2006年12月31日

サケ:遡上、増えたが密漁も きれいになったのに…−−山形・村山高瀬川 /山形

 ◇せっかくきれいになったのに…
 10月下旬から12月上旬にかけ、山形市青柳を流れる村山高瀬川に遡上(そじょう)するサケが年々増えている。地元で毎年、稚魚の放流を続けてきた成果とみられ、「川がきれいになった証しだ」との声がある一方で、今年は法律で禁じられた捕獲をする人も目立った。サケの死がいも増え、付近の住民からは景観を懸念する声が上がるなど、新たな問題も出てきた。【林奈緒美】

 村山高瀬川では01年秋、それまで見られなかったサケの姿が見られるようになった。
 サケが戻ってくる美しい川にしようと、地域住民らが中心となり、翌春から毎年、稚魚1万匹の放流を始め、04年には約30匹、05年には約50匹のサケが確認された。
 同年に「村山高瀬川のサケと環境を守る会」(宗方敏夫会長)が結成され、ごみ拾いや草刈りなど川の環境整備も進んだ。今年は10月ごろに約150匹が確認された。
 サケは水産資源保護法で捕獲が禁じられているが、今年は大量の遡上とともに、網などを使ってサケを捕る人が複数目撃されるようになった。11月中旬には、川の下流で網を張り、サケを捕っていた男を付近住民が発見。男は何度注意されてもやめなかったため、山形署に通報され、同法違反容疑で書類送検された。
 同署の調べに対し男は「サケがこんなにいるのに誰も捕らないなら、自分が食べようと思った」と話したという。
 村山高瀬川では、サケの密漁者摘発は初めてといい、同署生活安全課は「川がきれいになるのはいいことだが、サケが大量にあふれれば、密漁の原因を作りかねない」と危(き)惧(ぐ)している。
 また、産卵を終えたサケが死に、川底や浅瀬、岸辺に死がいが多く見られるようになった。川の近くに住む女性(67)は「今年はサケが多いので死がいも目につく。中にはハエがたかっているものもあった。きれいな川になったというのに残念です」と話す。
 県農林水産部生産流通課は「放流した際はそのままにするのではなく、その後の監視体制なども考えてほしい」と注意を促している。
 守る会は密漁者の通報後、サケの捕獲禁止を呼び掛ける看板を青柳橋の近くに設置した。
 宗方会長は「捕獲する人がいるとは全く想定していなかった。今後は、死がいの始末も県や市と相談して対策を考えていきたい」と話している。 12月30日朝刊

+Yahoo!ニュース-山形-毎日新聞

Posted by jun at 2006年12月31日 10:47 in 魚&水棲生物, 自然環境関連, 内水面行政関連

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