2003/8/1
BASSが新トレイルを発表 2004年度、「Elite50」がスタートする
7月25日、BASSは「Elite50(エリート50)」と呼ばれるトレイルを2004年度からスタートさせると発表した。このシリーズは全4戦で行なわれ、バスマスター・ツアーの1部分として開催されるという。これにより、2004年度ツアーは全6試合となり、6試合終了後エリート50の4試合が開始される(その後クラシック)。 この新シリーズには特別なクオリファイ方式が採られているので紹介しよう。 まず、エリート50の参戦選手数は50名。 BASSにおいての生涯獲得賞金高額者のトップから20名、現在のアングラー・オブ・ザ・イヤー、ルーキー・オブ・ザ・イヤーとクラシック・チャンピオン、残りの27名は過去3年間のポイント・スタンディングからトップどころを集結させる(最後の27名の詳細な選出方法についてはいまだ未定)。 このシリーズの最大の特徴は、ノーエントリーフィーであることだろう。全4戦の賞金総額は160万ドルになるといわれており、クオリファイされた選手全員が賞金を獲得できるシステムになっている。 またエリート50シリーズ最終順位のトップ10は、次期バスマスター・クラシックへの出場も確定する。 その他、バスマスター・クラシックへ出場枠は、ツアーからトップ25名(全6試合終了時点の順位)、オープン枠から12〜13名、フェデレーション枠から5名、アングラー・オブ・ザ・イヤーとクラシック覇者の計54〜55名になる予定だという。 しかし、なぜBASSは突然、このようなフォーマットのシリーズを開催することにしたのか。ネット上でウワサとなっている情報としては、対FLWツアーがある。 FLWツアーの賞金額は全6試合中2試合が20万ドルで、チャンピオンシップの優勝賞金は50万ドルと超破格。その他ワン・マッチ形式であるが、M-1トーナメントのようにビッグマネーが用意された大会もある。FLWツアーのペイバック率も高く、ファイナル・ラウンドに残った選手は主催側が用意したスポンサーのシャツを着用するだけで、数千ドルが贈られる。 「バストーナメントがハイレベルなスポーツとして認められるためには、他の競技(ゴルフなどのシーズン・トレイルのある競技)と比較して引けを取らない賞金額にする必要がある」と唱えたのは、FLW
Outdoorsオーナーのアーウィン・ジェイコブスだ。 彼の思想は間違っていなかった。その証拠として多数のビッグネームがその考えに賛同し、BASSバスマスター・ツアーからFLWツアーへと流れた。たとえばディオン・ヒブドンは今季、FLWツアーにのみ参戦した。ケビン・バンダムやジェイ・イエラスのように両団体に参戦する選手もなかにはいるものの、エントリーフィーだけでも数百万円を越える費用を賄えるアングラーは少ない。そのため、どちらかに選択を余儀なくされる者もいる。 またBASSは老舗団体として、FLWに選手だけでなく人気を奪取されることを恐れ、そして注目度を上げるためにも、新フォーマットのシリーズを開催せざるをえなかったと考えられる。 ジェイ・イエラスはBassmaster.comのなかで「ノー・エントリフィーの大会は、プロアングラーたちがもっとも望んでいた形式だ」とコメントしている。無料で試合に参戦し、賞金がもらえる。これほどVIPな扱いは「ハイレベルなスポーツ」を目指すFLWにもなかった(チャンピオンシップやクラシックは除く)。 ノー・エントリーフィーで賞金が捻出される場合、誰が支払うのか、というシンプルな疑問が残る。スポンサー獲得だけでも苦労しそうだが、現在のところCokeがメインスポンサーとして有力候補に挙がっている。 では、このエリート50というのは、面白い大会になるのか、という根本的な問題もある。これは成功するだろう。 大会形式として、本当の意味での新旧トップ50名が4試合を共にする。往年のバストーナメントファンから若いファンまでが楽しめる内容になるだろう。 そして“50名”というのもわかりやすくてよい。もともとバスマスター・ツアーはTOP100という名のもと100名で競われていた。それがTOP150となり、現在ではツアーと名称を再度改め175名が参戦している。BASSが誇るトップカテゴリーは、気がつけば巨大化し過ぎたのである。それを50名というスモールパッケージにすることで、観戦する側も混乱せずに観ることができる画期的な参戦者数だといえる。 なかには、生涯獲得賞金ランキングのトップ勢をクオリファイするのに難色を示す者もいる。なぜなら、そのリストには現在第一戦で活躍していない選手も含まれているからだ。しかし見方を変えると、賞金ランキングのトップ選手を出場させるのは、リスペクトの現れでもある。 たとえばランキング1位はデニー・ブラウワーで、生涯獲得賞金はおよそ160万ドル。彼はBASSに20余年参戦し、達成した結果がこれである。確かにケビン・バンダムをはじめとした若手でラインキングの上位に君臨するアングラーも存在するが、バンダムは優勝賞金が10万ドルを超える大会の中で育ってきた(以前は3万ドル程度だった)。この調子で行けば、バンダム世代の選手がブラウワーをはじめとするトップランカーを追い抜くのは、時間の問題だといえる。 それを考慮すると、新旧トップ選手が一堂に会して闘えるのは、今しかないかもしれない。ラリー・ニクソンやローランド・マーチンについては、年齢的、体力的なリミットも近い。ゆえに、BASSが生涯獲得賞金高額者をクオリファイした意味は非常に大きい。 エリート50の詳細は、8月1〜3日かけて開催される第33回バスマスター・クラシックの会場で発表される予定なので、詳しいことがわかり次第、当サイトでも続報を掲載予定。
|