2003/3/14

いよいよ前半戦も大詰め……
カリフォルニアへのサバイバルレース


 今シーズンのB.A.S.S.バスマスターツアーも、10戦中5戦を消化した。例年であれば単なる「前半戦の終わり」ということになるが、今シーズンに限っては多くのアングラーが例年にない高いモチベーションとともに第6戦を迎えることになる。なぜなら、この第6戦終了時、年間獲得ポイント上位100位に入れなかったアングラーは、そのままシーズン終了を迎えることになるためだ。
 すでにbasswaveでお伝えしているように、今シーズンのバスマスターツアーは2度の“足切り”が行なわれる。最初の6戦を終了した時点で175名中75名がカットされ、第8戦終了時にはさらに50名がカットされる。つまり、最後の2戦は50名のみで競われることになり、このうち上位40名がバスマスターズクラシックへのチケットを手にすることになる。
 やはり気になるのは、ツアーに参戦している4名の日本人アングラーだ。第5戦終了時でもっとも高ポイントを獲得しているのは大森貴洋。第1戦154位、第2戦42位タイ、第3戦89位と序盤はやや出遅れたものの、第4戦で準優勝、第5戦で48位という結果を残して、ポイントランキングは43位。アメリカでのトーナメント経験が豊富なだけに、今後大きく崩れなければ2度めのクラシック出場も期待できそうだ。
 クラシックということでいえば、4年連続という快挙に期待がかかるのが桐山孝太郎だ。初戦こそ158位タイとつまづいたものの、第2戦で24位、第3戦で準優勝と尻上がりに調子を上げてきた。しかし、第4戦で121位、第5戦で146位と低迷してしまい、現在のランキングは89位。桐山にとって重要なのは、やはり第6戦。第7戦(カリフォルニア州サンホワキンリバー・デルタ、通称カリフォルニア・デルタ)、第8戦(カリフォルニア州クリア・レイク)は桐山にとって経験豊富なウォーターでの開催となるだけに、この第6戦を乗り越えることができれば、クラシックへ向けての可能性も高くなる。第6戦で上位に入り、勢いをつけて西部へと乗り込んでほしいものだ。
 今シーズン、初めてのバスマスターツアーに挑戦しているのが清水盛三。慣れないルーキーイヤー、さらにはツアーへのクォリファイ自体が大会直前での繰り上げ。このため、充分なプリプラクティスができなかったこともあり、序盤は準備不足の感が否めなかった。第1戦98位タイ、第2戦167位といきなりツアーの洗礼を浴びる結果となってしまったが、第3戦では堂々13位に入賞してそのポテンシャルの高さを見せつけてくれた。その後、第3戦は100位、第4戦は117位タイに終わり、現在のポイントランキングは103位。しかし、第6戦以降に進出できる100位以内に食い込むことができれば、そこには光明を見い出すことができる。西部地区のトーナメント経験がある清水にとって、カリフォルニアでの2戦は“勝手知ったる場所”でもあるのだ。その意味では、ぜひとも次の第6戦でランキング100位以内に入ってほしいところだ。
 昨シーズン、ルーキーイヤーでありながらポイントスタンディングスで57位とまずますの結果を残したのが宮崎友輔。2年めとなる今シーズンはさらなる活躍が期待されたのだが、初戦を156位、以降65位、65位タイ、119位、166位に終わり、現在のランキングは138位タイ。エンジントラブルなど不運に見舞われた宮崎は2度の賞金獲得を果たしたものの、下位グループから抜けだせない状況が続いている。桐山同様、かつては西部のトレイルを回っていただけに、なんとか100位以内に食い込んでほしいものだ。
 さて、続いて気になるのが上位争い、つまりアングラーオブザイヤー(AOY)の行方だ。現在のところ、首位に立っているのがテキサスの名手、バド・プルーイット。2位にはベテランのショウ・グリズビー、3位はルーキーイヤーのマーク・カイルとなっている。序盤に圧倒的な強さを見せつけたジム・ビッターが13位へと後退し、代わって上位に食い込んできたのが4位のジェイ・イエラスと5位のエルトン・ルース・ジュニアだ。
 興味深いのは、3位のマーク・カイルをはじめとして西部地区のアングラーが健闘している点だ。このカイル以降、7位にジョン・マーレイ、21位にスキート・リース、24位タイにマイク・レイノルズ、34位にマーク・タイラー、39位にイッシュ・モンローがつけている。ジェイ・イエラスはかつてWON BASSのAOYを獲得するなど西部地区で活躍しており、15位タイのゲーリー・クラインも西部出身のアングラーだ。順当にいけば多くのアングラーが西部地区への凱旋を果たすことになるだけに、第7戦、第8戦での活躍に注目が集まりそうだ。ちなみに、マーク・タイラーはB.A.S.S.記録となっている最大魚(14Lb9oz)をカリフォルニア・デルタでキャッチしている。マイク・レイノルズもカリフォルニア・デルタを地元としているだけに、その展開が実に楽しみだ。
 逆にいえば、トップのバド・プルーイットや2位のショウ・グリズビーをはじめとした中部、東部地区のアングラーたちにとって、第7戦、第8戦は大きな山場となるだろう。ただし、第8戦の舞台となるクリア・レイクは湖の規模がさほど大きくなく、サイトフィッシング合戦になる可能性が高い。おそらくはフリップ合戦になるカリフォルニア・デルタでの第7戦さえ無難に乗り切れば、サイトフィッシングを得意とするショウ・グリズビーが上位入賞を果たす可能性も高くなるだけに、中部、東部地区のアングラーが圧倒的に不利な状況になるとは考えづらい。
 いずれにせよ、宮崎や清水をはじめ、100位以降にいるアングラーたちは生き残りをかけたギャンブルに出る可能性も高く、まさにサバイバルレースとなる次回の第6戦は、今シーズンの行方を占う意味でもっとも重要なトーナメントとなりそうだ。
 第6戦の舞台はノースキャロライナ州のサンティークーパー・リザーバー、トーナメント期間は3月20〜23日。果たして、どんなドラマが待ち受けているのだろうか……。