2005年10月25日

スネークヘッド、バージニア州で拡散中/アメリカの害魚論

 basswaveでは“アメリカの害魚論”として、スネークヘッドやノーザンパイクを取り上げてきた。特にバージニア州を中心としたアメリカ東海岸では、2002年以降、スネークヘッドの成魚が発見され、池に毒を散布し全滅を試みている。しかし、今回伝わってきたニュースによると、成魚ではなく、20-25cmほどの若魚が1000尾ほどの群れで発見されたという。地元ゲーム&内水面漁業局(Virginia Department of Game and Inland Fisheries)は、「今後、スネークヘッドがこの水域でどのような行動を取るのか、予測がつかない」と漏らしている。スネークヘッドが本格的に拡散したバージニアでは、今後、どのような対策をねるのか、注目が集まる(注:ここで紹介するスネークヘッドは、英名northern snakehead-学名Channa argus。学名からカムルチーだと思われるが、記事内ではスネークヘッドと表記)。

 Washingtonpost.com10月11日付けニュースに「In Rain's Wake, a Deluge of Snakeheads」というタイトルの記事が掲載されている。内容は大雨が過ぎた後に、バージニア州ドグー・クリークに3名のアングラーが釣行してみると、増水したクリークの中に無数のスネークヘッドを発見。とりあえず100尾ほどを“引っかけ”のような感じで釣りあげた。釣れたサイズは平均20-25cm。小さな滝のような段差もサケが遡上するようにスネークヘッドが上っていたという。現在のところ、この水域でふ化した若魚だと思われる。
 アングラーのひとりは「最初、バスの群が小魚を追いかけていると思ったら、スネークヘッドの大群だったんだ」とその光景を語る。その後彼らはスネークヘッドを釣りはじめ、しかもランプで照らして夜通し釣り続けた。そうすれば誰かが「スネークヘッドを釣ってるようだぜ」と噂を流して、その結果、害魚駆除として賞金が授与されると思っていたらしい。
 
 バージニア州クロフトン・ポンドで最初にスネークヘッドが目撃されたのが2002年。池に毒を散布し成魚6尾と1000尾ほどの稚魚を駆除。その後バージニア州周辺の数州で数尾が発見され、成魚の州外への持ち出しなどを禁止する条例ができた。2004年にはポトマック・リバーとその流入河川、またリバーから孤立した周辺の池でも発見されるなど、生息域の広がりを見せていた。
 
 今回のケースは、前述のアングラーたちやその他の目撃者の証言により、ノーザン・スネークヘッド(学名Channa argus)であるのが判明。当局は「(スネークヘッドは)生態系のトップに立つプレデターで、バスの競合種になる。彼らがどう生き残っていくのか、見てみないとわからない部分もある」とコメントしている。
 またDNRの発表によると、昨年はポトマック・リバー水系で90尾が捕獲され、今年に入って70尾が捕獲された。当初、「スネークヘッドは(バージニア州の)冬を越せない」や「産卵は成功しない」と言われていた。しかし、今回のスネークヘッドの若魚の大群事件もあり、当局は驚きを隠せないようだ。
 現在、毒を再度散布するなどの計画は出ていないが、なんらかのかたちで捕獲、駆除を行なうと思われる。ただし、数が数だけに、全滅させるのは不可能に近いだろう。

+Washingtonpost.com「In Rain's Wake, a Deluge of Snakeheads」
+Protect Your Waters
+Invasive Species Info.com
+basswave内-過去のスネークヘッドログ

Posted by DODGE at 2005年10月25日 20:28 in 海外フィッシング事情

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