2003/11/2

エバースタート・チャンピオンシップ
セミ・ファイナル

 エバースタート・チャンピオンシップは3日めを終了。いよいよ大詰めに入った。今日のビッグニュースは、トニー・クリスチャンがトップに躍り出たことだろう。昨日の「文字ニュース」でもお伝えしたが、日本人アングラーの小東和裕さんがこの日同船したのが、クリスチャンなのである。ということは、小東さんも……と想像力を高めてしまうのがファン気質であるが、小東さんの結果は後述しよう。
 トニー・クリスチャンは昨日、ルアーをアップサイジングするとこで、バイトしてくるバスのサイズもアップさせる作戦を語っていたが、今日はそれが吉と出た。彼がウエイインしたのはリミットに満たない3尾。しかし、その3尾のビッグフィッシュがトータルで10Lb11ozをマークした。3日め、ついに首位へと上り詰めた。
 また彼は、プライマリーエリアのドックから5パウンダーを釣り上げると、セカンダリーへ移動。午前9時半の時点で今日ウエイインした3尾のバスをライブウェルに収めていた。その後は「ただ釣りをしただけ」で、残りは明日のファイナルへとセーブするかたちを取った。
 「今日は合計で5尾しか釣ってないんだよ。でも、私のコ・アングラー(小東さん)は私の2倍は釣っている。残念なことに、彼が釣ったバス(11尾)のうち、1尾しかキーパーサイズはいなかったが、見ている限り楽しそうに釣っていたよ。ジャパニーズ・クランクベイトをガンガン投げていた。私は彼の話す言葉はわからないけど、とにかく楽しかった」とクリスチャンは語った。
 注目の小東さんは1尾のみのウエイインとなり、10位で大会を終えた。コ・アングラー部門とは、アマチュア部門ということである。そのため、フロントデッキで釣っているプロアングラーが絶対的な権利を持っている(これがプロ/アマ形式のいい部分であり、ドロー形式と完全に異なる部分)。たとえば、FLWツアーの場合、プロアングラーは何十万円にも上るエントリーフィーを支払って大会に参戦する。それ以外にもプラで使用するガソリン代や宿泊費、食事代など、多額の経費がかかる。試合中、プロアングラーが移動するとき、彼らは移動する1、2分前に移動を告げることが多い。それはコ・アングラーにバックシートを片づける時間を与えるためだが、コ・アングラーの手際が悪く必要以上に時間をロスし、それが原因で試合に負けてしまうケースもあるという。釣りをするスポットに関しても、プロアングラーが釣りやすいようにボートポジションを取る。このような精神的、技術面のハンデがあるなかで、アマチュア選手も試合を組立てなくてはならない。それを考えると、今回の小東さんの業績は素晴らしいと言っていいだろう。先日開催されたBASSウェスタンオープン第1戦をコ・アングラーとして出場し優勝した川嶋久司さん、FLWツアーで2年間にわたりコ・アングラー部門で頑張っている古沢勝利さんの存在を考えると、「アメリカの大会に出場する手だて」として、「必ずボーターで出場しなくてはならない」と常識のように言われてきた時代に終止符が打たれた気がする。当サイトではU.S.オープン出場を全面バックアップしているが、本場での大会出場のきっかけをコ・アングラー部門からスタートするのもいい方法だといえるかもしれない。
 
 その他の順位では、FLWツアーにも参戦しているスティーブ・ケネディが暫定2位に浮上、同じくツアー参戦者のケビン・ビーダが3位に入った。この日、22名のアングラーが競技をしたが、リミットを揃えられたのは、ケネディとビーダだけである。特にケネディは、4パウンダーを3日間連続でバラしたと語っている。3日間連続でバラすのはプロとしてどうかとは思うが、これが明日のファイナルで釣れたとするなら、ケネディの上位入賞は現実味を帯びる。
 期待のクリス・バームガードナー、ダン・モアヘッド、ウェスリー・ストレイダー、そしてクラーク・ウェンドラントはセミ・ファイナルで姿を消すこととなった。唯一ウェスタン地区アングラーとして残っていたボビー・ランハムも3日めで敗退した。