2004/1/26
FLWツアー第1戦
初日から最終日までの経過


 
2004年シーズンFLWツアー第1戦がフロリダ州レイク・オキチョビーを舞台に1月21〜24の日程で日開催された。2週間前にはエバースタート・イースタン第1戦が同湖で開催され、ちょうどプリスポーン期と重なるだろうと予想された大会であったが、本戦では不運ともいえる悪天候のため、期待されたビッグウエイトが出ないまま大会は終了した。その2週間後に開催されるFLWツアー第1戦では、スポーニングがらみのバスをねらったパターンが浮上するだろうと予測され、やはりサイトフィッシングをメインパターンとしたアングラーが初日の上位を独占するかたちでスタートした。

 大会初日、ラリー・ニクソンが首位を獲得。7Lb後半のビッグフィッシュ1尾と2尾の6パウンダーをキャッチし、5尾で28Lb6ozをウエイインした。「ほどよい風だったから、バスの活性を上げたんだろう。操船も難しくなかった。」と語った。この彼のビッグウエイトは、FLWツアーにおけるワンデイの歴代3位に相当するもの。ちなみに1位は1996年にジェフ・コーブルがアラバマ州サンティー・クーパーでウエイインした29Lb6oz、2位は1997年にジョー・トーマスがケンタッキー州ケンタッキー・レイクで成し遂げた28Lb7ozである。ニクソンの記録は2003年にマイク・サーマンがウエイインした27Lb6ozのオキチョビー記録をも塗りかえたことになる。
 FLWツアー参戦2年めを迎えたクリス・マッコールは初日2位という素晴らしいビッグウエイトを持ち帰った。しかしマリーナに帰着するなり、彼の母親がこの日の早朝に心臓発作で亡くなったと伝えられた。ウエイトとは裏腹に、彼にとってはつらい初日となったことだろう。
 2003年度BFLオールアメリカン・チャンピオンのトニー・クリスチャンはツアー初出場ながら安定した展開に持ち込み18位に入った。
 200名が出場し174名がリミットメイクに成功、ノーフィッシュもゼロという素晴らしい初日となった。

 2日め、初日2位につけたクリス・マッコールは訃報を退け、見事予選ラウンドのトップに躍り出た。マッコールは2日間で合計46Lb6ozをウエイイン。これはFLWツアーにおける2日間合計の歴代3位に値する記録となった。ちなみに歴代1位はダレル・ロバートソンが2003年サウス・キャロライナ州レイク・マーレイ大会でマークした49Lb8oz、歴代2位はピーター・スリベロスが1998年ケンタッキー州ケンタッキー・レイクで成し遂げた47Lb5ozである。
 2位に転落したラリー・ニクソンであったが、「フロリダバスはノーザンラージマウスとは違って、バイトモードのときにしかバイトしないんだ。長い経験の中で、彼らがバイトするまで待てずに移動したこともあったが、今日はなんとか自分自身を落ち着かせて、バイトを得ることができた」と語った。

 大会も大詰めを迎えはじめたセミファイナル早朝、連日続いた好天候に終止符が打たれ、アングラーは急激な気温低下と風に悩まされた。そのため、サイトフィッシングでビッグウエイトを掴んでいた選手は、波で魚やネストを見つけることができず難しい展開と対峙した。
 終始、湖南エリアをフリッピングで攻略していたレイ・シェイーデが3日めをリード。今年はウイードベッドが少ないといわれているが、それでもウイードパターンを頑固に押し通したシェイーデは14Lb5ozをウエイイン。1 1/2ozのタングステンシンカーを用いたフロリダ流パワーゲームを貫いた。彼は今季からFLWツアーへ参戦するルーキーアングラーである。
 クリス・マッコールは13Lb6ozで2位に入った。昨日は競技開始から3投めで8パウンダーを釣り上げたが、今日はバスの活性が低く苦戦を強いられた。
  3日め、深江真一さんは5位に付けた。「メインパターンはサイトフィッシングだったが、風が強くてパターンを変更して南岸に移動した」と語った。
 今大会において最高の滑り出しを見せたラリー・ニクソンだったが、3日めのウエイトはわずか1尾で13oz。10位に甘んじた。

 そして、バスの活性が本調子に戻らないまま最終日がスタート。1尾のビッグフィッシュで順位が入れかわるほどの接戦だったが、「まさかこのウエイト(13Lb)で勝てると思わなかったから、最後の最後まで釣り続けた。気を抜けなかった」と3日めからの首位を守ったレイ・シェイーデが、FLWツアー初参戦で初優勝を飾ることで大会は幕を閉じた。ヘビーカバーを釣り抜いたシェイーデは、60LbのPEラインが1つのカギだったと述べている。
 2位に入賞したのは、予選をトップで折り返したクリス・マッコール。「釣りの面では最高の1週間だったが、心境的に難しいところも多かった。それでもよくやれたと思う。満足している」と語った。
 3位にはレンジャーM1トーナメント覇者、2003年FLWツアーチャンピオンシップ優勝、2003年総合成績2位のデイビッド・ダッドリーが入った。「メインパターンがサイトフィッシングだったのだが、バスを上手く見つけられなかったし、釣り上げられなかった。フラストレーションの溜まる試合だった」と胸中を露わにした。ダッドリーは過去のオキチョビー戦で2000年は15位、2001年は11位、2002年は7位と徐々に順位を上げている。今年は2位だったので、「もう1つ取らなきゃいけない順位があるんだ」と笑顔で語った。
 初参戦ながら大きな期待を背負いFLWツアー第1戦に臨んだ深江真一さんは4位入賞を成し遂げた。FLWサイトには“ルーキー”と記されているものの、昨年のJBワールド年間1位ということで“日本のアングラー・オブ・ザ・イヤー”と紹介されている。ツアー1年生にもかかわらず、アメリカ人アングラーからいい意味で強くライバル視される存在として紹介されているといえるだろう。
 その他の日本人アングラーは下野正希さんが140位、並木敏成さんが108位、大森貴洋さんが75位、臼井智浩さんが180位、清水盛三さんは194位で大会を終えた。

 今大会は、特に予選ラウンドでは天候に恵まれ、オキチョビーらしいビッグウエイトのせめぎ合いが生じた。1月中旬といっても、アメリカ本土の最南端に位置するメジャーレイクだけに、気温・水温の上昇は沖縄のそれに匹敵する。広大なオキチョビーはウイードに包まれたフリッピング天国として知られている。どこを見ても同じような景色だけに、プロダクティブエリアを捜し出すのは至難のワザである。一方で、毎年アングラーが集中する有名エリアもあり、的を絞れないこともないが、差がつきにくいパターンでもある。
 本戦中、北岸でサイトフィッシングをメインにしたアングラーは最初の2日間にビッグウエイトを叩き出した。ところが、優勝したレイ・シェイーデは南岸をメインパターンにしていたという。
 「プラは7日間、早朝から日没までやった。北岸で38尾の“ベッドフィッシュ”を見つけて、GPSにマークした。でもサイトフィッシングは僕のスタイルじゃないし、フリッピングが得意なんだ。それで『今日、はじめてオキチョビーで釣りをするんだ!』という真っ白な気持ちに戻してプラ4日めを迎えた。50尾くらいフリッピングで釣れた。実はこの日、GPSが壊れちゃって、慌てたよ。でも南岸ならどのあたりでフリッピングをすればいいかわかっていたし、とりあえず最終プラもそこでやってみた。バイトはいっぱいあったけど、周りにたくさんコンペディターがいたからフックアップせず、流してた。でも1尾だけ、『どんなのがバイトしてるんだろぅ』と思って、みんなが消えた後でアワセてみたら、11パウンダーが釣れた。本戦でもずっとここで釣って優勝したんだ」とシェイーデは振り返った。
 
 トップ10のメンバーを見てみると、シェイーデと深江さんはツアー初参戦、マッコールはツアー2年め。それ以外にはダッドリーのように近年好調のアングラーもいれば、ニクソンのような大御所と呼べる選手もいる。ディーン・ロハスはBASSのフォーデイ・トーナメントにおける最大ウエイト記録保持者として今大会に挑んだ。その中でシェイーデが優勝、マッコールが2位、深江さんが4位入賞と輝かしい結果を残したのは歴史的に深い意味を持っている。彼らの活躍は今後さらに注目されるだろう。