2004年01月08日

目は気迫を語る

Date: 2003-03-22 (Sat)

今日のオススメ曲「ピンク・レディーでS.O.S.」

 大山峻護がPRIDEのリングに帰ってきた。ヴァンダレイ・シウバ戦でメジャー・デビューを果たすも2連敗。ヘンゾ・グレイシー戦では、あまりにも消極的な試合展開と相手をディスリスペクトした行為に、判定で勝利するもファンからは大ブーイングを浴びてしまう。
 確かに、本人には勝利の二文字しか頭になかった。他の日本人の活躍がなくなった当時のPRIDEで、大山は勝ちたい気持ちでいっぱいだったのだろう。だが、ファンのニーズは勝利するだけでは満たされないのも事実。プロたるものは、観衆を魅了する姿勢も兼ね備えてはじめて評価される。
 たとえばアレクサンダー大塚は、白星から遠ざかっていたが、ブーイングをあまり受けない。つまりそれは、彼自身がファンに魅せたい試合展開があるからで、たとえ空回りで終わったとしても、今の客は気持ちをくみ取ってくれる。
 いわゆる、敗者の美学。内容次第では、負けた選手にも大きな拍手がおくられるのだ。
 勝つだけではダメと念を押された大山がPRIDE25の相手として志願したのは、リングスでその名を轟かせたダン・ヘンダーソンだった。

 試合開始直後、ヘンダーソンは一気に攻め込んだ。不意をつかれた大山はパンチの連打を顔面に受け、一瞬、腰が砕けた状態になる。姿勢を立て直しリング中央へと回り込むが、ヘンダーソンがさらに襲いかかる。
 ここで大山はヘンダーソンとパンチの打ち合いに出た。お互いの首根っこを掴み、パンチを互いの顔に入れていく。高山善廣がドン・フライと打ち合ったあの戦慄のシーンが頭を過ぎった。
 ヘンダーソンもここまで打ち合いになると思わなかったのだろう。数発を喰らった後、彼は首から手を離し後退すると自分の間に入り、体勢を整えた。
 このとき大山は、ヘンダーソンを睨みこんだ。その顔が会場のスクリーンにタイミングよく映し出されると、会場からどよめきが起こった。
 この歓声こそ、大山が必要としていたものなのだ。
 パンチを受けた瞬間、後ろに下がってしまった大山だったが、前にでることが今の彼に必要な魂である。心の強さを証明することがプロとしての意地であり、ファンが求めたもの。
 結果は大山の完敗。ほとんど何もさせてもらえないまま、ヘンダーソンの良さだけが光って試合は終わった。しかし試合に負けようと、ヘンゾ戦で勝利した以上に大山が得たものは大きい。
 観衆の声援こそがプロとして最高の勲章である。それをあの目つきひとつで証明してみせた大山は、これからプロ格闘家としてさらなる意識向上の旅に出なくてはならない。いつまでも負けていては、自分のモチベーションを高く保てないからだ。
 ヘンダーソンを睨みつけたあの目を信じ、大山の次戦に期待したい。

Posted by DODGE at 2004年01月08日 18:21 in 2003.1〜4月