2006年12月26日

ハッチョウトンボ「守り続けたい」 古座川町(和歌山)

 世界最小といわれるハッチョウトンボ(トンボ科)の生息地、古座川町直見の大谷湿田(約1470平方メートル)で24日、個体数を増やそうと、約60人が湿田の草を引くなど整備した。参加した地元の人らは「貴重なトンボを守り続けたい」などと汗を流した。

 同町の「古座川とんぼの会」と県が、広く保護について考えてもらおうと開いた農村環境ボランティアイベント。会員や地元の人のほか、活動に賛同する町外の人も参加した。
 ハッチョウトンボは体長約2センチ。環境省指定指標昆虫で、県も準絶滅危ぐ種に指定している。
 1992年、休耕田だった大谷湿田でハッチョウトンボを確認。町が買い取り、自然保護区に。2001年にはハッチョウトンボを町天然記念物に指定した。
 02〜04年には1日に数匹しか見られなかったほど個体数が減少。絶滅が心配されたが、昨春は70匹、今春は100匹以上確認される日もあり、少なくとも01年以降最多になった。
 個体数増加の流れを続けようと、とんぼの会が昨年発足し、整備イベントを開いた。今年で2回目。
 この日、参加者はハッチョウトンボが最も多かったころの状態に近づけようと整備。水辺のほか、水が少なく草が生えた場所が適度に必要なため、外来種で繁殖力が強いセイタカアワダチソウなどの草を選んで抜いた。
 湿田の前には、地元の明神小学校5、6年生の13人が描いたハッチョウトンボの絵を盛り込んだ看板を設置した。
 6年生の大石健介君は「見た人が保護活動を続けようと思ってほしいと願いながら、トンボが飛ぶ様子を描いた。地元に珍しいトンボがあることは自慢できること。自分も守っていきたい」と笑顔で話した。
 とんぼの会の辻新会長(54)は「整備で状況はよくなってきている。地元の人も普段から熱心に見守ってくれているし、会も状況を見て草を抜くなど整備を続けたい」。佃透・直見区長(62)は「地元でも保護への関心が高まってきた。トンボを持って帰る人や湿田を踏み荒らす人もいるようだが、マナーを守って観察してほしい」と話した。
 県事業で20日から始まった観察道と獣害防護柵の設置工事の仕上げもした。景観をよくしようと湿田の隣にある直見区所有の休耕田(1000平方メートル)にレンゲの種をまいた。もちつきやしめ縄作り体験のほか、昼食にはシシ鍋に舌鼓を打ち、交流を深めた。

+Yahoo!ニュース-和歌山-紀伊民報

Posted by jun at 2006年12月26日 21:05 in 自然環境関連

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