【2日め】

 2日めのパートナーは昨年のWON BASSルーキーオブザイヤーに輝いたというケビン・マーティン。まだ20歳のヤングアングラーでした。サンディエゴから来たというケビンは、この若さにして白と赤の18フィートのレンジャーを引っ張っていました。ケビンは朝から気合充分で、私に「エキサイティングしているかい?」と問うと、私に答えさせる時間もなく、昨日のようすを話しはじめました。どうやら、昨日は8ポンドを釣ってきて、さらにビックフィッシュも取っているとのこと。これは私もエキサイティングしてくる話です。「ドロップショットだ。ワームはコンフィデンスを持っているものがあるからそれをあげるよ。釣り歴はどれぐらいだ?ドロップショットはできるか?」ここにきてようやくドロップショットがメインリグになることとなりました。
 
 スタート後、30分ほどかけてケビンが向かったのは、テンプルバーといわれるエリア。テンプルバーハーバーの対岸でした。点々とグラスがあり、見た目は非常に釣れそうなエリアです。ケビンは先行者を確認すると、「フォークスタッドだ」を言いました。そのエリアには、昨年、一昨年と2連覇を遂げているあのマイク・フォークスタッドが先に入っていたのです。バッティングしないよう少しエリアをはずし、チェックすることにしました。ただ、ひとつ気になったのはベイトの姿が見えないこと。
 「ノーベイト・ノーフィッシュ」プラクティスのときにバイロンから散々聞かさせたあの言葉を思い出します。きっと昨日はベイトが入っていてよい感じだったのだろうなと思いましたが、ここはボーターである彼を信じました。しかし、その周辺のエリアでは魚を見ることはありませんでした。ケビンは昨日良い思いをしていたのでこのスポットに固執してしまっているように見えました。その後も同じようなグラスがあるエリアをランガンしましたが、ノーフィッシュに終わりました。

 もう日が上がって暑くなり始めました。テンプルバー周辺を見切り、ナローズ周辺に移動しました。私が初日に行ったところから程近い、大きなワンドの中のグラスエリアです。ケビンは「ここでビックフィッシュを取った」と私に言い、まだまだチャンスはあると自らに言い聞かせるように私に言いました。私も、「ここはグットスポットだから必ず釣れるよ」と言い、お互い励ましながらキャストを繰り返しました。
12時を過ぎた頃、この時間は集中力が途切れる時間ですが、ようやくケビンに待望のヒット!! 2ポンド程度のナイスフィッシュです。ケビンの集中力はすさまじいものでした。のち同じエリアでケビンが1本追加。私はというと、ストライパーとノンキーパーのみ。
その後、時間いっぱいまで走り回りましたが、結局その2本で2日めは終了しました。ケビンは初日の成績がよかっただけに残念そうでした。ケビンに「バックアップできなくて申し訳なく思う」と言ったら、「そんなことないよ。コミュニケーションも取れたし、グットパートナーだよ」と言ってくれました。さらに「サンディエゴに来ることがあったらまだ一緒に釣りしよう。」とも。明日がんばろうとお互いの健闘を称えながら握手をし、別れました。
一方、妻は1匹のみでウエイイン。本人が釣った一匹とのこと。検量の時は、本人も満足げでした。

 
 
 
 
 
 
 
 【最終日】

 最終日のパートナーは、昨年のU.S.OPENで3位、一昨年は4位に入賞している実力派のマイク・ボールドウインです。マイクにどんな釣りをするのか尋ねると「トップとは6ポンドの差があるから、ビックフィッシュねらいだ」と答えてくれました。マイクは入賞圏内にいるにも関わらず、優勝をねらうとのことでした。マイクの選んだエリアは私が初日にレイクが荒れて行くことができなかったオーバートン。オーバートンはメインレイクと比べ、濁りが入っていて、カバーとなる細い立ち木群が複数あり、今まで釣っていたクリアウォーターの典型的なエリアとはちょっと違った、ビックフィッシュを取るのにふさわしいエリアでした。

 主にその立ち木があるエリアをメインで釣っていました。スピナーベイトをキャストし、立ち木にコンタクトさせながら、バイトを待ちました。またマイクが以前ビックフィッシュを釣ったというポイントに時間をあけて何度も入りなおし、クランクベイトとノーシンカーで丁寧に釣っていました。大きな移動はせず、絞り込んだエリアでの釣りです。
 日も上がった時点でいまだノーフィッシュ。嫌な雰囲気になってきました。「バスよ!どこへいった」とマイクが嘆きはじめたとき、立ち木群でマイクに待望の1匹がヒット。食べているものが違うからでしょうか、お腹が大きな2ポンドのグットコンディションのバスでした。
しかし、残念ながら、その後が続きません。ひたすらスピナーベイトを投げますが、結局その1匹のみで終わってしまいました。

【トーナメントを終えて】

私の成績は3日間トータルで11.35ポンド、85位。妻は初日から大きく順位を下げ、91位でトーナメントを終えました。入賞できず残念なところもありましたが、その一意的な順位はともかく、プロのフィッシングスタイルをはじめとし、自然の寛大さなど、誌面やビデオでしか知らないアメリカのトーナメントを実際に肌で体感できたことはとても新鮮で、非常に貴重な体験だったと思います。
また、今回のツアーで同行した皆さんともとても楽しい日々を過ごすことができ、釣り以外でも大満足でした。環境が許せば、ぜひまたトライしたいと思います。