桐山孝太郎・インタビュー
 

B.A.S.S.バスマスターツアーも3戦を終了。
フロリダ州ハリス・チェインで開催された初戦こそ157位と出遅れたものの、同じくフロリダ州レイク・オキチョビーでの第2戦で24位に入賞し賞金4400ドルを獲得。そして、第3戦のジョージア州レイク・セミノールではバスマスターツアーにおいて日本人最高位となる準優勝を獲得した桐山孝太郎。
今回は、尻上がりに調子を上げてきた桐山にインタビューをお願いした。

 
basswave:第3戦、おつかれさまでした。バスマスターツアーでは最高位の2位という結果でしたが……。

桐山:どうもです。どうして俺は勝てないのかなぁ〜(笑)。そういう意味では悔しい大会だったんですが、最終日にトップウエイトを出せたのは自信になりましたね。ダメなときは一刻も早くその場を立ち去りたいと思いますけど、今回はトーナメントの翌日にも釣りがしたいと思いましたから。セミノールという場所自体がすごくいいフィールドというのもありましたけどね。
basswave:今回のトーナメントが開催されたレイク・セミノールでは昨年の同大会でも4位という好成績でしたが、今年のレイクはどのような感じだったんですか?

桐山:思っていたより寒かったんですが、公式プラクティスの期間はよく釣れましたよ。初日なんて、釣れすぎてヤバいと思ったほどです。ただし、プラクティスの最終日に急に寒くなって状況が変わってしまいました。本戦ではプレッシャーも高くなるし……とはいえ、そのあたりは読んでいましたけど。

basswave:初日はリミットメイクできなかったようですが……。

桐山:エリアやパターンは間違っていなかったと思います。ただ、プラクティスの感覚を引きずってしまいました。丁寧さが足りなかったというか、必要以上に走り回ってしまったのが失敗でしたね。この日は5バイトで4尾。ただし、トーナメントの序盤では自分のエリアを他のアングラーにアピールしなくてはならないんです。『お前、昨日はいなかったじゃないか』と言われないために、ある程度のエリアにツバをつけておく必要もあるので……。リミットメイクはできませんでしたが、戦略が間違っていたとは思っていません。

basswave:そして、2日めにはこの日のベストウエイト。これはすごいことだと思いますが。

桐山:この日はまさに爆釣でした。前日の反省を踏まえて、エリアの中でもかなり絞り込んだ釣りをしたんです。タックルもライトにして、他のアングラーよりも丁寧に攻めました。

basswave:メインはドロップショットですか?

桐山:ドロップショットも多用しましたが、それだけではありません。朝はウイードエリアでのバイブレーションとジャークベイト。バイブレーションはマットチャートのTN-60FT、ジャークベイトはパールチャートのマスク90を使ってました。これで6パウンダーと5ポンド半のキッカーを1尾ずつ。この2尾はすごかったですよ。ルアーを丸のみしてましたから。
ただ、このパターンは朝しか通用しないんです。10時くらいにはバイトがピタリと止まってしまう。で、その後はややディープにあるスタンディングティンバーなどをドロップショットでねらいました。朝のウイードエリアよりサイズが落ちるんですが、このドロップショットのパターンをもっていたのは大きかったと思いますね。

basswave:ドロップショットではどんなルアーを使ったんですか?

桐山:いろいろですね。トリックワームに4インチのダーツとクロステールシャッド。ローカルのストレートワームも使いました。でも、どれかひとつがよく釣れたというわけではなくて、自分の集中力を切らさないためにルアーチェンジをしていた感じで、実際にはどれでも釣れました。
ただし、バイトは決して多くなかったんです。1時間おきくらいに1発、という感じです。魚はいたと思うんですが、1尾釣ってしまうと周りの魚がスプーキーになってバイトが止まってしまう。結構ガマンの釣りでしたよ(笑)。

basswave:アメリカ西部ではすっかりポピュラーになっていますが、バスマスターツアーでもドロップショットはポピュラーになっているんですか?

桐山:ポピュラーどころか、ほぼ全員が使ってたと思いますよ。去年はさほどいませんでしたから、すごい普及率ですよね。このせいでプレッシャーも高かったように思います。
初日はベイトタックルでドロップショットを使っていて、ラインはバリバス・ガノアの14Lb、シンカーはXメタルのタングステン3/8ozでフックはノガレス・システム5の4/0だったんですが、2日め以降はスピニングタックルにしてラインはガノアの8Lbに落として、シンカーも1/4ozと3/16oz、フックもノガレス・システム6の1/0にしました。周囲が釣れていないのに僕が釣れたのは、このタックルとスポットの選択がよかったんだと思います。詳しいタックルに関してはシマノのHPのレポートに掲載していますので、そちらを参考にしてください


basswave:3日めは今シーズン初のファイナル進出でしたね。緊張はありましたか?


桐山:緊張はありませんでしたね。魚がいるエリアも釣り方もわかっていたので、それをやり通すだけでしたから。逆に、3日めは1時間半……いや、2時間くらいでリミットが揃ったんです。それで、この日は抑えて4日めに残しておいたんです

basswave:最終日はトップのゲーリー・クラインとの差が約9Lb。状況としてはかなり厳しかったと思いますが、それでもトップウエイトを持ち込みました。

桐山:ウエイトの差はあまり気にしてませんでしたね。もう最終日はやれるだけのことをやろう、という意識でスタートしましたから。3日めと4日めはミスフィッシュもなくて、自分の中ではこれ以上ないと思える釣りができました。なんで勝てないんだろう……とは思いましたけど(笑)、自分としては得るものも多かったので悔いはありません。

basswave:ポイント順位も37位まで上がって、今シーズンも調子が出てきましたね。やはり目標は4年連続のクラシック出場ですか?

桐山:クラシックは……出たいか出たくないかといわれれば出たいですけど、それが目標ではないです。順位以前に、まずはワンシーズンの中で充実した釣りをすることが大切だと思ってます。
実は最近、釣りが好きになってるんですよ(笑)。上手く言えないんですけど、今までは分からなかったことが分かったり、釣れても釣れなくても新しい発見があって充実してるんです。第1戦はあまりいい結果ではありませんでしたけど、すごく得るものが多かった。実はそれが第2戦に生きたんです。で、さらにそのコンフィデンスを第3戦にも生かすことができたんです。今回も、フリッピングのパターンでゲーリー・クラインが勝ちましたよね。これも僕の中では存在していなかった釣りでしたから、いい勉強になりました。
今シーズンは、この繰り返しを楽しんでいますし、それが結果に結びついているんです。そういう意味では今シーズンというより、3年先、5年先を意識した長い目で、トーナメントアングラーとして成長したいというのが目標ですね。

basswave:3シーズンめということで、バスマスターツアー自体には慣れましたか?

桐山:ルーキーイヤーはいろいろな面で戸惑いもありましたけど、今はそういったことはないです。ウエスタンと同じような感覚でトーナメントをこなしてます。もちろん、初めての場所では多少の戸惑いもありますけど、釣りに悪影響が出るレベルの話ではありません。

basswave:次回の第4戦は2月20日から始まります。場所はルイジアナ州のトレドベンド・リザーバーですが、抱負を聞かせてください。

桐山:トレドベンドでは以前にもトーナメントに出場してますが、このときはボートトラブルもあって充分なプラができなかったんです。そういう意味ではゼロからのスタートなので、オープンマインドで臨むつもりです。ツアーレベルになると、釣りが上手いのは当たり前なんです。なにしろ上手い人だけが集まってるんですから(笑)。トーナメント期間になればプレッシャーも高くなる。そういう状況の中で、さまざまな状況をどのようにコントロールするかが大切になります。周囲の情報に惑わされないようにするのも重要ですね。プラクティス期間に威勢のいい話をしているアングラーもいるんですが……こういったことに耳を貸さず、自分自身でしっかりと状況を見極めて、自分の釣りをゼロからすることが大切だと思っています。ダメモトというと聞こえは悪いんですが、そのくらいの意識でいないと自分の釣りを見失ってしまうんですよ。

basswave:最後に、日本のファンにメッセージを。


桐山:僕のホームページにも、トーナメント中に日本のファンのみなさんから多くの応援メッセージをもらいました。これはものすごく励みになりましたし、本当にありがたいことだと感謝しています。精一杯頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします。

basswave:お忙しいところありがとうございました。

 さて、このトーナメントが終了したことによって、100名にアングラーが絞られる前半6戦のうち半分を消化。残りの3戦ではイチかバチかの勝負に出るアングラーも増えてくることだろう。4年連続クラシック出場は決して簡単なことではないが、桐山のモチベーションはかなり高いようだ。
 ちなみに次回、第4戦は2月20〜23日、ルイジアナ州トレドベンド・リザーバーで開催される。遠くアメリカで奮闘している桐山に、ぜひ声援をおくっていただきたい。