テーマその1 「新潟県のリリース禁止について」
「新潟県のリリース禁止について」

 外国産の肉食魚であるバスが在来の生物を補食することによって、生態系が破壊される……。いわゆる新聞やテレビのニュースでもお馴染みのフレーズです。もっともらしく聞こえますが、どうも私にはこの手の言葉には納得できないんです。なぜ納得できないのか。その理由はいくつかあります。

肉食動物は悪なのか?

 たとえば、ホオジロザメ。スピルバーグ監督の大ヒット作となった映画“ジョーズ”の主人公です。あの映画は私が小学校2年生のときに公開されましたが、影響されやすいガキだった私にとって、あの映画は強烈でした。サメの恐ろしさを思い知らされた? いえいえ違います。あの映画を観てからというもの、私は熱烈にサメという生物が好きになりました。ゴジラやガメラを好きになる感覚と一緒ですね。それからというもの、当時の私はノートや教科書にサメの絵を描きまくっていたそうです。さて、“人食いザメ”という言葉があるように、一般的にサメという生き物は恐ろしいものだと思われているようです。ほかにも、肉食性の動物というのは悪いイメージで語られることが多いようです。“ジョーズ”以外にはシャチ、ピラニア、ワニ、ヘビなどがパニック映画の悪役として取り上げられていますし、やはりスピルバーグ監督の“ジュラシックパーク”でも、ティラノサウルスやヴェロキラプトルなどの肉食恐竜が悪役に抜擢されていました。

日本にライオンを放してはいけない理由

 この肉食=悪という単純明快なイメージが、バスにもつきまとっています。ある害魚論者は「日本にライオンを放してはいけない。だからバスもダメだ」ということを言っていたそうですが、これはライオン=肉食=悪というイメージのもとで語られている、とっても分かりやすい(ような気がする)例えです。では、日本にライオンを放してはいけないのでしょうか。これは、絶対にやめたほうがいいでしょう。人間が襲われるから? いえいえ、そんなことではなく、アフリカのサバンナに生息しているライオンが、日本の厳しい冬をしのげるはずがないんですね。クマのように冬ごもりができないライオンたちは、間違いなく餓死してしまうはずです。というより、ネコ科の大型獣はそのほとんどが絶滅の危機に瀕しているというのに、そんな残酷な真似をしたら動物愛護団体が黙っていないでしょう。ちなみに、昨今では“ジョーズ”のモデルになったホオジロザメにも、保護が必要だといわれています。生息環境の破壊や乱獲などによって生息数が減少しているのがその理由です。さて、少々横道にそれてしまいましたが、バスに関する一般メディアの報道で納得できないのが、この肉食=悪というイメージです。バスは他の魚や生物を食べるから生態系に悪影響を与える……この考えはあまりに短絡的だと思うんです。さらに、バスが生態系に与える影響というもの自体も、しっかりと調べられてはいません。たとえば、バスやブルーギルのリリースを禁止した新潟県の新潟県内水面漁場管理委員会指示にも、バスを駆除するための明確な理由はありません。そこには、“生態系への影響が懸念されます”という言葉が添えられているにすぎないのです。

ここがヘンだよ害魚論。トップ次のページへ

www.basswave.jp