2003/12/23
ラージマウスバスの世界記録更新か!?
22Lb8ozがカリフォルニア州で釣り上げられる


 
もしあなたが、ワールドレコード級、もしくは、どう見てもそれ以上のバスを釣り上げたらどうすればいいのか!? カリフォルニア州で釣り上げられたバスが今、話題を呼んでいる。
 発端はカリフォルニア州サンタ・ローザ在住のリーア・トゥリューさん(女性)が、8月24日に同州スプリング・レイクで釣り上げたバスが22Lb8ozであるとレポートしたことにある。仮にもこのレポートが事実であったならば、1932年にジョージア州モントゴメリー・レイクでジョージ・ペリーが釣り上げた22Lb4ozのワールドレコードを塗りかえ、故ペリーが保持する71年の歴史にも終止符が打たれる。
 しかし問題は、トゥリューが正式な計量を済まさずにバスをレイクにリリースしていた部分にあった。

 トゥリューは、8月24日、息子のジャヴァドと13ftのゴムボートでスプリング・レイクを釣っていた。リーアが15ftボトムのウイードラインをストーム社の7inワイルドアイ・スイムベイト(モスバックカラー)で釣っているときだった。「最初、バスだと思わなかった。ウイードに引っかけた程度だと。そうしたらラインが走って……。ボートにはアンカーが撃ってあったのに、引っぱられた」と語る。10分間の格闘の末、リーアはバスをボートサイドに付けた。息子がネットでバスを取り込もうとするが、ヘッドシェイクがボートに当たり、またバスの巨大さに腰が引けたという。ジャヴァドは「最初はどれくらい大きいのかわからなかったが、ボートに上げてみてそのサイズに驚いた。活字にできない言葉を連呼したよ」と振り返る。

 サイズを知って計量したくなったのだろう。彼らはパドルを漕いでショアに向かった(同レイクではガソリンエンジンの使用が禁止されている)。彼らはライブウェルを持っていなかったため、バスをネットに収めたまま水につけ、ネットのクチをボートの横腹につけてショアに向かった。
 上陸した彼らはIGFA認可のボガグリップ・ハンドルスケールを使用し計量。ただし同スケールは8ozのインクリメント(増分)があるため、22Lb1/2oz〜23Lbと表示された。体長は29inで胴回りが25inだった。
 この計量を目撃したのは、トゥリュー親子以外にもう1人、チャールズ・フレミングで、フレミングはアングラーではないと自称する。彼はたまたま湖畔でピクニックをしていたところ、ジャヴァドに計量の立会人を頼まれた。
 計量後、彼らは写真撮影を試みるが、悲惨にも使い捨てカメラのフィルムは残りが1枚だけだった……。撮影が終わると、彼らはバスをレイクにリリースした。

 このバスがワールドレコードに承認されるか、否か。リリースしてしまった事実は大きい。彼女はFishing Hall of FameとIGFAに記録の申請をしているが、非常に微妙なことが多い。計量の順序としてIGFA認可の計量器を使用したまではいいが、計量に立ち会った者が3人しかいなかったこと、そしてその中に生物学者やIGFAなどのオフィシャルがいなかったことがひびいている。
 「記録を正式に認めるためには、私たちはルールに則って進めなければならない」と述べたのはFishing Hall of Fameのディレクター、テッド・ジアーロだ。「生物学者によって検査するのだが、魚がいなくてはそれもできない。剥製にも同じことがいえる。魚には申し訳ないが、解剖して調査することも記録承認の過程の1つだ」と加えた。
 彼らがリリースしてしまったことに対し、そのときはそれしか頭になかったという。彼らは普段からキャッチ&リリースを行なっているし、スプリング・レイクのルールとして魚の生死に係わらず、その場から持ち出すことが禁止されている(湖畔の立て看板に書かれている)。またその日の夜、彼らがワールドレコードの現存サイズを知るまで、釣り上げたバスがそれに相当することも知らなかったのだ。
 しかし、後日、スプリング・レイクはキャッチ&リリースを強制するフィールドではなかったとわかったのだった。
 「僕はトーナメントに出場してるわけでもないし、雑誌も毎月読んでるわけでもない。だからあれがワールドレコードに匹敵するとは思わなかったが、ラインクラスのレコードは更新しただろうと思った。それに母親もリリースしたことに誇りを持っているし、もしバスに生きられる力が残っているのであれば、誰でも逃がしてやると思う」とジャヴァドは語っている。

 前述したように、慎重なプロセスを追って記録は公認されるのだが、オフィシャルはリーア・トゥリューのバスを12Lbラインクラスのワールドレコードに認めるという。また非公認ではあるが、オールタックル部門のワールドレコードにも公認し、ジョージ・ペリーの記録はそのまま残す方向でいくという。
 カリフォルニア州のゲーム&フィッシュはレコードバスが釣れたと書類上認めているが、やはりバスの個体がないことと、またそのバスが実在する証拠として3人の目撃者以外に1枚の写真しか残っていない事実も公認を妨げている。そのため、オフィシャルは「このバスが100%ワールドレコードであると立証できない限り、正式には認められないだろう」と言う。
 たとえ個体がなかったとしても、そのサイズを比較できる物を近くに添えて撮影したり、スケールが読めるように撮影したりなどと方法はたくさんあるのだが、写真が1枚しかないため、それを基にすべてを解明しなくてはならない。また彼女が釣り上げたバスは<体長は29inで胴回りが25in>、ワールドレコードは<体長は32inで胴回りが28in>、カリフォルニア州のレコードは<体長は28 1/2inで胴回りが26in>であるため疑問が残るのも事実。

 ここまで書いて、スプリング・レイクという名で思い出したことがある。1997年、ポール・デュクロスが24パウンダーを釣り上げたと報告した。彼の場合、人間用の体重計で計量し、立会人も彼を含めて3人だった。そしてバスもその後、リリースしている。彼の場合は、この記録が公認されることはなかったが、あれもここスプリング・レイクのバスだった。
 ジャヴァド・トゥリューはその後、9月1日に同湖で18Lb8ozのバスを釣り上げている。これは現在4Lbラインクラスのワールドレコードとして公認されているが、「これはあの母親が釣り上げたバスをもう1回使っただけのニセモノだ」という連中まで出てきている。
 スプリング・レイクはその他のノーザン・カリフォルニアのフィールドと同様に、フロリダバスが移入されている。同湖の場合、80年代中期にハイドリラを除去する目的から、レイクの水抜きを敢行。その後フロリダ種を入れ、またベイトフィッシュとしてトラウトも放流している。
 
 ジョージ・ペリーのバスがワールドレコードとして公認されて以来、ジョージア州はバスを州魚として認めた。また71年前のことであるため、金銭的にどれだけ価値のあるものか判断できる者が少なかったが、もしトゥリューのバスが正式記録となった場合、現在では10億円規模のビジネスに発展するとウワサされている。その真相やいかに!

ソース
chattanoogan.com/のこの記事
sfgate.com/のこの記事
IGFA記録のページ
Fishing Hall of Fame