2003年12月16日

高阪剛 v.s. 鈴木みのるの一戦を見逃すな!

Date: 2002-10-28 (Mon)

今日のオススメ曲「HemdaleのDelicious Gorey Fun」

  久々のアップです。長らくお待たせしましたが、今度からもっとアップできるようにします。

 11月5日(火)の深夜2時35分からテレビ東京で放映される「格闘Xパンクラス」は、通常の放送のようにパンクラスの試合を見せるのではなく、鈴木みのる(パンクラス)と高阪剛のルアー釣り対決の模様が放送される。この一戦のレフェリー(というか立会人?)には、夢枕獏さんが抜擢されたらしい。
 この世紀の対決の舞台となったのは、御殿場にある東山湖。当初、両選手ともにバス釣りが好きで有名なことから「バス釣り対決か!?」と思われたが、場所が場所だけに「トラウトではないか」とbasswaveのソースは語る。
 しかし、このマッチメークは、1年前には考えられなかったものなのだ。そもそも高阪は当時リングス所属、鈴木はパンクラス所属であり、今でこそ団体の垣根を超えたドリームカードが組まれているが、それでもリングスとパンクラスは“親”は同じでも、交われない犬猿の仲だった。


リングスとパンクラスの関係とは

 そもそも新日本プロレスのプロレスラーだった前田日明さんが、同団体を離脱。プロレスのマイナス要素であるロープワークや凶器攻撃、場外乱闘などを省き、格闘技のプラス要素のキックや掌底(しょうてい)、関節技を導き入れたリングを築き上げた。それが俗に言う“第1次U.W.F.(旧U.W.F.とも呼ぶ)”であった。
 だが、U.W.F.は大きな負債を抱えたまま倒産。その後、新日本プロレスに出戻りとなった旧U.W.F.の選手を中心に“第2次U.W.F.(新生U.W.F.)”が誕生する。しかし、また崩壊してしまう。この崩壊により、新生U.W.F.は3つに分裂。高田延彦率いるU.W.F.インター、藤原喜明率いる藤原組が誕生し、前田さんは1人でリングスを旗揚げする。
 その後、これらの団体同士の間で小競り合や言い合いが続き、訴訟問題にも及んでいる。
 月日が流れ、藤原組も経営状態が悪化し、離脱する選手が増加する。ここから出た船木誠勝と鈴木みのるを中心に発足・旗揚げ(1993年9月21日)をしたのが、パンクラスであった。
 
 前田日明さんのリングスとパンクラスの因縁はさらに続く。2000年5月25日、都内のホテルにてパンクラスの尾崎社長に暴行を働いたとの罪状で告訴されたのだ。暴行の理由としては、パンクラス側がリングスに極秘でジェレミー・ホーンを引き抜こうとしていた現場に偶々前田と鉢合わせになり、胸ぐらを掴んだ、とのことだった。前田さんはこれ以前にも訴訟問題を起こしており、尾崎社長との仲もよくないことから、リングスとパンクラスが対抗戦や所属選手の貸し出しなどという団体枠を超えた交流は、まったく想像できないことだった。
 
 そして、リングスは2002年2月14日の興行をもっと幕を閉じることとなった。理由としては、同様の興行形式やスタイルを前面に出した団体や興行会社が増え、客足が途絶えたこと。もう1つは、D.S.E.が主催するPRIDEに大勢の選手が流出したことが挙げられる。契約終了と同時にPRIDE側に流れたため、法的には問題ないのだが、いわゆる引き抜きである。アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(リングスKOK2000王者)、ダン・ヘンダーソン(KOK99王者)、ギルバート・アイブル(無差別級王者)、ヒカルド・アローナ(中量級王者)、ヴァレンタイン・オーフレイム(KOK2000・2位)、ジェレミー・ホーンなどがそうだった。主力選手の離脱が相次ぎ、リングスは崩壊した(厳密には活動休止)。
 この崩壊によって“外に出るチャンス”を得たのが、TK・高阪剛だったのだ。
 
高阪剛の魅力 
 TKは柔道をバックグランドにした選手で、リングスでは(たぶん)1994年8月20日、横浜文体での鶴巻伸洋戦がデビューである。'98年にはアメリカに渡り、ケイジマッチの源流であるUFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)へ参戦する。その後、アメリカ・オレゴン州シアトルに渡り修行を続けていた。
 現在彼は日本に戻り、ケビン・ヤマザキのジム(トータルワークアウト)で総合格闘技塾「G−スクエア」を運営するとともに、選手としても活躍している。
 
 高阪が高く評価されるわけは、もちろんリングでの戦歴にある。特に、2000年8月23日、大阪府立体育会館で行われたアントニオ・ロドリゴ・ノゲイラとの一戦は、引き分けになったものの、日本人でノゲイラに負けていない選手は彼だけである。しかも、過去3年間でノゲイラは19試合をしているが、17勝1負1引き分けで、この引き分けは、高阪さんとの試合である(負けた試合はリングス時代のダン・ヘンダーソン戦)。
 最近では、新日本プロレスのリングにおいて封印されていたNWFのベルト奪取をかけてトーナメントが開催され、高阪剛さんは生涯初の純プロレスのリングに下り立っている。彼の試合は10月13日に東京ドームで安田忠夫との対戦で、見事勝利を収めた。
 
 高阪剛のバス釣りに対する思いは人並み以上といわれている。彼がシアトルに一時移住することを決意したとき、実はbasswaveのスタッフに連絡してきたのである。
 「シアトル近郊でバス釣りができるところはありますか?」と聞かれたらしい。
 彼は国内の某団体にプロ登録もしていたというから、筋金入りである。
 現在でも週末になると釣行するという、もしかすると総合格闘技界でもっともバス釣りにハマっている人なのかもしれない。
 
 ちなみに、高阪がTKと呼ばれる由来は……確か、UFCにはじめて参戦したとき、セコンドについたモーリス・スミスが付けたニックネームだったと思うのだが……。
 
鈴木みのるとパンクラス

 鈴木みのるといえば、アマチュア時代から注目を浴びた選手である。輝かしい成績を国体などで残し、新日本プロレスに入門する。その後、アントニオ猪木と第1試合であたるなど、数多くの名勝負を残すが、新生U.W.F.発足とともに新日本プロレスを脱退する。
 このとき、「いつか2人で東京ドームのメーンをやろう」と約束をしたのが、現在、退団騒動を沸き起こしている佐々木健介だ。
 U.W.F.の崩壊とともに、鈴木は藤原嘉明がスタートさせた藤原組に所属する。その後、新日本プロレス時代からの友でありライバルの船木誠勝とともに、パンクラスの旗揚げを行う。1993年のことだった。
 1995年、ウェイン・シャムロックとキング・オブ・パンクラスのタイトルマッチ戦い、第2代キング・オブ・パンクラシストになる。
 
 鈴木みのるのバス釣りのへのこだわりもウワサで聞いている。現在は後輩の指導もされているためあまり釣行できないようだが、バス釣り歴は意外と長い。しかも、彼はあの「トップ堂」の企画で編集者と釣行勝負にも出ている。
 
 鈴木と高阪剛の接点は同じ格闘家として古いようなのだが、現在までに肌を交えたことはない。ただし、リングス休止後、コンテンダーズのリングでタッグを組んでいる。この試合が豪華な選手ばかりなのだ。鈴木・高阪組v.s.渋谷修身・宇野薫組というマニアが泣いて喜ぶカードだった。
 
この釣り対決が持つウラの意味とは!?
 
 プロレスの醍醐味というのは、試合を観戦してナンボのところもあるが、団体同士の絡みや選手同士の因縁、マッチメークやこれからの展開の図式を勝手に想像し、幻想を頭の中に作り上げるところにある。だから、実際に試合が組まれたときの展開が面白くなるわけだ。
 そこで、今回の“TK・鈴木の絡み”とは、ある意味、究極の図式にある。国内ヘビー級最強のひとりとされる高阪が、因縁の図式を超越して鈴木と絡む。前述したが、今までありえないカードの実現なのだ。
 今回はルアー釣り対決となっているが、これを境にこの2選手のリングでの戦いが近づくかもしれない。
 もしTKが釣り対決で負けたとしたら、一時期は同じ釜のメシを食った長井満也(元リングス→フリー→現全日本プロレス)が、TKのリベンジに出るかもしれない!実は、長井もバス釣りファンである。さらには、長井が総合格闘技のリングに参戦し、鈴木と一戦交えるかもしれない図式が成り立つ。
 そういった意味でも、このルアー釣り対決は、釣りファンだけでなくプロレス・総合格闘技ファンも見逃せないものになることは間違いない。

Posted by DODGE at 2003年12月16日 21:31 in 2002.6〜10月