BASS FISHING IN ITALY
 

 レイク・ボルセーナは、イタリア中央部でもっともタフなバスフィッシング・フィールドといってもいいだろう。ローマからおよそ100kmほど北にあり、フローレンスから南に100kmのところに位置する。丸形のナチュラル・レイクで、何千年もの昔にできた火山湖だ。また、ローマ時代のころから多くの人々が水路とし水辺を使用していたらしい。イタリアのバスフィッシングにおいては有名なレイクの1つであり、バスのサイズもいいほうだといえる。そして、トーナメントレイクとしての実績も10年以上になる。

 私にとって、日本のフィールドとこのレイク・ボルセーナを比較することは難しい。なぜなら、私はレイク・ビワとレイク・カワグチしか知らないからだが、ボルセーナの状況を伝えれば、basswaveの読者ならわかってもらえるだろう。
 まず第一に、このレイクはウルトラ・クリアーウォーターで、ハイドリラ系のウイードが生い茂り、ボトムには無数のロックがある。ショアラインは砂地で、高地であるため風の通りがよく、この影響で湖流も発生する。ただし、この湖流が逆にボートのポジショニングを悪くすることもある。

 レイク・ボルセーナは釣り場として使用されるほか、他のアウトドアのレクリエーションも盛んに行われる。キレイな景色だけに、多数の人がショアラインで遊んでいる。釣り以外のレクリエーションを楽しんでいる人たちも多いため、安全のため船外機の使用は認められていない。また、このレイクではガイドサービスも存在しないのが現状だ。
 人気の高いボルセーナだけに、週末になると多くのアングラーが押しかけ、ショア、ボートとあらゆる場所からキャストを繰り返す光景が見られる。しかし、水質は超クリアーとくれば、ハイプレッシャーであることが理解できるはずだ。このようなフィールドに慣れている日本人アングラーであれば、レイク・ボルセーナの釣りにアドバンテージを持っているのではないだろうか。雑誌やインターネット、また知人の話によれば、「日本人アングラーは、タフコンディションで釣るのがウマイ!」という印象があるのだが……。

 さて、同レイクでよく使用されるルアーの紹介もしておこう。基本的にはライトタックルのフィネス・メソッドがいい。ダウンショットリグや軽量のジグヘッドリグ、またはノーシンカーリグもいいだろう。メインパターンは、ウイード周りを回遊するバスか、ボトムに張り付いているバスをねらうというものだ。レンジとしては、2〜8mラインがベストだ。
 レイク・ボルセーナでの釣りを得意とするアングラーによると、ベストタックルのコンビネーションは、ミディアムライト・アクションの6.6ftスピニングロッドに1/16ozのジグヘッド、ワームはゲーリー・ヤマモト社のカットテール or ストレートワームにフックを剥き出しでセットするリグがいいらしい。ラインは6ポンドのフロロカーボンで、目で見えないレンジの“インビジルブル・バス”のアタリを取るのによいという。
 ダウンショットリグも日々注目を集めはじめているが、4gのタングステン製バレットシンカーを使用した5inのシングルテールグラブによるスイミング・ワームもポピュラーだ。

 ボルセーナのベストシーズンは、プリスポーンとアーリーサマー(6月ごろ)、また10月前後のフォールシーズンもイイ。2キロを超えるバスも頻繁に釣りあげられるが、特にグッドサイズを攻略するならプリスポーンシーズンをオススメする。初春の平均水温は8〜10度くらいで、真夏でも17〜20度くらいまでしか上がらない。爽やかなサマーシーズンというのも、このフィールドの魅力の1つなのだ。
 それともう1つ。今現在、イタリアはフードタイム……つまり、食べ物が1年でもっとも美味しくなる季節なのだ。バスにとってもフードタイムだが、私たちにとってもオイシイ料理が食べられる時期でもある。イタリアは南北に長い国なので、ひと言で何がオイシイ料理なのかと挙げるのは難しい。地方によって料理のスタイルは異なるからだ。もっとも、これは日本も同じだと思うが。
 さて、このボルセーナ・エリアのトラディッショナル・ディッシュは、スパイシー・トマトソースを使ったパスタ“penne all’arrabbiatta”、またフレッシュなソーセージとチーズを使った“straccetti con salsiccia e formaggio)”、オーブンで焼いた(またはバーベキュースタイルの)ラムのリブステーキ“l’abbacchio)”がある。さらにホワイトで少量のスパークリングしたワインも有名で、“Est Est Est”という名前は聞いたことはないだろうか。

 泊まりがけで釣行したいなら宿泊施設は整っている。ロッジもあり、いい雰囲気を充分に楽しめる。ただ、イタリアのアングラーは高いところに宿泊することはほとんどないので、ミディアムクラスのホテルか、日帰り釣行が多い。高級ホテルを探すのであれば、湖畔にキレイなものある。

 今回紹介したレイク・ボルセーナは、海外からのアングラーにかなりオススメできるフィールドだ。観光ならローマやフィレンツェに近く、ショッピングもたくさんできる。グッドフードとグッドフィッシング、最高のバケーションになること間違いなしだろう。


パオロ・バンニーニ

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