2004/2/10
ジョン・サッピントン、ボート事故で負傷

 
2002年WAL-WART FLWツアー・チャンピオンシップ覇者のジョン・サッピントンが、第2戦ルイジアナ州アチャファライア・ベイジン大会のプラクティス中に事故に遭遇した。
 事故はサッピントンが川を走航中に発生した。その川に架けられた橋は大型船が通過する際ケーブルによって橋が引き上げられるのだが、サッピントンが通過しようとしたとき、ケーブルが水中から突然上昇しはじめ、サッピントンの頭に直撃。彼はそのときヘルメットを着用していたため大怪我にはいたらなかったが、首と背中を負傷した。またライフジャケットも着用していたが、ボートから振り落とされるほどではなかった。サッピントンは事故の20分後にレスキュー・ヘリコプターによって救出され、地元の病院に搬送された。
 サッピントンは今後3ヶ月、頸椎固定器具の着用を義務つけられているというが、快復も早く、2月上旬には退院する。彼の今後の大会参戦などについては発表されていない。

2004/2/10
BASS CITGO Bassmaster Tour第2戦
初日から最終日までの経過


 
第1戦終了から1週間も経たずして開催されたバスマスターツアー第2戦は、アラバマ州北部に所在するスミス・レイクにて2月5〜8日の日程で開催された。前試合が開催されたフロリダ州ハリス・チェーン・オブ・レイクスからスミス・レイクまでは普通の運転で8時間かかる。疲れた身体にムチを打ちバスボートを牽引すれば、10時間の移動を予定した方がいい。さらに、3日間の公式プラは第1戦最終日の翌日(月曜日)からスタートし、本戦は木曜日から開始される。つまり、第1戦の最終日まで残ったアングラーは、休まる時間がほとんどない状態で第2戦を迎えたと言っていいだろう。

 スミス・レイクの全貌については、当サイト「文字ニュース(2004年2月5日付け)で掲載したとおり。そのロー・ポテンシャルに加え、初日は豪雨(1日で10cmは水位が上昇したらしい)、雷、風、気温は10℃以下と「これほど過酷な試合は聞いたことがない」という前代未聞のタフマッチと化した。どれほどハードだったのかというと、初日157名参戦中62名がノーフィッシュ(39%)。ここにはゲーリー・ヤマモト、デイビッド・ウォーカー、ゼル・ローランド、ローランド・マーチンなどと有名アングラーも多い。また田辺哲男さん、宮崎友輔さんもノーフィッシュで帰着した。
 そして2004年2月5日付け文字ニュースで記載したスロットリミットによるウエイインできるサイズは、12in以上13in以下のバスと16in以上のバスであることが判明。初日ウエイインされたバスの多くは12〜13inだったというから、いかに16in以上のバスを釣るのが難しいかが垣間見える。

 さて、初日にリミットメイクできたのはわずか3名。1位にグレッグ・ハックニーが16Lb、2位リー・ベイリーが14Lb2oz、リック・クランは5尾をウエイインしたものの6位タイに付けた。その他清水盛三さんが17位タイ、桐山孝太郎さんが47位タイ、大森貴洋さんが58位に付けた。
 2日めは雨模様のなかスタートしたが、降雨は長く続かなかった。それでも気温の上昇はなく、昨日から続いた雨で水位も2mほど上昇。アングラーはマッディー・ウォーターな湖面を彷徨った。
 初日2位に付けたリー・ベイリーは4Lb6ozのグッドサイズをウエイインするが、1尾のみとなってしまった。ところが、昨日のウエイトに助けられ、予選2日めのトップに立った。初日43位に付けたジャック・ギャドレッジが5位に、67位に付けていたジェラルド・スインドルが8位に、ノーフィッシュで96位タイに付けていたスコット・サッグスが9位にジャンプアップに成功した。
 注目したいのは、この日ノーフィッシュで終えたのは68名。この中には初日首位のグレッグ・ハックニーも含まれている。また2日間ともノーフィッシュで帰着したアングラーが29名存在する。その中には、130位タイで終了した田辺哲男さんも含まれている。
 第2戦の予選を通過できなかった桐山孝太郎さんは22位、2日めノーフィッシュに終わった清水盛三さんは56位、84位に宮崎友輔さん、69位に大森貴洋さんが入った。

 トップ12名にカットされて行なわれたツアー第2戦3日め。スロットリミット、情報量の少なさ、最悪の天候と考えられる悪条件が一堂に会した同大会で、もっとも恐れていたことが起こった。決勝ラウンド初日、ついに降雪に見舞われた……。ここまで来れば、後は最終日に繋げられるウエイトを持ち込みたい。そんな思いを胸にツアー参戦2年めのカリフォルニア在住アングラー、チャーリー・ウェイヤーは初日からコンスタントなウエイトを持ち込み、見事首位に躍り出た。「昨日の終了間際に見つけたエリアで釣った。朝9時には3尾を持っていた」と語り、「明日、ゼロで終わるわけにはいかない。こんなシチュエーションにはいまだ遭遇したことはないが、明日もビッグバイトを掴みたい」と加えた。
 2位に入ったエドウィン・エバースは「とりあえずキーパーを獲るために、あちこち走り回った。(この日、2尾をスピナーベイト、2尾をクランクベイトで釣り上げたことから)バスのバイトはよくなった気がする」と述べている。
 今大会もっとも注目されているジェラルド・スインドルに展開を見てみよう。彼はスミス・レイクに比較的近い町で育ち、同大会においてはもっとも同湖を熟知するアングラーとしてBASSサイトに紹介されている。彼は初日1尾で2Lb6oz、2日め4尾で12Lb1ozをウエイインし、 決勝に駒を進めた。3日めは3尾で7Lb15ozを持ち帰り、5位に付けた。

 目まぐるしく変わる天候の中、多くの選手が手探りで釣り抜いたバスマスターツアー第2戦。6名にカットされて競技された最終日、初日から安定したウエイトを持ち込んだチャーリー・ウェイヤーが悲願の初優勝を果たした。彼はこの日のビッグフィッシュ賞となった3Lb12ozを含む8Lbをウエイイン。トータルを32Lb10ozとし、2位のマーク・タッカーにおよそ4ポンドの差を付けて頂点に立った。
 メジャー初勝利となったウェイヤーは「たくさんの観衆からサインをねだられるんだ。信じられないよ。言葉にならない」と感情を露わにし、「これほどタフな大会は経験したことがない。最初は毎日3尾ずつ釣れればいいと思ってた。予選通過をねらっていたからね。今日は12時になっても1尾もライブウェルに入っていなかったんだけど、その後、昨日3尾釣ったスポットに移動して、2時間で3尾釣り上げた」と振り返った。
 地元出身のジェラルド・スインドルは最終日ノーフィッシュに終わるが5位入賞を果たした。「今回は(自分自身に)失望している。今までこれほど一生懸命悩んで、考えて、ハードに釣りをしたことはない。ホントだよ。今回ほど勝ちたいと思ったことはない」と語った。

 バスマスターツアー第3戦は、2月26〜29日の日程でアラバマ州レイク・ガンターズビルを舞台に開催される。

2004/2/9
リーア・トゥリューのデカバス
ワールドレコードは幻に……


 昨年12月、リーア・トゥリューのデカバス写真を見て世界が揺れた。あのサイズを見れば、誰でも驚愕するであろう。釣り上げられたフィールドは、カリフォルニア州スプリング・クリーク・レイク。数年前にもモンスターバスが釣り上げられたことで有名である。これまでにもワールドレコード級のバスが各所で釣り上げられ、写真を含めた書類がIGFA(International Game Fish Association)に届けられたが、証拠不十分で却下されている。釣り上げた瞬間の感情の高ぶりはプライスレスだ。ところが、それがワールドレコードバスであったなら、名誉や幸運だけでなく、ビジネスが絡んでくるから話がややこしくなる。
 たとえば、昨年10月にアイオワ州在住の15歳の少年がハンティング・キャンプ参加中に仕留めたホワイトテイル(シカの一種)は、オスシカのレコードサイズと認定された。多くのハンターがするように、そのシカの頭部のラック(剥製)を製作すれば、10万ドル(約1200万円)で売却されるだろうと囁かれている。その後、彼にはメディア登場のたびに出演料が支払われ、使用した道具のプロモーション料、写真使用料、レプリカ制作許可と印税、そしてカベラスは2億5000万円でそのシカの剥製をストアーに飾らせてほしいとオファーを入れたというから次元が違う。

 ところが、リーア・トゥリューの場合は、この少年ほどラッキーではなかった。もう少しで億単位のお金が転がり込むところだったが、IGFAは証拠不十分のためワールドレコードに認定できないとアプリケーションを却下した。

 IGFAはThe Tullahoma Newsに対しこのように回答ている。
 「IGFAは1939年以来、世界のゲームフィッシュの記録を守ってきた。私たちは非営利団体として、その責任を真剣に全うしている。22.5ポンドのバスのアプリケーションを受け取って以来、IGFAの審査委員会はあらゆる角度から詳細な部分を調査した。昨年8月24日にリーア・トゥリューが彼女の息子との釣行中に釣り上げたバスは、ジョージ・ペリーが71年前に記録したオールタックル部門の22.25ポンドのバスを上回るものだった。ペリーの記録は淡水のゲームフィッシイングにおいて、もっとも認知されている。遺憾ながら、トゥリューさんが提出した書類は私たちを満足させるだけのものではなく、それを新記録として認めることはできなかった」。
 提出されたアプリケーションのほかに、バスを実際に確認した証人など、IGFAを納得させるためには数々のステップがあるのだが、以前当サイト「文字ニュース(2003年12月23日付け)」でもお伝えしたように、彼女のアプリケーションには不明な点、証明できない点が多数存在した。IGFAの代表、ロブ・クレイマーも「ワールドレコードというもっとも偉大な記録に挑もうとしている反面、提出物からは重要な部分が多く欠けていた。実際にあのバスは本物だったのかもしれないが、疑ってかかったとき、それをバックアップできる記述や証拠が少なすぎた」と述べている。
 IGFAは過去7年間で2度バスのオールタックルのワールドレコードの申請を受けた。両バスが同じレイクで釣り上げられている。最初のケースは、IGFA認定のスケールで計量していなかったため、それが引き金となって新記録として認定されなかった。
 トゥリューはIGFAからの結果を聞いたとき、論争にもならず素直に受け入れたという。


ソース

IGFAのここ
FLW Outdoorsのここ トゥリューの写真
The Tullahoma Newsのここ


2004/2/5
バスマスターツアーは早くも佳境入り!?
第2戦スミス・レイクは今シーズン一番の難所 


 
バスマスターツアー第1戦が終了してわずか1週間。2月5〜8日の日程で、早くも第2戦がアラバマ州スミス・レイクを舞台に開催されようとしている。では「何が佳境なのか!?  何が難所なのか!?」を説明していきたい。 
 まず、今回のトーナメントウォーター、スミス・レイクはメジャーなフィールドとはいえず、まったく情報が少ないフィールドなのだ。「Smith Lake」とサーチエンジンに入れて検索してみるが、バス釣りに関する情報が非常に少ない。一方でストライパー(ストライプトバス)の情報はたくさん出てきた……。そもそもBASSがこの湖で最後に大会を開催したのは1968年というから、約35年前。それ以前は1967年に1回と、BASSは今までに2度しかこのスミス・レイクでトーナメントを開催していないのだ。しかも、それ以降ここでメジャーなトーナメントは一切開催されておらず、ある意味“シークレット化”した状態だったのだ。 

 かつてBASSが発行した1997年のBASSMASTER CLASSIC REPORT誌によると、このスミス・レイクで初めてBASSトーナメントが開催されたのが1967年。ちなみに、この大会はBASSのトーナメントとしては第2回めとなるが、このときのウイナーはジェラルド・ブランチャードで、ウイニングウエイトは42Lb。翌年の1968年に開催されたB.A.S.S. デキシー・インビテーショナル大会(同じくこちらは通算7回め)では“T”のキャップでお馴染みの、あのビル・ダンスが48Lb3ozで優勝を飾っている。ところが、BASSのサイトでは当時の詳細な資料が掲載されていない。 
 なにしろ、当時はBASSの創成期。1967年大会の参加者はわずか12名で賞金総額7080ドル、1968年大会が20名の参加で賞金総額6215ドルである。どちらも3日間の大会だが、細かいルールやバッグリミットなどは不明。かつてのBASSトーナメントのバッグリミットは7尾だったが、優勝者が何尾ウエイインしたのかなどもわからないのだ。 

 “今シーズン一番の難所”と書いたのは、この状況でもわかるように、このスミス・レイクに関してはあらゆる意味で情報量が極端に少ないためだ。メジャー大会が開催されていないこともあり参考記録となるウエイトも不明、地元のアングラー以外に釣行する者が少ないので、遠方のアングラーがレイクの状態を知る手立ては皆無。アラバマ州といえば無数の自然湖、人造湖、河川が点在している。わざわざ情報量の乏しいレイクを選んで釣行する必要がないことも、この状況に拍車をかけているのだ。 
 この結果、このレイクに関する情報はほとんど出回っていないといっても過言ではない。ゆえに、選手は自分のプリプラクティスとプラクティスのみから情報を得なくてはならないわけだ。今シーズンから加わった「ノー・インフォメーション・ルール」、そして「30日間オフリミット・ルール」もあり、今季のスケジュールが発表されるや否やアングラーが向かったのは、このスミス・レイクだったと伝えられている。なぜなら、第3戦から最終戦までのフィールドは、いままでに幾度となく大会開催湖として使用されてきた有名レイクばかりで、ある程度の予測がつく。

 ところが、スミス・レイクに関しては、ツアー参戦者の中にも同湖の釣りを経験した者がほとんどいないためだ。 そして、一番のポイントとなる部分がバスのサイズである。スミス・レイクにはラージマウスもいるのだが、断然スポッツ(スポッテッドバス)の方が多い。メインパターンがスポッツ攻略になるのは間違いない。またこの湖ではスポッツのワールドレコードである8Lb15ozが釣り上げられていて、ある時期はスポッツ・レコードの上位5位を独占していたほどのレイクなのだ。 

 その後、このスポッツのポテンシャルに目をつけた西海岸のレイク管理局は、スポッツをスミス・レイクから西海岸のフィールドに移入している。それほどこの湖におけるスポッツのポテンシャルは高いと言われていたらしい。 
 ところが、実際のスミス・レイクでは、スポッツのグッドサイズが釣れにくくなっているという。そのため、漁場管理局はスロットリミット制度を設定。13in未満のスポッツは持ち帰りを奨励し、。また13〜16inのスポッツはリリースを義務づけた。つまり、13in未満、および16inを超えたスポッツのみがキープできることになる。 
 そして、このルールは大会中も摘要される。開催される場所によって異なるが、多くの場合BASSルールでは原則として12in以上がキーパーサイズとなっている。しかし、今大会は地元のレギュレーションに沿って開催されるため、16inを超えたバスがキーパーサイズとなった。しかも16in超えたスポッツをこのレイクで釣るのが、どれだけ難しいことか……。一説には、半分以上のアングラーがノーフィッシュになりかねないという。 
 興味深いのは、現在のところBASSがキーパーサイズを12inにするのか、16inにするのかが不明な点だ。公式ウェブサイトには12〜13inのバスを持ち込むアングラーが多いだろうとの記事が掲載されているのだが、別の記事では16inオーバーのためノーフィッシュが多いだろうと書かれている。こういったローカルルールを含めたオフィシャルなルールは、大会前日のブリーフィングでトーナメントディレクターからアナウンスされるので、これに関しては詳細が分かり次第レポートすることにしよう。  
 ちなみに、FLWでは、これまでにローカルのスロットリミットが大会に採用されたケースが存在している。2002年のFLWツアー・チャンピオンシップが開催湖されたルイジアナ州のクロス・レイクではローカルルールとして定められたスロットリミットにより、12〜14in、そして17in以上のバスがウエイインできるという異例のルールが採用されていた。また、BASSとの協議によってローカルルールが特例として変わったケースもある。たとえばワシントン州のコロンビア・リバーでは、通常バスのバッグリミットは3尾、釣っていいバスの数が5尾となっているが、トーナメント参加者のみ5尾のキープと無制限に釣ってもいいという特例が認められている。このため、監視員から見分けやすくするため、アングラーたちはコンテストバンドと呼ばれるラバー製のバンドを船外機の装着することが義務づけられている。 

 さて、スミス・レイクはアラバマ州北部に横たわるシプシー・リバーをダムでせき止めたクリアー・ウォーターのリザーバーだ。ロック、ハンプ、スタンプといったスポットも多いが、やはりディープ攻略がメインメソッドになるだろう。なぜなら、先日開催されたハリスチェーン大会とは異なり、この地域はまだ冬であるためだ。スポッツはもともとディープレンジを好み、さらにラージマウスより低温で産卵するためシャローを意識したバスも中にはいるだろうが、気温などを考慮すればディープのウインター・パターン主体の展開が予想される。この展開となって粘り強さを発揮するのは、レイク・シャスタやレイク・オロビルなどクリアーでディープレンジが多いフィールドで鍛え上げられた西海岸勢だろう。スキート・リース、アーロン・マーテンス、ブレット・ハイト、ジョン・マーレイ、マーク・タイラー、ルーク・クラウセンなどが上位に入る可能性は高い。また、西海岸でディープレンジでのスポッツを数多く経験している桐山孝太郎さんや、もともと西海岸を拠点としていたジェイ・イエラスやマーク・リスク、ベン・マツブ、ゲーリー・ヤマモトにも注目したいところだ。 

 なにより、第1戦で不本意な成績を残した選手は、この第2戦で上位入賞を果たさないかぎり、第3戦以後に勝ち上がるのは至難のワザである。一方で、第1戦の上位入賞に続き、第2戦も好成績を残せたアングラーは、次節以降の展開が非常に有利になる。これらすべての要因を考慮した場合、田辺哲男さんへの期待が俄然高まる。田辺さんはリザーバーにおけるパターンフィッシングの猛者であり、スモールクランク、スピナーベイトのスローロールの第一人者でもある。冬のリザーバーとなれば、相手がスポッツであろうと先鋭的な攻防を見せてくれるはずだ。また初戦を135位で終えているため、第3戦以降へ望みを繋げるためにも、今大会ではなんとか上位に入賞してほしい。 
 ちなみに天候は初日から雨の予報で、最終日になんとか晴れるとのこと。予想最低気温は氷点下で、日中でも10℃前後だそうだ。はたして、バスマスターツアー史上最低ウエイトの更新となるのか!?


2004/2/5
エバースタート・ウェスタン第1戦 
「初日から最終日までの経過」


 FLW TOURに続く第二のカテゴリー、エバースタートシリーズはイースタン戦に続き、ウェスタン・ディビジョンも開幕となった。第1戦は1月28〜31日の日程でアリゾナ州レイク・プレザントを舞台に開催された。「プレザント」とは英語で「気持ちのよい」や「感じのいい」といった意味で、ここでの釣りは非常に心地よいものだと伝えられている。しかし、今回ばかりは気持ちのいい釣りができたアングラーはけっして多くなかったようだ。 
 ウェスタン第1戦初日にバッグリミットの5尾をウエイインしたのは、160名中わずか38名のみ。トータルウエイト10ポンド以上をウエイインできたのは、たったの3名のみという波乱の幕開けとなった。

 初日、地元アリゾナ州在住のルディー・バルディザンJr.が12Lb7ozをウエイイン。2位にはマーカス・クロース、3位にデレック・ヤマモト、4位にポール・ホッジ、5位にマイク・ブッシュと続いていた。たとえばヤマモトは、「今日はラッキーだったと思う。あっちで1尾、こっちで1尾のような感じでパターンが読めない。スーパー・スローな1日だった」とコメントした。
 
 2日め、初日トップのルディー・バルディザンJr.がトータルを17Lb7ozにし、予選を首位で突破した。マーカス・クロースが2位、ケビン・マーチンが3位に入った。またU.S.OPENで3度の優勝経験があるマイク・フォークスタッドが5位に浮上している。 初日の昼ごろから降り出した雨がやみ、気温が上昇したためバスが天候の変化に順応できず、釣りは初日に増してタフになった。リミットメイクできたのは、たったの14名。時期的にレイク・プレザントではウインター・パターンが主体で、多数のアングラーがリバー・チャネルやディープスポットでひしめき合っていたという。 

 さて、トップ20にカットされて行なわれたセミファイナル。ジム・ライオンが5尾で8Lb5ozをウエイインし首位に立った。風が吹き抜けた2日めに対し、3日めは午前中に風が止み、ここ1週間でもっともクリアーな空が顔を覗かせた。ライオンは「私のパターンはそれほど天候に左右されていない。明日も同じことをするだけ」と語った。台風の目になるだろうと予想されたマイク・フォークスタッドは8位に後退。「キーパーは4尾しか釣れなかったが、ノンキーパーを8、9尾釣っている。ディープに行けばグッドサイズがいるのはわかってる。でも、バイトが少なくなるから気をつけなければならない」と述べた。 

 最終日、初日から常に上位にくい込んでいたマーカス・クロースが今大会2番めとなるビッグウエイト(12Lb1oz)をウエイインし、2位に5ポンドの差を付けて優勝を飾った。クロースは4日間同じスポットでダウンショットリグを多用し、勝利を呼び寄せた。ラスベガスからほど近いヘンダーソンに住んでいるクロースは1998年のU.S.OPENで優勝、BASSウェスタンオープンにも出場していたが、ここ数年間はトーナメントから離れていた。今大会が復帰第1戦であり、彼にとっては最高の復帰戦となったようだ。その他、アート・ベリーが2位に、ジム・ライオンが3位、マイケル・ベネットが4位、マイク・フォークスタッドが5位に入った。


2004/2/4
バスマスターツアー第1戦
「初日から最終日までの経過」


 FLWツアー開幕から遅れること1週間。世界最高峰のバスフィッシング・トーナメント・トレイル、BASS CITGOバスマスターツアーが、1月29〜2月1日の日程でフロリダ州ハリス・チェーン・オブ・レイクスを舞台に開催された。ハリス・チェーンといえば、これまでにBASSの大会が7度開催され、メガバックス大会やインビテーショナル戦、また昨年はバスマスターツアー第1戦の舞台にもなっている。ところが、メガバックスが開催されなくなってからというもの、ハリス・チェーンにいい印象を抱いているアングラーはけっして多くないことだろう。
 当サイト「ハーレーズ・ダイアリー第2回」でハーレー・スミスさんも書いていたが、ここはBASSの最少ウエイトが記録されたレイクであり、昨シーズンのツアー第1戦も「本当にここは、フロリダなのか!?」と疑いたくなるほどローウエイトが続出。とにもかくも、タフなレイクという悪いイメージのある場所だといえるだろう。今大会の開催直前にBASSサイトに掲載されたプレビュー記事には、「昨年よりウエイトは伸びるだろう」と予測されながらも、アングラーたちはインタビューで「難しい大会になるだろう」と答えている。
 
 しかしフタを開けてみると、初日はフロリダらしいビッグウエイトが飛び出した。10ポンドオーバーも釣りあげられ、ハリスチェーンは「釣れない湖」という汚名を返上した。
 先日レイク・オキチョビーで開催されたFLWツアー第1戦でもそうだったが、現在フロリダのバスはスポーニングシーズンを迎えている。オキチョビーがスポーニングのまっ最中だったのに対し、ハリスチェーンではプリスポーンに近い状態だったといえる。またレイク自体がオキチョビーほど広大ではないため、どれだけ早く“マイ・ネスト”に辿り着き、釣り上げるかも大きな要因の1つであったようだ。

 そのファクターを上手く作用させたのが、初日の首位に立ったアルトン・ジョーンズである。彼は150艇出場の大会で17番めにスタート。5投めで10Lb13ozのビッグフィッシュをキャッチする。その後、スタートから3時間でリミットメイクに成功。見事なトータル27Lbをウエイインした。ジョーンズは「この10パウンダーは、プラのときに見つけたんだ。それでケリー・ジョーダンに『アイツは10ポンドはあるぜ!』って言ったら、ジョーダンは『テキサスのアングラーは、魚をデカく言うからなぁ。ありゃぁ、8ポンドだな』と返してきた。見てもらえばわかるけど、10Lb13ozだったよ」とエピソードをもらした。ちなみに、ジョーダンもテキサス州在住である。ジョーンズは「17番めにスタートしたけど、それでも先客に釣らているだろうと思っていた。ラッキーにも、スポットに到着したら、誰もいなかったんだ」と加えている。
 一方で3位に入ったティム・ホートンは、「41番めにスタートしたんだけど、スポットに向かったら、アルトン・ジョーンズが釣ってたんだよ。仕方がなく、そこを素通りして別のネストを攻めた」と語った。また「今日は段々寒くなってきたから、これが今後の釣りを左右するかもしれない」と予測したが、それが3日め以降に的中する。

 2日め、初日2位につけたジェイソン・クインが15Lb1ozをウエイインしトータル39Lb15ozでトップに躍り出た。トップ20に入ったアングラーの2日めのウエイトを見てみると、15〜17Lbをウエイインしている。ところが、デビッド・ワートンは2日めの最大ウエイトである26Lb7ozを持ち帰り、35位から2位にジャンプアップを果たした。ワートンは「特別な釣りをしたわけでもなく、スピナーベイトで流して釣った。プラのときに見つけたベッドはあえて初日に触らずに、(釣られていないことに)賭けた。今日、9パウンダーと8パウンダーを釣り上げた」と語った。
 この日は初日より気温が若干上昇したが、全体的に曇り空だったためバイトがスローになった。
 期待のラリー・ニクソンは13位で大会を終えた(3日めはトップ12、最終日はトップ6で競技される。またトップ6をBASSではSuper Sixと呼んでいる)。昨年度第1戦覇者のスキート・リースは24位、桐山孝太郎さんは53位、地元フロリダのショー・グリズビーは55位、清水盛三さんが76位、ケビン・バンダムが101位、新進気鋭のルーキー、ビンク・デサーロが102位、宮崎友輔さんが119位、田辺哲男さんが135位でフィニッシュした。

 トップ12名で競技されるセミファイナル。昨年、第33代バスマスター・クラシック・チャンピオンに輝いたマイケル・アイコネリが首位に立った。コロコロと変わる空模様に12名のアングラーも苦戦を強いられた。初日から徐々にウエイトが下がる傾向にあり、サイトフィッシング・パターンも難しくなっている。その状況でトップに立ったアイコネリの強さには素晴らしいものがある。たとえば初日首位のアルトン・ジョーンズは3日め2尾で6Lb10oz、2日め首位のジェイソン・クインは1尾で1Lb14ozと低迷した。また2日めにビッグウエイトを叩き出したデビッド・ワートンはノーフィッシュに終わり、唯一の日本人アングラーとしてセミファイナルに挑んだ大森貴洋さんも1尾で1Lb2oz、前日と変わらない12位で大会を終えた。
 アイコネリは「天候の変化がバスの活性を悪化させた。私も迷った部分はあったが、(プラから3日めまでの)同じパターン(サイトフィッシング)でいこうと決めて、ずっと同じスポットから動かずにいた。なんとかリミットを取りたかったし、最終日に残りたかった。でも、まさかトップになるとは思わなかった」とタフなコンディションを語った。
 同大会の最年長アングラー、トミー・マーチン(63歳)は、「ずっと3〜4パウンダーを釣ってきたが、今日はまったく反応がなかった。最終日に残れるとは思わなかった」と語り、なんとか6位でファイナルに繋げた。
 ノーフィッシュを食らったワートンは「昨日はずっとスピナーベイトを投げて、あの結果だった。今日も同じことをやったけど、今日のバスはスピナーベイトに興味がなかったんだろうね」と話した。
 2位に入ったバド・プルーイットは3尾のみのウエイインとなったが、この日の最大魚となった6Lb3ozを持ち込み、最終日に繋げた。

 マイケル・アイコネリがトップに立って迎えた最終日。3日めの午後から降りはじめた雨は止むことを知らず、最終日は1日中冷たい雨の中で行なわれた。スタート時の気温は12℃。降雨がなくとも震え上がる寒さのなか、ネストのバスは移動せずステイしていたのだろうか。
 フリッピング・パターンを捨てたマーティー・ストーンは、3日めデビッド・ワートンを苦しめたスピナーベイトでギャンブルに出た。「昨日の終了30分前に釣れた1尾を除いて、今週はまったくスピナーベイトにバイトがなかった。それでも今日は朝からスピナーベイトを投げた。45分くらいやって反応がなくて、フリッピングにチェンジしてもダメだった。そのとき、『負けても勝ってもスピナーベイトでいくか!』と決めた」と語る。「(先にウエイインした)ブレント(チャップマン)はいいのを持っていたし、スコット(ルーク)のウエイインバッグも大きく膨らんでた。ヤバいなぁって感じだった。(ストーンは最後から2番めのウエイインで)後ろにはマイク(アイコネリ)がいたんだけど、彼のバッグは意外と小さく見えた。そのとき、『イケるかも!?』と思ったんだ」とストーンは語り、彼の予想は見事に的中。自身2度めの優勝となったわけだが、初優勝は1999年のバスマスター・トップ150(アラバマ州レイク・ウィーラー大会)。以来5年ぶりに頂点を奪取した。
 「スタートして10分くらいで6パウンダーをかけたんだけど、ラインブレイクしてしまった」と語るのは2位に入賞を果たしたスコット・ルーク。「(2位になって)ハッピーなんだけど、自分に落胆もしている。勝てる大会だった」と振り返った。
 バスマスターツアー第2戦は2月5〜8日、アラバマ州スミス・レイクで開催される。

2004/1/28
ラリー・ニクソン、
手の負傷が完治せずとも参戦


 
ラリー・ニクソン、53歳。アーカンソー州在住のプロアングラーで、BASSにおいて14回の優勝を経験、BASS創世記から釣り続けるバスフィッシング・レジェンドのひとりである。しかし長年の疲労が蓄積されたためだろう、利き腕であり、キャスティング・ハンドでもある右手と手首から痺れが取れず、昨シーズンはその痛みに悩んでいた。そしてBASSとFLWがオフシーズンとなった10月に手術を決意。外科医は右手と手首を繋ぐ小さな骨2本を繋げたのだが、免疫性が強く親指を動かすたびに強烈な痛みが走ったため、コルチゾン(リューマチの治療などに適用されるホルモン剤の一種)を投与して過ごした。
 術後、ニクソンは8週間に渡りギブスをはめて手首を固定していたわけだが、10月1日に手術が行なわれたとしても、12月初旬まで右手を使えなかったことになる。それにもかかわらず、彼はほぼ毎日裏山にハンティングに行っていたらしい……。

 ギブスが取れたころ彼はBASSウェブサイトで語っている。「8週間動かせなかったんだから、筋肉が弱った。リハビリとしてゴムを引っぱったり、ゴムボールを握ったりしたが、日々よくなってきている。2日くらい前に、術後はじめてキャストの練習をしてみたんだ。どんな感じだろうって。手首はスプールを前に振りかぶれるのかとか。そうしたら、1投めは(支えきれなくて)後ろに飛んでいった。でも、『ヤレる!』っていう強い気持ちもあるし、大丈夫だと思うよ」とコメントしていた。

 それからどれだけ練習したのかはわからないが、ラリー・ニクソンは先日開催されたFLWツアー第1戦に満を持して出場した。初日は見事なビッグストリンガーを持ち帰り、首位に立った。予選を2位で通過したニクソンだったが、決勝初日、なんと1尾で13oz(約400g)しかウエイインできなかった。最終日、7Lb5ozを持ち帰るが、時はすでに遅し。復帰後初の大会は9位に終わった。右手のハンディを背負いながらの出場で9位入賞とは素晴らしい成績である。
 ニクソンは1月29日からフロリダ州ハリス・チェーンで開催されるバスマスターツアー第1戦に出場する。彼は1988年、1990年にこの湖で開催されたメガバックスの両大会を制覇している。FLWでの善戦もあり、経験もあることで第1戦の優勝候補といっても過言ではない。
 近年ますます若い世代の活躍が目立つが、ニクソンをはじめ、ローランド・マーチン、デニー・ブラウワー、リック・クラン、ゼル・ローランドなど超ベテラン・アングラーも衰えてはいない。ニクソンをツアー第1戦最注目選手の1人として挙げておこう。

 

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[1月のNEWS]

2004/1/26
FLWツアー第1戦
初日から最終日までの経過

2004/1/23
オーストラリアン・ガール
キム・ベイン、FLWツアー参戦中

2004/1/22
まさか、こんなプロアングラーがいるとは……
オッチョコチョイな男、スティックラー

2004/1/21
ニシンがオナラをする!?

2004/1/19
BASSバスマスターツアー
ノー・インフォメーション・ルール

2004/1/16
BASSオープン戦にみるツアープロの強さ

2004/1/15
ゲーリー・クラインへの発砲事件
訴訟にもならず

2004/1/14
エバースタート・イースタン第1戦s
初日から最終日までの経過

[12月のNEWS]

2003/12/23
ラージマウスバスの世界記録更新か!?
22Lb8ozがカリフォルニア州で釣り上げられる

2003/12/9
BASS第1回オープン・チャンピオンシップ
初日〜最終日までの経過

2003/12/3
BASSオープン・チャンピオンシップ プレビュー

2003/12/2
アメリカ発ミシガンリグ

[11月のNEWS]

2003/11/26
ラウル・モリノーというスゴいヤツ

2003/11/25
BASSウェスタンオープン第3戦
初日から最終日までの経過

2003/11/17
BASSセントラルオープン第3戦
初日から最終日までの経過

2003/11/10
BASSサザンオープン第3戦
初日から最終日までの経過

2003/11/4
エバースタート・チャンピオンシップ
ファイナル・ラウンド

2003/11/2
エバースタート・チャンピオンシップ
セミ・ファイナル


[10月のNEWS]

2003/10/31
エバースタート・チャンピオンシップ 2日め、ウェンドラントがトップに

2003/10/30
エバースタート・チャンピオンシップ初日
好調ファーガソンがリード

2003/10/29
エバースタート・シリーズの歴史

2003/10/24
BASS オープン・チャンピオンシップ 開催日程+開催湖決定

2003/10/24
Busch社とBASSが新たにシュートアウトを発表
ウエイト制賞金レース

2003/10/15
ディズニー、PETAとタッグを結成“フィッシュ・アー・フレンド”

2003/10/8
BASS新AOYプログラムを発表 Buschに変わりCITGOがリード

2003/10/4
中央環境審議会の小委員会、
外来種対策に関する中間報告をとりまとめ

2003/10/1
BASS第34回バスマスター・クラシック日程、開催地、開催湖決定

2003/10/1
BASS、サザン・オープン第1戦

 

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