テーマその1 「新潟県のリリース禁止について」パート3

 

 

 これまで2回にわたって新潟県のリリース禁止についての疑問点を書いてきました。今回は、ひとまずまとめとしてこの件に関する私の意見を書こうと思います。

 

バスが消えても解決しない問題

 いわゆる「バスの害魚論」において取り沙汰されるのが「生態系の破壊」であることは前回書きました。肉食のバスが在来の小魚や甲殻類、水生昆虫などを食べる。その中には、いわゆる稀少生物が含まれているため、これらを保護するためにバスを駆除するべきだという考え方は、新聞やテレビのニュースでもたびたび取り上げられています。正直なところ、私はこういった在来の稀少生物の保護は必要だと考えていますし、その一環としてバスをはじめとした外来生物の駆除が行なわれるのは当然だと思います。ただし、外来生物の駆除が在来種の保護のすべてかというと、これは大きな間違いだと言わざるを得ないでしょう。私が疑問に思うのはこの点なのです。新潟県のトキは乱獲だけが原因で絶滅の危機にあるのか……違いますよね。開発や農薬による餌の減少など、トキが生息できる環境が失われたことこそ、もっとも大きな要因なんです。同様に、水辺の環境はバスやブルーギルがいなくなれば、すべてが解決するのでしょうか? 稀少とされる生物たちがなぜ稀少になってしまったのか……。この、もっとも根本的な問題を無視して、外来生物や私たちバスアングラーだけを悪者扱いするというのは納得できないんです。

目的があいまいな害魚論

 それでは、なぜ外来魚やバスアングラーだけが悪者扱いされるのでしょうか。どうも、私はそこに私たちバスアングラーに対する悪意や私怨を感じてしまうのです。たとえば、1999年9月に宝島社から発行された「ブラックバスがメダカを食う」という本に関してもそうです(この本については、また詳しく書こうと思います)。この本の著者である秋月岩魚さんは新潟県奥只見のイワナに魅了され、そのイワナをはじめとした渓流魚の危機を感じてこの本を書いたそうです。つまり、日本の自然や生態系を懸念して外来生物の影響を訴えているワケですね。私は、このこと自体を否定するつもりはありません。むしろ、大変有意義なことだといえるでしょう。ところが、この本が出版されて以降、渓流魚の保護という意味で外来魚以上に重要と思われる、他の要因に対する著書は皆無です。渓流魚をはじめとした日本の自然や生態を懸念するのであれば、開発や植林事業、ダム建設や内水面の放流事業などに関しても危機を感じるはずだと思うのですが……。これって、どう考えても変ですよね。ホントは日本の自然や生態系を守ることではなく、バスやバスアングラーを糾弾することが目的だったのかなぁ……と感じてしまいます。バス問題だけで終わってしまっているのは、バス業界に対してなにか恨みでもあったのでしょうか?

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