2003/7/23
アーロン・マーテンス、
大会中にフィッシング・ライセンス不携帯(?)で違反切符を受ける


 
先日開催されたFLWツアー最終戦。並木敏成さんのFLWチャンピオンシップ初出場がかかった一戦であったため、日本国内でも大いに注目された。同大会はフォレスト L. ウッド・オープンとも呼ばれ、優勝賞金は20万ドル。120円換算で2400万円という高額賞金でも有名だ。
 さて、今季アーロン・マーテンスはバスマスター・ツアーとFLWツアーの両トーナメントに参戦し、タイトなスケジュールのもと、全米を転戦していた。今季からリニューアルされたBASSのレギュレーションは、彼だけでなく多くのアングラーのサイクルを狂わせたわけだが、マーテンスも四苦八苦で転戦を続けていた。不調が続き、昨年までの勢いがまったく感じられなかったマーテンスだったが、FLWツアー第6戦(最終戦)で見事優勝してみせたのだった。
 この優勝の影には、2つのドラマが存在した。はじめに、FLWにおいてマーテンスはこれが初優勝だったこと。もう1つは、2位のティム・ホートンにわずか11ポンド差での優勝だったのだ。
 しかし、マーテンスは嬉しい傍ら、笑えない表彰式を過ごしていたのだった……。
 
 最終戦の最終日、アーロン・マーテンスはいつもと同じように湖面をボートで走り抜けた。早朝、彼が釣りをしているとワイルドライフ・オフィサーが近づいてきて、フィッシング・ライセンスを提示することを告げられた。国内では河口湖に代表される釣り場では遊漁券を購入して釣りをするが、アメリカではプライベート・レイクでない限り、すべてのアングラーは州が発行するライセンスを購入して釣りをする。それを持っていれば、その州内のパブリック・レイクならどこでも釣りが可能なわけだ。ただし、持っていなければ、召喚状が渡される。いわゆる、違反チケットが切られ、後日、罰則金を支払うわけだが、場合によっては裁判所へ出頭しなくてはならない。
 大会開催中、マーテンスがオフィサーにライセンスの提示を命じられた際、マーテンスはライセンス不携帯だったのだ。彼にはその場で召喚状が渡された。
 
 マーテンスは帰着後すぐに大会本部へと向かい湖上での出来事をオフィシャルに話した。オフィシャルはFLWルール規定上に「『ライセンス不携帯のアングラーは失格になる』という項目はなく、それは参戦者の問題である」と発表した。つまり、マーテンスはライセンスを不停滞で召喚状が渡されたが、それは州とアングラー間の問題であり、FLWルールには関係ないということだ。
 マーテンスは「大会中、ライセンスは不携帯だったことは確かで、現在もどこにあるのかわからない。しかし購入した場所は覚えており、行政側に購入した事実を調べてもらっている」とコメントしている。
 ということは、不携帯ではなく不所持の可能性もでてきた。実際に購入した事実もいまだ明確になっていない。
 
 アーロン・マーテンスは今回、大会最終日に提示を求められたが、もし不所持であったなら、いつから不所持だったのか、というのも問題である。彼も人間だ。間違いはあるだろうが、プロとして致命的な事件でもある。
 しかしマーテンスだけを責めるわけにもいかない。「ライセンス不携帯は失格ではない」というFLWオフィシャルも間違っていないだろうか。アングラーと州との問題なのは確かだが、当たり前とはいえ、「ライセンス不携帯、不所持者は参戦できない」というルールがあってもおかしくない。これに対して、FLW側はいまだルール改正の発表をしていない。あくまでも個人の責任として、そこまで主催側がチェックする必要はないとしているのだろうか。
 現在のことろ、マーテンスがFLWに賞金を返還したというニュースはない。加えて、2位にティム・ホートンもこの件に関してはノーコメントのようだ。
 
 日本国内にも遊漁券・入漁券がなくては釣りができないフィールドは多い。ノーライセンス・ノーフィッシングのモラルは守りたい。