2006年12月23日

ゆるやかなヨシ帯、在来魚のゆりかごに 近江八幡・西の湖一帯で

 琵琶湖で最も在来魚の種数が多い滋賀県近江八幡市の西の湖一帯で、コイやフナなどの在来魚の繁殖場所が、傾斜がゆるやかなヨシ帯のある周辺の湿地や河川に集中していることが、滋賀県琵琶湖・環境科学研究センター(大津市)などの調査で22日までに分かった。ヨシ帯の傾斜が急な西の湖湖岸では、オオクチバスの繁殖が目立ち、同センターは「在来魚の繁殖環境に地形が影響している可能性が高い」と見ている。

 今年5月、西の湖湖岸と西の湖に接している周辺の湿地や河川の水際で、調査員が2人一組で15分ずつ網を使って稚魚の捕獲調査をした。
 その結果、周辺の湿地や河川27地点で捕獲した444匹の稚魚のうち413匹(93%)が在来魚だった。一方、西の湖の湖岸27地点で捕獲した1372匹の稚魚のうち1323匹(96%)がオオクチバスで、生息分布が大きく分かれた。
 同センターによると、周辺の湿地や河川の5割近くが陸域からなだらかに続くヨシ帯だった。これに対し西の湖の湖岸は、陸域との連続性の少ない切り立ったヨシ帯が6割を占め、地形の違いが明らかになった。
 同センターの西野麻知子総括研究員は「切り立ったヨシ帯は稚魚の逃げ場所がなく、在来魚が産卵しにくい状態にあるのではないか。ゆるやかな傾斜地の多い周辺の湿地や河川が、西の湖の魚種の多様性を支えていると考えられる」としている。

+Yahoo!ニュース-滋賀-京都新聞

Posted by jun at 2006年12月23日 18:56 in 自然環境関連

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