2003/9/12
FLWチャンピオンシップ
ジィコブス・カップ初日


 
優勝賞金50万ドル。M-1も多額の賞金が授与されることで有名だが、あれはいわゆるレンジャーボート・オーナーのオープン・トーナメント。レンジャーオーナーであれば、それに参戦できる可能は高い。一方でジェイコブス・カップに出場できるのは、FLWツアーから最終年間順位のトップ48名のみ。ゆえに、BASSバスマスター・クラシックと比較されることもある。

 バージニア州ジェイムス・リバーと聞いて思い出すのは、バスマスター・クラシック。1988〜1990年までの3年間、クラシックは同川で連続開催された。クラシックで2年間連続開催されたフィールドは数あれど、3年間連続となると、ジェイムス・リバーのみである。それほどまでにバスアングラーに魅力的なフィールドなのか……。いや、どちらかと言えば、タフなフィールドと言えよう。
 ビッグウエイトが飛び出す大会の方が盛り上がり観衆も沸く。ただし、“コンペティティブ”、要するに競技性が高ければ高いほどプロとしての技量が問われ、それを制した者こそが真のチャンピオンであると立証できる。つまり、ブラケット・スタイル(勝ち上がり式トーナメント)を採用しているのも加え、「誰が一番強いのか!?」を決定するには、この上ないフィールドの1つと考えていい。

 まずジェイムス・リバーの特徴は、タイドの影響を多分に受ける部分にある。リバーフィッシングの基本は、「どうカレントを見方につけるか」によって決定する。潮の満ち引きによってもバスの活性も変化する。押さえておきたいのは、ジェイムス・リバーの場合、上潮時、バスの活性がすこぶる落ちるといわれていることだろう。そのため、プライムタイムは引き潮時か、タイドの影響が少なくつねに下流方向へのカレントが発生しているエリアベストだ。
 1つには、川底に泥が堆積し、一定方向のカレント時にはそれほどでなくとも、上潮で逆流するカレントでは泥が巻き上がり、バスの活性が低くなること。また、バスの個体数が近辺のタイダル系水域比べ少なく、それらの川のパターンがそのままジェイムス・リバーに当てはまらないことが多い。つまり、タイミングこそがカギになる。

 では、初日の経過を見てみよう。
 通常のトーナメント形式ではないため、誰がトップを走っているかは順位で判定できないが、釣り上げられたウエイトで見ると、ロブ・キルビーがトップウエイトで11.12Lb、次ぎにシャッド・シェンクが11.05Lbと続いている。48名が出場し、5尾のリミットをウエイインできたのは12名。そして約半数の選手が5Lb以下であり、ノーフィッシュも2名いる。タフであることは間違いない。
 タフなコンディションの原因はやはりタイドとの関係にあった。天候不順(満月と海上に前線が停滞している状況)が重なり、引き潮時は予想どおりの水位でも、上げ潮時の水位は数インチい。「その変化に対応できた」というキルビーは、見事、初日のトップウエイトを持ち込んでいる。

 今大会で注目されている選手の結果を見てみよう。
アングラー・オブ・ザ・イヤーのダン・モアヘッドは1尾で1.03Lb、デイビッド・ウォーカーも1尾で0.15Lb、ケビン・バンダムは1尾で1.01Lb、アーロン・マーテンスも1尾で2.09Lbとローウエイトのウエイインとなった。その他、リック・クラン、ポール・アライアス、ランディー・ブローキャットもローウエイトだったことから、これら有名選手が1回戦で姿を消す可能性が見え隠れした初日だった。
 
 ジェイコブス・カップ唯一の日本人コンペディター、並木敏成さんはトッド・オートンと対戦している。初日オートンは4尾で6.14Lb、並木さんは2尾で3.01Lb。並木さんも厳しい状況に立たされている。