テーマその3
ある方からのメール

 

 

 

大学院からのメールに対するbasswaveスタッフからのコメント

 
 まず、誤解のないように書きますと、「バスが生態系に与える影響というもの自体も、しっかりと調べられてはいません。」「バスを駆除するための明確な理由はありません」この言葉は、新潟県の新潟県内水面漁場管理委員会指示に関してのものです。Kさんがご指摘していらっしゃるとおり、ここ数年外来魚が生態系に与える影響については、日本魚類学会の方々などによってさまざまな報告がなされています。その一部は本にまとめられ、2002年6月に恒星社厚生閣から出版されています。この本は日本魚類学会自然保護委員会がまとめたもので、「川と湖沼の侵略者ブラックバス その生物学と生態系への影響」というタイトルです。お時間があれば、バスフィッシングを楽しんでいる方々にもお読みいただきたいと思います。

 次に、「バス以外にも湖沼の環境を破壊している原因は多数ある⇒バスだけが槍玉に挙げられている⇒バスが環境破壊の要因ではないという構図が見受けられますが、これは論理のすり替えに過ぎないのではないでしょうか?」というご意見ですが、私はこのコラムの結論として、「バスが環境破壊の要因ではない」とは書いておりませんし、そのように考えてもいません。ただし、Kさんのように受け止められた方もいらっしゃるでしょうし、今回は先の生態系の点も踏まえたうえで、私なりの考えを書こうと思います。

 まず、「バスは生態系に影響を与えるか」ということに関してです。これまで存在していなかった生物が移入された場合、その場所における生態系への影響は間違いなくあると思います。もちろん、これはバスに限ったことではありません。魚であれ植物であれ昆虫であれ、移入された生物が在来の環境になんらかの影響を与える……。この点に関して、私は否定する気はまったくありません。バスのような肉食性の生物の場合、稀少とされる生物を補食する可能性も高いと思いますし、このようなことが実際に起こっている水域もあると思います。その意味では無秩序な移入などはするべきではありませんし、水域によっては駆除の必要もあると思います。もし、生態系や環境に与える影響をすべて「悪」とするなら、バスをはじめとした外来生物はそのすべてを日本から駆除するべきでしょうし、外来生物のバスを釣る行為は否定せざるを得ない、という結論になるでしょう。

 ところが、バス釣りを含めた人間の余暇活動というのは、そのすべてが直接的に、あるいは間接的に、確実に環境や生態系に影響を及ぼしています。自然環境に手を加えた場所で行なわれるスポーツ。自然を「見て楽しむ」だけのバードウォッチングや山登り、ハイキングでさえ、その衣類や双眼鏡などは環境破壊とひきかえに人間が作ったものです。つまり、自然環境や生態系に害を与えるものがすべて「悪」なら、余暇活動はもちろん、人間が生活していくこと自体が「悪」ということになるでしょう。
 
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