Hi from Australia!
 

 私が今回よりbasswaveで執筆することになったマイケル・ベル(Micheal Bell)だ。ここではオーストラリアに住む私が、オーストラリアでのバスフィッシングを紹介したい。まず、初回ということもあり、私自身とオーストラリアでのバスフィッシングを紹介してみよう!
 もう一度私の名前から紹介していこう。名前はマイケル・ベル。年齢は……女性ファンからの声が聞こえてこれば、知りたい人にだけコッソリと教えてあげることにしよう(笑)。さて、1992年にヨーロッパとインドネシアに旅に出た後、ゴールドコースト(Gold Coast)に引っ越すことに決めた。この時以来、私はゴールドコーストにあるクリーンズランド(Queensland)に住んでいるが、もともとは中央ニュー・サウス・ウェールズ(New South Wales)に住んでいたんだ。釣りをはじめたのはホントに小さいころで、いつはじめたのかを覚えていないほど、幼いことからずっと釣りを楽しんできた。私に釣りを教えてくれたのは父と祖父で、根っからの釣り好きとはいえ、釣りをはじめたきっかけはやはり家族の影響だと思う。私の家族は忙しいながらも1ヶ月に1度は時間を作り、みんなで釣りに行ったことを覚えている。おもにイエローベリーやトラウトをキャスティングやトロウリングで釣ったものだった。
 このゴールドコーストというのはビーチが非常にキレイなことで有名なので、日本のみんなも聞いたことがあるんじゃないかなぁ。あのグレート・バリアリーフもこの海岸沿いにある。さて、このゴールドコーストは、ブリスベーン(Brisbane)のおよそ80km南にあり、アングラーにとっては最高の環境が整っているんだ。特にソルトウォーターのディープ・ジギング、ブルーマーリンやマグロのトロウリング、トレバリーはもちろんのこと、ブリーム(タイの仲間)やフラットヘッド(コチの仲間)、サワラやサバもよく釣れる。ほかにもホワイティング(タラの一種)など挙げていたらキリがないほどで、ゴールドコーストではソルトウォーター・フィッシングの人気が高いことがわかるだろう。私自身ソルトウォーターフィッシングも楽しいと思うのだが、個人的にもともと楽しんでいるのはフレッシュウォーター、つまり淡水の釣りだね!
 フレッシュウォーター・フィッシングを楽しんでいた私だが、バスフィッシングは比較的キャリアの短い分野だ。でも、今ではすっかりバスにのめり込んでいる。すると、ちょうどいいタイミングで地元のショップがオーストラリアン・バス・アソシエーション(Australian Bass Association)に紹介してくれたのだ。そして、私は1997年にこのA.B.A.に加入することになった。この会のメンバーたちは私と同じようにバスフィッシングに対して積極的で、いわば同士の集まりといえるもの。さらにジェントルマンでもる彼らはスポーツマンとしての心得も持っていて、魚の保護活動にも貢献している。もちろん、彼らから学べるフィッシング・テクニックも多い。
 では、ここでオーストラリアンバスについて説明しよう。写真を見てもらうのが一番わかりやすいので、とりあえず写真を見て日本のみんながいつも釣っているバスと比べてほしい。一見したところは日本やアメリカにいるラージマウスバスに似ているが、実はあきらかに違う種類の魚なのだ。
 オーストラリアンバスは、“オーストラリアのバス”ではなく、純血の“オーストラリアンバス”と呼ばれる魚だ。Macquaria novemaculeataというのがオーストラリアンバスの学名で、Micropterus salmoidesというのが、日本やアメリカにいるラージマウスバスにあたる。いうならば、オーストラリア固有のネイティブバスなのだ。
 しかし、名前や学名は違えども両者には類似している点もいくつかある。まず、どちらともルアーフィッシングのターゲットとなること(当たり前だが、非常に重要なポイントだ!)。そして、グッドファイターであること!これもゲームフィッシュとしては、重要なポイントだろう。そのため、多くのアングラーがファイトを賞賛している。
 似ている両者ではあるが、大きく異なっている点もある。ラージマウスバスは基本的に淡水で一生をおくるのに対し、オーストラリアンバスは汽水域でも充分に生息できる。さらに、水位と塩水濃度などの条件はあるが、オーストラリアンバスは基本的にアーリー・スプリングに汽水域で産卵する。
 また、オーストラリアンバスはラージマウスバスほど大きく成長しない。ラージマウスバスというより、この場合、フロリダバス(Micropterus salmoides floridus)と比較した方がわかりやすいだろう。どちらかといえば、ノーザン・ラージマウスバス(Micropterus salmoides salmoides)に成長の度合いは似ている。グッドサイズと呼ばれるオーストラリアンバスは、40cm(1kg)くらいの個体を指す。ちなみにマイレコードは53cm。昔、雑誌で60cmオーバーのオーストラリアンバスを見たことがあるが、あのサイズには驚いたことを今でも覚えているし、あれを見たことによって夢が膨らんだことは確かだ。また、今までに「オレは70cmクラスのバスをかけたが、ボートの前まで来てバレたんだ」という“フィッシュ・ストーリー”は、イヤというほど聞いてきたが……。まぁ、私も45cmくらいのバスを釣って「昨日は50cmのバスを釣っちゃってさぁ……」ということも……(苦笑)。バスは生き物であるため、そのフィールドのサイズや環境によって成長度合いが変化するはずだ。確かに、日本にも60cmを越えるバスが潜んでいるのだろうが、ノーザン・ラージマウスバスであればオーストラリアンバス同様に40cmのものを釣りあげれば、グッドフィッシュと呼んでもいいだろう。だから、50cmオーバーが頻繁に釣れなくとも、「ボクは昨日グッドフィッシュを数尾釣ったよ」と言っておけば、あとは友達が勝手に想像を膨らませてくれる。
 次にオーストラリアンバスが生息する地域をもう少し詳くに解説してみよう。オーストラリアンバスの生息域は、オーストラリア東海岸側の川の下流域から上流部のストリームにまでわたり、クィーンズランドにあるティン・カン・ベイ (Tin Can Bay)からビクトリア(Victoria)のジップスランド (Gippsland) くらいまでだ。その中でもオーストラリアンバスの故郷といえる場所は、“ザ・ゴージ”と呼ばれる渓谷だ。この高く険しい渓谷の下にナチュラルリバーが流れ、オーストラリアンバスはここに生息していた。この川は全長がおよそ300kmで、グラフトン(Grafton)から河口にあたるコフス・ハーバー(Coffs Harbor)までわたっている。約10年前、アングラーと網を使用した漁師の乱漁によって多大なるフィッシング・プレッシャーがこの川に加わり、バスの個体数が急激に減少した経緯がある。そのこともあって、クイーンズランドの政府機関が、養殖と繁殖の研究のために予算をとることになったのだ。誰もこのプロジェクトがどれくらい成功するか想像がつかず、さらにその後何年間は、多くの人々がこの研究が税金の無駄遣いだと批判していた。しかし、オーストラリアンバスは基本的に湖で繁殖できないため、純淡水のフィールドでバスを楽しむために、定期的に放流する必要があるのだ。放流用のバスをストックしておくための池は、ストッキング・アソシエーションらがお金を収集し運営している。そのストッキング・アソシエーションは、A.B.A.や地元のフィッシング・クラブから成立している。


 近年、フィッシングライセンス制度がクイーンズランドに導入された。このライセンスを購入したときに支払うお金の何パーセントかが、上記で触れたバスのリサーチや養殖、繁殖、放流に使われている。実際、これが上手く浸透し進行していることもつけ加えておきたい。そして、このザ・ゴージと呼ばれる水域も、今では東海岸で繁殖、養殖、放流が行われているフィールドの1つに数えられている。バスフィッシングをするなら、その中でもサマーセット(Summerset)、マルーン(Maroon)、グレンボーン(Glenbourne)、ボラマー(Borumbar)がベストだろう。また、ゴールドコーストを車で数時間走れば、数え切れないほどのレイクに出くわすが、それをさらに絞り込んでいけば東南クイーンズランドがいい地域だ。
 では、最後に日本のみんなが気になるオーストラリアンバスのタックルを少し触れておこう。“少し”と書いたのは、これからタックルにしろ、場所にしろ、basswaveで詳しく書く機会がいくらでもあるはずだからだ。
 オーストラリアンバスを釣るためのフィッシング・ギアは、アメリカでいうスモールマウスバスを釣るタックルに似ている。簡単にいえば、ライトリグがメインになるだろう。したがって、日本のみんながもしオーストラリアンバスを釣りにくるチャンスがあれば、今持っているタックルで充分に対応できる。それは、前記したように、オーストラリアンバスのアベレージサイズが日本のバスのそれに似ているからだ。ロッドはフィネス・スタイルでも使用できる、2kgくらいまで耐えられるスピニングタックル。これは、ワームフィッシングをする際によく使われている。ベイトタックルなら、スピナーベイトを頻繁に使用することが多いので、8kgくらいまで対応できるロッドがいい。オーストラリアでは、過去数年間、PEラインがポピュラーになっている。ラインの直径が小さいのに反し、高い強度を備えているからと多くのアングラーたちは語る。実際によく使われるメソッドとしては、フロロカーボンもしくはモノフィラメントのラインをロッドの長さと同じくらいカットして、それをPEラインの先端に結んでショックリーダーのように使用するケースも多い。
 ルアーに関していえば、オーストラリアンバスに使われるものの多くは、ラージマウスやスモールマウスのものと変わりはない。日本でも購入できるバス用のルアーと同じものをオーストラリアンバスに活用できるということだ。オーストラリアンバスはアグレッシブで、動くモノなら何にでもバイトする。スピナーベイトは、ルアーの中でも一番多用されているアイテムだろう。その他にも、ミノーやサスペンド系プラグ、クランクベイト、トップウォータープラグにバイブレーション、ワームも使用されるので、日本やアメリカでのバスフィッシングとまったく同じだろう。ただねらっている魚がオーストラリアンバスというだけのこと。
 面白いエピソードとしては、フライタックルでオーストラリアンバスを釣ることで、数人のアングラーたちはこのフライタックルでオーストラリアン・バス・プロ・ツアー(Australian Bass Pro Tour)に参戦している。しかも、過去2年間の間にグランド・ファイナルを含め、数戦はフライがウイニングパターンになっているのだ
 次の数ヶ月間、私はストック用のバスの環境調査をするために、川やレイクをA.B.A.を通じて調べに行く予定で、この調査の中でネイティブバスも見つけられればいいと考えているので、近いうちにそのことも報告しようと思う。また、オーストラリアといえば、バラムンディーも人気の高いルアーフィッシング・ターゲットなので、これも機会があればレポートしたい。


●マイケル・ベル(通称Micky)に直接連絡を取りたい人は、こちらまで:
mikey@fishing.onthenet.com.au

●A.B.A.(Australian Bass Association)に興味がある人は、
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