US OPEN 参戦記(続き)
                                                 
【初日】
 前日の夕方発表されるペアーを探し、翌日のアポを取る。有名なプロなら誰に聞いても解るのだが、どうやら私のペアーを知る人は居ないようだ。「この人知っていますか?」と声を掛けながら探し出すのも自分でやる仕事…。(お手伝いして下さった日本人記者の方、有難う御座いました)
 初日はロスに住むおじいちゃん(孫が居るらしい)とペアーになった。10年以上前のレンジャー18Ft(アメリカでは小さいサイズのボートになる)が又凄い。エンジンが始動しない…・・心配をする私をよそに、「これはね、いつもの事さ!」と平気な顔をしている。何とかスタートに間に合って始動したボートだが、魚探すらセットされていないのに気づき少々焦る。装備一流腕二流の私には、かなり心細い現実だった。しかし彼のスタイルがハードルアーでシャロー狙いだと聞き、一安心。彼はお気に入りのスポットらしい場所に着くとジャークベイト(ダイワ製)でジャーキングを始めた。それなら私は…・と、ログをセット。バスは何度でも出て来るが、ヒット迄至らない。その間に彼が1本キャッチ。どうやら私のルアーはアクションが大きすぎるらしいと感じたが、バスは出る。彼がペアーで釣果を出すトーナメントだからと作戦を立てた。私がバスを出し、彼がライトリグを打ち込んでキャッチすると言う方法だ。これがバッチリ!あっけなくキーパー5本をキャッチした。さて次はサイズアップの入れ替えである。
 ここで私がミスをした。枯れ立ちの脇にキャストしたルアーを引っ掛けてしまったのだ。「ごめんなさい。ごめんなさい…」と誤りながら、彼に数回キャストしてからルアーを回収するようにお願いした。
彼がキャストしたルアーに反応は無かったが、今度は彼がミスをした。フットのペラを木に当ててしまったのだ。その瞬間、木が動き、湖底のドロを巻き上げた。「お前はラッキーガールだ!!!」彼が急に叫んだかと思うと、すかさずワームーをキャスト。今のトラブルで驚いたデカバスが3本姿を出したのだ。しかも1本キャッチできた…・これには私も驚いた。あれほどボートを近く迄寄せ、尚且つ驚ろいて姿を出したバスが口を使ったからだ。これは私にとって過去に経験が無い事である。キャッチしたバスは合計で11本、しかし私がキャッチしたバスは1本も居ない現実に、ガーン!!!まあ、キャッチの手助けだけはしたと言う事で、自分を慰めた。
 
【2日目】
 昨日ホテルに戻ってから、シャワーを浴びて夕食をしている時間以外はずっとカジノに入り浸っていた。これだけやれば気が済むだろう・・・・。途中で$300ゲット、$200ゲットも全部使い果たした。どうせアブク銭だし、デッカク当てたかったからだ。朝4時そろそろ釣りに行く時間だ。この時点で私の財布はマイナス$130・・どうやらカジノで一攫千金は無理だと言う事にやっと気がついた。
 2日目の今日も又おじいちゃんだった。ボートはピカピカの新艇だが、釣りは本当に趣味程度だと説明してくれた。折角ボートを買ったから記念に出場したらしい。優しいおじいちゃんは私に「俺はハードルアーオンリーのスタイルだが、良いか?」と聞いてきた。私は「もちろん。私も同じくハードルアーが大好きです」と答えると、嬉しそうに笑ってくれた。
 おじいちゃんが最初に入ったスポットは、ウィードエリアだった。絶対に居るぞ!と思わせるそのスポットは、私をかなり喜ばせた。河口湖ロイヤルワンドの3倍は有りそうな場所でボートは私達だけ。
今日こそは釣るぞ!とワクワクである。……が、100m程度先の岸際でかなり良いサイズのバスが捕食を始め、グアバ、グアバやっているにも関わらず、おじいちゃんは知らん振りで、我が道を延々と流している…・ノンボーターの私には発言の権利が無いと思っているので、我慢である。目の前にバスが居るのに我慢をするのが、こんなに辛いとは思わなかった。やっとバスが静かになりキャストに身を入れたかと思うと又違う場所で捕食を始めた。グッと我慢…グッ…・ウググ、もうダメだ!!!
この場合差し支えの無い言葉は何だろうか?と考えたが、解らないので態度で示した。遠慮がちに「GO,GO」とバスが暴れている方向を示す。おじいちゃんは「しょうが無いなぁ〜」と言う感じで、ゆっくり、凄くゆっくり(多分フットは2程度の速度のレベルだ)移動を始めてくれた。なが〜い時間を掛けてやっと射程距離に着くと、我先キャストでスーパースプークJrをキャスト。“グァバッ”!!へへへ…一発でキャッチ!!!(これは心の中で叫ぶ)おじいちゃんも嬉しそうにネットを用意してくれて無事キャッチ。これで次回からは、バスが捕食をする姿を見つけたら、速攻で移動してくれるだろう!と安心した私はかなりバカだった事に気が付く。おじいちゃんは全く無視なのである。あくまでもさっきのキャッチはラッキーなのだと思っているらしい。数回のバスの捕食を見逃し(かなりズウズウしい私でも、又言う勇気が無かった…)我が道を行くおじいちゃん。良い味は出しているのだが…・かなり、悲しい。だが、私も我慢の限界が来た。さっきと同じように「GO.GO」と更に遠慮がちに指を刺すと、かなり遅い同じ速度で移動を始めてくれたが、今回は「釣れる訳無いよ…・」と言うのが見え見えの嫌そうな雰囲気での移動だ。射程距離に入ると、どうしたのか?おじいちゃんが我先キャストをしてヒットさせた。…・が、バラした。やっとこの状況でバスがヒットする事を理解してくれたおじいちゃんだったが、その後捕食活動は終わってしまう。1本だけビッグサイズが混じって3本でウエイイン…・・だが、私が釣ったハズのビッグバスは、どうやらおじいちゃんが釣った事になってしまった。悔しかったが、英語が出来ないから諦めた。余談だが、ウエイインの直前、テロが起きた事を
菅原氏から聞かされる。どうせ何も出来ない私なので、成り行きに任せるしか無かった。
 

 

 

 

 

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