2003/11/26
ラウル・モリノーというスゴいヤツ

 
今年からBASSオープン戦に参戦したメキシコ出身のモリノーというスゴいアングラーがいる。メキシコ出身ではあるが、テキサス州にも自宅があり、ウワサには実業家だという。そのスゴいところを紹介しよう。

 アメリカ本土を4つの地区にわけて開催されたオープン戦で、各地区全3試合x4地区=12試合に、彼は皆勤出場したのだ!たとえば、ノーザンオープン第2戦はニューヨーク州 レイク・エリーで開催されたが、その翌週にはワシントン州コロンビア・リバーで開催されたウェスタンオープン第1戦にも出場している。11月だけを見ても強行スケジュールだ。第1週にサザンオープン第3戦(アラバマ州レイク・ユーファウラ)、第2週にセントラルオープン第3戦(ルイジアナ州ワチータ・リバー)、第3週にはウェスタンオープン第3戦(アリゾナ州レイク・ハバス)と、過密スケジュールをこなして全地区全戦に出場を果たした超人である。
 そしてスゴいところその2。彼は自動車で移動すると時間がかかるため、“自家用飛行機”で開催都市から開催都市へと移動したというのだ。全米を転戦する選手のなかには、ボートを2艇以上所有していて、1艇を西海岸、1艇を南部や東海岸に置き、飛行機で開催地入りするアングラーもいる。しかし、自家用飛行機で転戦するという奇想天外なアイデアと資金力は、いまだかつて聞いたことのないスゴい事実だ。

 下手な鉄砲は数を撃てば当たるのか!? 調査してみた(以下は試合順)。
ノーザンオープン第1戦(メリーランド州 ポトマック・リバー)
176位 (Day 1: 4尾, 7-13 Day 2: 3尾, 4-13)
セントラルオープン第1戦(ミシシッピー州 テネシー・トムビッグビー・ウォーターウェイ)
175位(Day 1: 0, 0-00 -- Day 2: 1, 2-08)
ノーザンオープン第2戦(ニューヨーク州 レイク・エリー)
169位(Day 1: 5, 9-00 -- Day 2: 0, 0-00)
ウェスタンオープン(第1戦 ワシントン州コロンビア・リバー)
128位(Day 1: 2, 4-06 -- Day 2: 0, 0-00)
サザンオープ第1戦(アラバマ州レイク・ウィーラー)
167位(Day 1: 1, 5-01 -- Day 2: 0, 0-00)
ノーザンオープン第3戦(ニューヨーク州オネイダ・レイク)
135位(Day 1: 2, 3-04 -- Day 2: 4, 7-02)
セントラルオープン第2戦(テキサス州サムレイバン)
195位(Day 1: 1, 1-14 -- Day 2: 0, 0-00)
サザンオープン第2戦(フロリダ州レイク・オキチョビー)
121位(Day 1: 5, 5-07 -- Day 2: 5, 7-14)
ウェスタンオープン第2戦(カリフォルニア州クリア・レイク)
54位(Day 1: 5, 12-11 -- Day 2: 3, 6-14)
サザンオープン第3戦(アラバマ州レイク・ユーファウラ)
86位(Day 1: 4, 8-06 -- Day 2: 0, 0-00)
セントラルオープン第3戦(ルイジアナ州ワチータ・リバー)
166位(Day 1: 0 -- 0-00 -- Day 2: 0 -- 0-00)
ウェスタンオープン第3戦(アリゾナ州レイク・ハバス)
76位(Day 1: 0, 0-00 -- Day 2: 2, 3-05)

 見ておわかりのように、ノーフィッシュの日も多い。50位内でフィニッシュした大会がないため、全試合最初の2日間(予選)で敗退している。賞金は、サザンオープン第1戦に初日のビッグフィッシュ(5Lb1oz)を釣り上げて獲得した1000ドルのみだ。
 総合順位ではウェスタン戦68位、ノーザン戦210位、セントラル戦214位、サザン戦142位と低順位が続く。ウェスタン戦は特殊なトレイルで、全戦に参戦していないアングラーが多いため(「自宅から近いところで開催される大会だけ出場してみよう」というアングラーが多数いる)、他の地区より多少成績がいい。
 結果だけを見比べると、「ラウル・モリノーはヘタなアングラーなんじゃないのか!?」と思いがちだが、いくら自家用飛行機で移動が可能だったとしても、体力的、精神的にも辛く、好成績を残すのは難しい。しかも12試合を7〜11月の5ヶ月でこなしたのを考えれば、やはりスゲー選手だとしか言いようがない。