道幅は狭く、トレーラーを引いた場合、対向車が来るとギリギリで通れるほどだ。もちろん路面は舗装されていない。汚く、ゴミはあちこちに散乱し、ここを歩くと殺されそうな雰囲気もある。実際、脇見運転をしていると車にぶつかってきて、最初から割れたビンが入った袋を見せて、「割れたからゼニを置いていけ」と恐喝をする。
 英語は話せないがお金は持っている日本人アングラーがAさんと同じ状況に遭遇した場合、どうなってしまうのだろうか。
 
 また、プラのときにランプに車とトレーラーを置いておくと、車上荒らしに遭う。毎回起こるわけではないが、よく聞く話の1つある。
 今までで聞いた中でもっとも笑えた(?)のは、車はそのままでトレーラーだけ盗まれたというケースだ。しかしこれが日本人アングラーに起こったなら、笑っていられない。どう対処すべきかすら迷う、最悪の事態である。
 
 いろんな面で「どうにかなるだろう」と思ってる人は、アメリカのトレイルに参戦しない方がいい。
 -こんな人は特にやめた方がいい-
・英語が話せないことを心配している人
・経済的に余裕をもって行けない人
・根性のない人
・何かあれば、他の日本人アングラーに頼ろうと考えている人
・バス釣りが好きなので、「いつかはアメリカで……」と軽い気持ちで“とりあえず参戦”しようと考えている人
 ただし、挑戦したいのであれば、今がチャンスである。アメリカのバス釣り業界は現在進行形でバブルの絶頂期にある。昨年でそのバブルも崩壊すると予想した人は多かったが、逆に今シーズンはさらに膨らんだ。もう来期はどうなるか予測もつかない状態である。
 多数の日本人アングラーがB.A.S.S.やFLWに参戦することで、メディアのみならず、メーカーや選手も注目しているようだ。
 賞金額に関しても、史上空前の50.0000ドルがFLWツアー・チャンピオンシップにセットされた。通常大会の優勝賞金も今や1.0000ドルは当たり前の時代となった。
 出場するためのノウハウも、本当であれば自分で調べるのがもっとも良いのだが、真剣に渡米を考えている人がいるのなら、basswaveもバックアップしようではないか。
 バス釣りに熱い男(女)を求む。

Posted by DODGE at 2004年01月14日 18:22 in 2003.1〜4月