2004/1/16
BASSオープン戦にみるツアープロの強さ

 1月29日に開幕する2004年度BASSバスマスター・ツアー。これを前に昨年8月からオープン戦が2004年シーズンに向けて開催された。それぞれ4地区から総合順位のトップ3がバスマスター・クラシックへと早くもクオリファイが確定されているが、昨年より「オープン戦からのクラシック・クオリファイアーは、ツアーに参戦しなければ、クラシック出場の権利を剥奪する」という豪快かつ無茶なルールを発表した。そのため、一応は自分たちの出番を終了したはずのオープンアングラーが、29日より開催されるツアーに徴集されるわけである。

 これを「願ってもない幸運」と捉えてツアーに快く参戦するアングラーもいるだろうが、日々の生活の中で全3戦のみで開催され、移動距離も少なく、エントリーフィーも小額なオープン戦だからこそ参戦していたのに、いきなり「ツアーに出ないと、出場を取り消し」と言われても辛い者もいるだろう。しかし、こんなルールが存在しても、大半のアングラーはクラシックを夢見ているため、ツアーにも参戦するだろうが……。

 さて、ツアーがプロトレイルであれば、オープン戦はセミプロの大会と扱われることがある。理由は全国レベルで転戦していないこと、エントリーフィーが安く賞金も低いなどがある。そのためツアーをメインに参戦する選手はオープンに出場しないのかといえばその逆で、ここ2、3年のオープン戦にはそれ以前に増してツアープロが多数オープンに参戦している。昔はツアーとオープンが同時期に開催されていたが、現在オープンはクラシック終了後から晩秋にかけて行なわれ、ツアーが1月からと区分されている。そのため、ツアープロもスケジュール的にオープンに出やすくなった。またオープンからクラシック出場権を奪取してしまえば、「ツアーで上位に入賞して権利を獲らなくちゃ」と焦る心配も減少する。また昨年の場合、3月にツアー全戦が終了したため、クラシック出場がないアングラーは、次季ツアー(1月)までスケジュールが大きく空いてしまう。そこでオープンやエバースタートに参戦したアングラーもいる。どちらにせよ、現在のオープンはセミプロアングラーが凌ぎを削っている中に、ツアープロがなだれ込んでひっかき回している状態なのだ。つまり、オープン戦で生粋のオープンプロがクラシック・クオリファイを奪取するのは非常に困難になっている。

 ではここで、2003年度各地区のトップ3をリストアップして、レベルの高さを検証してみたい。
セントラル:
 1位:エドウィン・エバース(2003 ツアー総合28位)
 2位:ティム・キャロル(2003 ツアー総合153位)
 3位:スティーブ・セニッコフ(2003 ツアー総合173位)
ノーザン:
 1位:アート・ファーガソンIII(2003 ツアー総合163位)
 2位:ケビン・ワース(2003 ツアー総合34位)
 3位:チャック・エコノムー(2003 ツアー総合153位)
サザン:
 1位:ティム・ホートン(2003 ツアー総合32位)
 2位:デイビッド・ウォーカー(2003 ツアーに参戦を果たすが、AOYパッチを着用しなかったためAOYポイントの獲得していない。FLWツアーでは45位)
 3位:デニー・ブラウアー(2003 ツアー総合66位)
ウェスタン:
 1位:ジェイミー・“ビンク”・デサーロ(オープンとフェデレーションに参戦)
 2位:ジョン・マーレイ(2003 ツアー総合5位)
 3位:スキート・リース(2003 ツアー総合10位)

 ざっと見ておわかりのように、オープン戦からクラシック出場枠を獲得したのは、ウェスタン1位のデサーロを除いて、全員ツアープロである。しかも彼らは全員クラシック出場経験のある超重鎮ばかりという顔ぶれだ。どれだけオープンが熾烈なトレイルへと様変わりしたかがわかる。
 4地区の中でもセントラルとサザンは特に人気が高く、ツアープロも多数参戦しているため、まさに激戦区と化している。

 ビンク・デサーロの名前が出たついでに彼のことを触れておこう。2003年度ウェスタンオープン第1戦13位、第2戦6位、第3戦7位と素晴らしい成績を残して年間優勝を飾った。彼はクラシック出場を果たすためにバスマスター・ツアーにも参戦するが、彼にとってこれが初のツアー出陣となる。デサーロは bassmaster.comのインタビューで、「(ツアー第1戦フロリダ州ハリスチェーン大会は)新しい学校に初登校するのと同じ気分だ」と述べたが、昨年はFLWツアーの2大会に出場しているので、完全にトップカテゴリーを初体験するわけではない。
 またbasswaveは、彼がウェスタン戦を闘い抜いているときに使用したルアーがジャパニーズ・ブランドだったという情報を入手。BassFan.comのインタビューで「今はスポンサーがまったくついていない」と答えているが、掲載されている写真でデサーロは国内某Z社のキャップを着用しているのを我々は見逃さなかった。アレがウワサのルアーメーカーなのか!?
 今季バスマスター・ツアーにはデサーロを含む12名のツアー初参戦アングラーが出場するらしいが、オープン戦からクラシックに臨む唯一のオープンアングラーとして応援せずにはいられない。