テーマその3
ある方からのメール

 

 

 

大学院からのメールに対するbasswaveスタッフからのコメント

basswaveでは、このコラムに対するご意見、ご感想をお待ちしています。なお、お寄せいただいたご意見やご感想はこのコーナーで公表させていただくことがございますが、あらかじめご了承ください。ご意見、ご感想はこちらまで。
 
 バスフィッシングを否定する人たちは、そのほとんどが「生態系に対する影響」を訴えています。先に書いたように、この言葉には私も反論の余地がありません。ですが、余暇活動というものがすべからく生態系に影響を与えているのであれば、「生態系に対する影響」という言葉を掲げ、バスフィッシングだけに「悪」というレッテルを貼るのはおかしいと思うのです。

 ただし、私は日本中のどこにでもバスを移入していいと考えているわけではありません。生物多様性の重要性を考えれば稀少とされる生物の保護は必要ですし、このような生物を保護するためにバスの駆除が必要だというケースもあると思います。その意味ではバスがいるべきではない水域とそうでない水域を調査し、生態系や環境に与える影響の少ない場所でのみバスを認めるという方向性も考えられると思います。ところが、昨今の風潮では「外来生物の影響」だけが大きく取り上げられ、外来生物がいなくなればすべてが解決する、とさえ受け取れるような論調も少なくありません。

 こと琵琶湖に関しては県の農政水産部の方にお話を伺ったことがあります。この方は、琵琶湖をジグソーパズルに例えて外来生物の話をしていました。その要旨をまとめると、「琵琶湖は本来、在来生物というピースでパズルが完成していた。このジグソーパズルのピースを乱したのは外来生物なので、余計なピースを取り除けば、琵琶湖は元の環境に戻ります」とのことでした。さらに、行政ではヨシを保護する条例を制定して、環境改善に尽力しているのだ、と……。もちろん、なぜヨシを保護する条例が必要になったかの説明はありませんでしたし、バスやブルーギルが移入される以前に姿を消した生物の話もありませんでした。

 Kさんが書いていらっしゃるように、琵琶湖は一部の人々のものではありません。「琵琶湖でバスが釣りたい」という意見は私たちバスアングラーのエゴであり、その意味では、私たちも真剣に環境や生態系について考えなくてはならないと思います。ただし、環境の改善は、たとえば外来魚を駆除すれば終わりというほど単純なものではありませんし、そう簡単に答えがでるものではないと思うのです。

 大学院で生態学の研究をなさっているKさんにとって、私の考えは稚拙なものだと思えるかもしれません。バスをはじめとした外来生物など、日本に移入されるべきではなかったとお考えなのかもしれません。ですが、私が自然環境や生態系というものに対して興味を抱いたきっかけこそがバスフィッシングでした。もしもバスという魚が日本にいなかったら、私は環境のことなど考えもしなかったと思うのです。その意味で私はバスという魚に心から感謝していますし、これからも許される範囲内でバスフィッシングを続けると思います。もちろん、最低限のマナーを守り、いたずらに環境に悪影響を与えるような行為は絶対にしないということが前提ですが……。
 
 
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