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アメリカで活躍するアングラーたち第1回 清水盛三(3)

 このトーナメントでのモリゾーの順位は35位。これだけを見るとあまりいい成績に思えないかもしれないが、初日85位、2日め52位と尻上がりに順位を上げたモリゾーの戦いぶりは見事だったといえるだろう。他のアングラーと同じ戦法で手堅くまとめるのではなく、自分の得意なスタイルの中から活路を見い出す。日本とアメリカ……場所は異なっていても、モリゾーは自分流を貫いて結果を残しているのだ。さらに、琵琶湖育ちという彼の釣りは、広大なフィールドが多いアメリカのフィールドにマッチしている。片道1時間以上が当たり前というボートドライブにも臆することのない彼の性格は、アメリカのトーナメントを戦っていくうえで大きな武器になっているのだ。

 さて、モリゾーに残されたB.A.S.S. WESTERN OPENは残り2戦。3月14〜16日がネバダ州のレイク・ミード、4月25〜27がカリフォルニア州のクリア・レイクだ。この2戦の結果で、彼がBASSMASTER TOURに参戦できるか否かが決定するのである。モリゾーにとって、レイク・ミードでの第3戦は比較的楽なトーナメントだといえるだろう。U.S. OPENへの参戦やJBワールド戦で経験しているフィールドなだけに、釣り以外の部分での苦労があまりないと思われるからだ。さらに、JBワールド戦ではアーロン・マーテンスやジョン・マーレイなどの強豪を押さえて優勝している。上位入賞はもちろん、優勝までも期待していいのではないだろうか。

































 モリゾーにとって問題になるのは、最終戦のクリア・レイクだといえるだろう。このフィールドは、B.A.S.S.の3デイのトーナメント記録が生まれているほどビッグフィッシュが多い。なにより難しいのは、このトーナメント開催日がちょうどスポーニングシーズンに当たることだ。スポーニングシーズンのビッグフィッシュを釣ること自体は、モリゾーにとって問題ではない。問題なのは、B.A.S.S. OPENではプロ2人が同じボートに乗り込んで釣りをすることである。基本的に、ボート上の2人のアングラーはスポット選択などにおいて同等の権利を有している。しかし、どちらのボートを使うのか、またどの場所で釣りをするのかは話し合いで決定しなくてはならない。さらに、この季節の場合はサイトフィッシングがメインになってくる。ビッグフィッシュに対して、どちらが先にキャストするのか……などを綿密に話し合っておかないと、ボート上でケンカになってしまう可能性さえあるのだ。事実、2000年に開催されたこのレイクでのトーナメントでは、英会話が得意な桐山孝太郎でさえ非常に苦労していたのである。
 もっとも、こういった試練はアメリカのトーナメントにはつきものであり、この試練を乗り越えていかなければBASSMASTER TOURへの道は開けてこないのである。「ケビン・バンダムとかリック・クラン、ラリー・ニクソンと本気の勝負がしたい」。こう語るモリゾーの目は真剣そのもので、その決意はけっして軽いものではない。アメリカのトッププロたちとの真剣勝負の場、BASSMASTER TOUR。このバスフィッシング界のメジャーリーグへ挑戦しているモリゾーに、どうか大きな声援を贈ってほしい。

 

 
 
 
※レイク・ミードでの第3戦のもようは、basswaveで現地からレポートをお届けする予定。お楽しみに!
 
ブレット・ハイト(右)など、冗談を言い合える友人も増えてきた。もちろん、モリゾーの実力も徐々に認められてきている 課題はやはり英会話。ボート上での会話は問題ないが、戦略などの難しい話になると……まだまだこれから覚えることは多い 「モリゾーはアメリカでも必死に頑張ってますよ〜。日本のみんな、応援してやぁ!」
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