2003/10/4
中央環境審議会の小委員会、
外来種対策に関する中間報告をとりまとめ

 中央環境審議会の小委員会は2日、国内の生態系を乱す外来種(移入種)対策に関する中間報告をとりまとめた。新たな外来種を国内に持ち込む場合は、事前に国が生態系への影響を審査し、悪影響があると評価された外来種は、国が認定した施設以外では輸入禁止とするとした。また、すでに国内で問題が起きている外来種は、国や地方自治体が計画的な駆除や拡大防止に取り組むことを提言した。
  環境省はこの報告に基づき、来年の通常国会に外来種対策の新法案を提出する方針。これまで動植物の輸入や流通については、感染症や病害虫をチェックする検疫制度はあったが、生態系保護という観点からの法制度はなかった。中間報告では、奄美大島のマングースがアマミノクロウサギをえさにする被害や、ブラックバス、ブルーギルの全国的な繁殖、小笠原諸島のノヤギによる植生被害などを、「生物多様性を保全していくうえで大きな障害」と位置づけた。
  また北海道のアライグマは人畜共通感染症を媒介する可能性が指摘されるなど、人の健康への影響も挙げられている。具体的な制度としては、新たな動植物を輸入しようとする業者は国に事前申請し、国が生態系への影響を評価。悪影響があると判定された種は、国が「適正に管理できる」と認定した施設(動物園、研究所など)以外では輸入できなくする。施設の認定は許可制あるいは登録制となる見通し。また、ブラックバスのようにすでに問題が生じている外来種は、国や地方自治体が地域ごとに防除実施計画を策定し、駆除や拡大抑止、生息数管理などの防除策をとる。
  特に生態系が重要な地域は「特別管理地域」に指定し、防除をより強力に進めることにした。防除の対象種は、緊急性の高いものから選ぶ。外来種が野外に逃げたときは、管理者が駆除に責任を負う「原因者負担」の原則も盛り込んだ。このほか、国内に持ち込まれた外来種の監視体制を整備し、問題が生じたときの迅速な対応を目指すとしている。
  (Yahoo!ニュース-社会-毎日新聞