2004年01月07日

無冠の帝王

Date: 2002-12-13 (Fri)

 今回のオススメ曲「ピンクレディーのジパング」
 
 無冠の帝王とはウマく表現したもので、それはどの世界にも存在する。“実力は充分に備わっており、いつ何時トップに立ってもおかしくない存在だが、タイトル奪取だけは成り獲なていない”。そんな選手を“無冠の帝王”と呼ぶ。
 “哀しき天才”と呼ぶ人もいる。

 英語で言うと、a king without a crown。そのままだ……。

  さて、先日開催されたK-1WORLD GP 2002決勝戦に出場したジェロム・レ・バンナも無冠の帝王である。
 彼はフランス出身、身長190cm、体重119kg、現在30歳という格闘技ヘビーウエイト・クラスの選手として、充分過ぎる体格を持つ。
 キックもさることながら、彼も最大の武器は左ストレートである。2000年に開催されたK-1ミレニアムではフランシスコ・フィリオを左ストレートで一発OKし、それ以来、優勝候補ナンバー1の地位をほしいままにしてきた。
 彼は単発の大会などでは勝ったことはあるのだが、ワン・ナイト・トーナメントのGP決勝戦となると、いまだ優勝経験がない。
 
 彼が日本(K-1)で活躍しはじめたのは、1999年からである。破竹の勢いで駆け上がったレ・バンナは、'99年GP決勝戦の準決勝でアーネスト・ホーストに破れ、優勝を逃す。この大会の覇者はホーストだった。
 翌年は名古屋大会で優勝し、決勝戦が行われる東京ドームへの切符を手中とするが、怪我のため決勝に出られず、代わってホーストが出場。またホーストが優勝した。
 2001年GP決勝戦では、流星のごとく出現した怪物、マーク・ハントに1回戦で負けている。
 そして、今年2002年GP決勝戦では決勝に駒を進めたものの、ホーストの右ミドルキックによって左肘が破壊され、再度優勝を逃した。大本命のレ・バンナが破れたときのドームのどよめきは、「またホーストかよ」という見方がおおよそだったようだ。
 
 実は、バスプロ界にも無冠の帝王は存在する。フロリダ州在住のショー・グリズビーJr.だ。現在46歳、トーナメント参戦歴は27年。バスマスターズ・クラシック出場は9回を誇り、単発の優勝は8回を数える。しかし、彼もビッグタイトル制覇にはもう1歩届いていない。
 記憶に新しいところでは、2000年のクラシック3位。また、1993年のクラシックは2位、その他今は無きメガバックスの最高位も2位である。
 そんな彼ではあるが、世界初と言われた10万ドルトーナメント、レッドマン・オールアメリカンでは見事優勝している。しかしレッドマン(現在のBFL)はバスアングラーの登竜門であり、メジャーであるB.A.S.S.こそがクラウンの象徴である。
 
 これは運命というか、神の悪戯というのか……たとえば、ホーストは4度もGP優勝を果たしているし、リック・クランも4度クラシック制覇をしている。ホーストとレ・バンナ、クランとグリズビー、何が違うのかと考えても、実力的には同等。いや、それ以上に見ている人も多い。人気的な部分でも、レ・バンナやグリズビーの方が高い。これは、彼らに課せられた試練なのだろうか。ジャンルは違えど、これら2名の無冠の帝王は、その汚名を返上できるときが来るのだろうか。

Posted by DODGE at 2004年01月07日 16:32 in 2002.11〜12月