2004年01月07日

ライガーはやはり熱かった

Date: 2002-12-05 (Thu)

今回のオススメ曲「中森明菜のスローモーション」

 ライガーをさらに好きになった! 高田延彦の言葉を借りるなら、獣神サンダー・ライガーこそ「男の中の男」。プロレスラーの中のプロレスラーだと思った。
 佐々木健介個人の理由により、健介と鈴木みのるとの試合が流れ、それに名乗りを上げたのがライガーだった。パンクラスのリングに上がることとなったが、ライガーはガチガチのプロレスラーであり、プロレス界きっての財産でもある。その彼が、総合格闘技を重んじるパンクラスの代表格、鈴木と相まみえることとなった。
 
 この試合スタイルを10年近く続けてきた鈴木vs総合格闘技シロウトのライガー。誰がどう見ても、ライガーは不利だ。いくらハイポテンシャルな運動能力を持つライガーでも、1、2ヶ月の練習で10年選手勝てるわけがない。
 もし鈴木が負けるとしたら“プロレス最強説”はまた蘇るが、それ以上に鈴木の人生が否定される。「過去10年間は何だったんだ!?」ということになる。
 「当たって砕ける。胸を借りるつもり」で望めむライガーと、「負けられない。勝って当然」の鈴木。プレッシャーの度合いが極端過ぎる。が、鈴木は自分が負けるとは到底考えていなかっただろう。むしろ、どうやって料理するかが問題だったのではないか。
 一方ライガーは、総合格闘技向けの練習をすればするほど、「勝ちたい気持ち」が高ぶったという。それでこそプロレスラーだ。「当たって砕ける」気持ちで望んでほしくなかった、というのがボクの本心である。
 
 試合は、11月30日、横浜文体で行われた。1分48秒、鈴木がライガーをチョークスリーパーでタップを奪取した。
 しかしライガーは、負けても株を落としていない!むしろ、ライガー株は上がったといえよう。
 パンクラスという、いまだかつてライガーが踏み込んだことのない荒地に一人で乗り込んだ事実。いつものように入場すると、コーナーポストに立ち、存在をアピールした。この日は、戦闘用マスクを被り、上半身は裸、下は総合格闘技選手がよく着用するショートタイツ。普段はコスチュームに身を包むライガーだけに、コーナーでのアピールは、観衆の心を掴むに充分なものだった。
 試合がはじまると、なぜか浴びせ蹴りを出してしまう。「しまった」と思ったそうだ。
 その後、パスガードを取られたライガーは、終始防御のままチョークを喰らう。
 
 彼が「しまった」と思った背景には、「身体が自然に動いた」からと、瞬時に鈴木が対応し、マウントを取られたからだった。
 これがライガーが根っからのプロレスラーなところだ。試合前のアピール、試合の流れを作った浴びせ蹴り、負けっぷり、どれをとっても一流の内容だった。
 ライガーは完敗だったが、勝敗はどうでもよかった。ここに到るまでの経緯、試合展開、試合後の空気、それらのすべてに観衆は満足したはず。だから、ライガーは負けども株を落とさなかったのだ。
 彼こそがプロレスラーだ。

Posted by DODGE at 2004年01月07日 15:52 in 2002.11〜12月