2005年01月13日

世界の漁獲量、半世紀で5倍 乱獲深刻 中国消費が突出 FAO統計

 世界の漁獲量がこの半世紀で約五倍に増え、世界規模で深刻な乱獲が進んだことが、国連食糧農業機関(FAO)の統計で分かった。研究者らの調査では、世界の魚種の約三割が過剰に取られており、海域によっては五年間で魚が四割も急減したという報告もある。低カロリーの魚への需要が増大するなか、国際規制を守らない操業のケースもあり、生態系全体に着目した漁業資源管理などが課題になっている。

 ◆食料供給腐心
 FAOの統計によると、世界の漁獲量は、一九五〇年の約二千万トンに対し、二〇〇〇年には約九千四百八十万トンになり、過去最高。うち中国の漁獲量は千七百万トンと突出、二位ペルーの千七十万トンを大きく上回っている。三位の日本は五百万トンほどだ。中国は、九四年以降、北西部太平洋、東シナ海を中心に漁獲量を増やし、魚の世界最大の生産・消費国となり、FAOの推定では中国人一人当たりの推計消費量は七二年の四・四キロから九九年には二五・一キロに増加した。日本の場合は約二十年間、一人当たり約七〇キロで、横ばいに推移している。
 中国では所得の増加とともに水産物の需要が増え、海や湖、河川の養殖業の急速な振興を図った。農水省では「あれだけの人口を抱え、食料供給に腐心。これまで必ずしも頼っていなかった水産物に頼っている」とみている。
 ◆急減海域も\n 世界で漁獲されている約四百四十魚種のうち、28%が過剰に漁獲され、47%が限界ぎりぎりに漁獲されている。FAOは報告書で数字を挙げ、研究者は、生態系全体に着目した資源管理の導入や公海での違法操業の規制強化を指摘した。日本の遠洋水産研究所も「世界の魚種の四分の一が乱獲で、全体の半数はグレーゾーンだ」と同じ見方だ。カツオやマグロの漁獲が過去二十年間で二倍以上に増加し、刺し身向きのメバチマグロなどが取り過ぎの傾向にある。
 FAOアジア太平洋地域事務所の報告書によると、アジア・オセアニアでは海域によって、魚の数が五年間で四割急減した例もあるという。
 日本では、水産庁が発表した魚種の十六年資源評価で、大衆魚のマイワシ、マサバ、スケトウダラが日本近海で激減している。とりわけ日本海のマイワシは十七年も減少が予測され、枯渇の危機にある。三魚種の激減は(1)エサのプランクトンの減少など海洋環境の変化(2)資源量が低水準のときには漁獲割合が高い−ことが主な要因だ。三魚種とも漁獲量が少なくなると価格が高騰するため、漁業者にとっては取りたい魚種となる矛盾があり、資源回復のメドが立っていない。漁業者だけでなく消費者も参加するまったなしの資源回復が急がれる。(産経新聞)

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Posted by jun at 2005年01月13日 10:04 in 自然環境関連

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