2003/9/11
遊漁券不携帯だったマーテンスのその後

 
アーロン・マーテンスがフィッシング・ライセンスの不携帯でワイルドライフ・オフィサーから召喚状を受けた事件は、FLWツアー第6戦ウィーラー・レイク大会で起こった。最終日にマーテンスが釣りをしていると、オフィサーから有効なライセンスを提示するよう命じられ、提示できなかったことから、ライセンス不携帯として扱われ、後日罰金を支払うための召喚状を受け取った。だが、問題はここからこじれた。
 釣りを終え、会場へ帰着したマーテンスは湖上で何が起こったのかをオフィシャルに説明。オフィシャルは「ルールブックには、『ライセンスを所持することとあるが、携帯していないアングラーは参戦できない』と書いてはいない」と発表した。この時点で「そのルールはおかしい」と首をひねった者も多いというが、さらにマーテンスは同大会で優勝し、賞金の約2400万円を受け取った。普通であれば、ディスクオリファイ(失格)であるが、「ルール上問題ない」と判断され、しこりを残したまま大会は閉会した。

 あれから2ヶ月が経過し、マーテンスは「ウォールマートで購入した」はずのライセンスをいまだ見つけられないままだ。 彼は自分が購入したという証拠がないまま、8月8日、8月22日にアラバマ州のモーガン郡裁判所に出頭。次回の出頭は9月15日で、この日までにライセンスを実際に購入していた事実を証明できない限り、彼には不携帯ではなく、不所持で釣りをしていたと判決が下るだろう。
 本人はウォールマートやライセンス発行記録を残している事務所に問い合わせ、再三にわたり購入した証拠を調査したが、現在までに購入した形跡は見つかっていない。そして彼自身も諦めているとも伝えられている。
 Bassfan.comに掲載のインタビューで、マーテンスは「私は密猟者ではないし、早く片づけたい。結果は裁判官に任せる」と語っている。
 マーテンスの不所持が立証されると、州は彼に対して罰金を支払うよう命じるが、アラバマ州におけるフィッシング・ライセンス不所持の罰金は100ドルである。

 あの日(大会最終日)、マーテンスは主催者側が用意したスポンサーボートから競技していた。そのため、ワイルドライフ・オフィサーからライセンスの提示を求められたとき、彼はその“借り物”のボートで発見できず、自分のボート(大会の初日と2日めに使用)に置いてきたと思った。会場で待機していたマーテンス婦人に電話をして捜してもらうが発見できず、召喚状を受ける。
 マーテンスがもっとも心配したことは、州によって、不携帯や不所持が発覚した場合、「ライブウェル内に入っている魚を逃がしなさい」と告げられることだったが、運良く、オフィサーはその部分には触れず、そのまま釣りを続行させてくれた。これが不幸中の幸いだった。
 たとえば、ルールが厳しいカリフォルニア州の場合、ライブウェル内の魚を証拠写真として撮影し、その場でリリースするように命じる。アラバマ州ではそこまで厳重な規則がない。
 またアラバマ州ではライセンス事務局に購入した証拠(半券など)を捜す調査を依頼できるが、カリフォルニア州ではそのような手助けもない。そのため万が一ライセンスを紛失したときのために、購入時のレシートを保持しておくのが賢明だ。

 FLW側はこの事件により、あらゆる方面からクレームがあったようで、即座にルール改正を発表した。改正後のルールは、「すべてのアングラーは有効なライセンスを保持しなければならない」と単純なものだ。それがいままで暗黙の了解であったためルールブックには記載されておらず、今回の問題が生じた。
 新ルールは来年1月の大会から採用される。ということは、9月10日から4日間にわたって開催される「FLWチャンピオンシップには同ルールが採用されない」が、今さら「ルールになかったから」とライセンス不携帯で試合に臨むアングラーはいないだろう。

 アーロン・マーテンスといえば、キャッチ&リリースを強く訴える選手のひとりで、その意見を雑誌などで度々目にしてきた。環境問題にも興味を持ち、バスフィッシングの発展に大きく貢献してきただけに、今回の事件は彼にとって痛い経験となった。
 ちなみに、FLWツアー第6戦で2位のティム・ホートンは、11oz差でマーテンスに敗れている。本当に痛いのは、ホートンだったのだろうか。

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