2005年03月14日

前田日明が係わる「HERO'S」は興行として成功するとして、問題は「WRESTLE-1」

今日のオススメ曲「DAVID LEE MURPHYのLoco」

 元新日本プロレス取締役の上井文彦氏が「有限会社BIG MOUTH」を設立し、プロレスなどのイベントを開催していくとして、そのイベント・スーパーバイザーに選んだのが前田日明だったのは一連の報道にあるとおり。「前田がどうやってプロレスに絡んでいくのか?」と考えていたら、プロレス興行プロデュースの前に格闘技イベント「HERO'S」(“ヒーロー”と読む)を先行開催するらしい。しかし問題はこの大会ではない。「上井氏と前田のタッグは、旧UFWの再興なるか!?」が一番知りたいところなのだ。

まずHERO'S旗揚げ戦のカードを確認しておきたい。
 
宇野薫vsヨアキム・ハンセン\n宮田和幸vsイアン・シャファー
LYOTOvsB.J.ペン\nボブ・サップvsキム・ミンス
ジェロム・レ・バンナvsアラン・カラエフ
サム・グレコvsヒース・ヒーリング

大会は3月26日にさいたまスーパーアリーナで開催されるのだが、現在発表されているのは上記の6試合。今後3試合ほどが追加さえる予定。

 HERO'Sは前田が「次世代のヒーローを発掘する場」との意味合いが強く、将来的にリングス・ジャパンの復興の糸口になればと、上井氏も語る。たしかにいい選手がそろっているが、まだ旗揚げ戦ということで、目玉になるカードはない。ここからヒーローが誕生して“ポスト桜庭和志”的なポジションをHERO'Sで再現できればPRIDEを越える興行になっていくだろう。
 
 問題は、第一次UWF時代に営業担当をしていた上井氏と前田が組んだ結果、プロレスにどのような影響を与えるのかということだ。UWFを定義するのは難しいが、「旧UWFや初期リングスを技術レベルの高い格闘スタイルのプロレス」とするなら、後期リングスは技術面、ルール面においても世界共通で開催できる格闘技の真骨頂であった。HERO'Sはいわゆるバーリトゥード・ルールで競技されるようだが、4月23日に横浜アリーナで開催される上井氏プロデュースのWRESTLE-1(W-1)が旧UWFや初期リングスに近いものになるのなら、あのUWF疾風がこの世に蘇る。
 前田には世界に散らばったリングスのネットワークがある。各支部から選手を集結させることでHERO'S、また未来のリングス・ジャパンは開催可能だが、前田がどれだけW-1にリングス伝いで選手を投入できるか、またそれらの選手がどれだけ純プロレス/格闘プロレスに対応できるかが問題なのだ。早くから参戦が噂される天龍源一郎や佐々木健介のような純プロレスラーが本当に参戦すれば、異種格闘技的な方向性も面白いのだろうが、この場合、ロープワークが極端に少なくなるに違いない。そんな雰囲気の中でいかに自分のカラーを出していくかが、個々の選手の技量にかかっている。近い将来、W-1が「なんちゃって格闘技、なんちゃって格闘プロレス」をやろうとして批判を浴びた新日本プロレスの敵対イベントに成長するのは間違いないだろう。またアングルを前面に押し出したハッスルのパラドックスになるもの間違いない。
 
 前田が連れてくる選手にどれだけW-1の趣旨を伝わるのかも重要だ。ただ好き勝手にリングス系の選手が試合を進行させたのであれば、プロレスではなく、限りなくバーリトゥードに近い異種格闘技になってしまう。つまり、HERO'Sは成功したとしても、一番注目すべき興行は、4月23日のW-1ということになる。選手同士が噛み合わなければ、「真撃」の二の舞になりかねない。
 現時点でW-1のカード1試合しか決定していない(柴田勝頼vs長州力)。今後、天龍、健介、鈴木みのる、高山善廣、村上和成、そして前田預かりとなった山本宣久、全日本プロレスを退団した川田利明など多彩な選手層の参戦が予測されるだけに、前田が送り込むファイターのはじけっぷりを早く見てみたいものだ。

Posted by DODGE at 2005年03月14日 13:05 in プロレス・格闘技