2002/9/9
FLW Tourチャンピオンシップ
プレビュー3:ブラケット・マッチアップについて


 
FLW Tourチャンピオンシップに採用されているブラケット・スタイルについては、昨日「文字ニュース」で解説済みなので、ここでは昨日のマッチアップを基に、大会の見所を解説してみよう。
 
 注目1:ブロック1→ジェイ・イエラス
 昨シーズンのB.A.S.S. Bassmaster Tourにおいて、ジェイ・イエラスは年間ポイント・スタンディングで27位でフィニッシュしているが、Bassmaster Classicでは見事の初優勝を達成している。もし、イエラスがこのFLW Tourチャンピオンシップで優勝すれば、前人未踏の2大Classic(チャンピオンシップ)を同シーズン中に制覇するという偉業を達成する。しかも、イエラスは今シーズンのFLW Tourのアングラー・オブ・ザ・イヤーでもある。注目されないわけがない。そして、イエラスが1回戦でマッチアップしているのが、ハーモン・デイビスである。彼はルーキー選手であるが、今年はルーキーの活躍が目立ったシーズンでもあり、イエラスも気が抜けない一戦となるだろう。
 
 注目2:ブロック2→ケビン・バンダム
 今シーズンの最終戦まで独走態勢でFLW Tourのアングラー・オブ・ザ・イヤー候補になっていたケビン・バンダムは、最終戦でエレキの故障に見舞われ、最終日に残れぬまま最終日を終えた。その結果、当時2位だったジェイ・イエラスが最終日に進んだこととイエラスが好調の成績を残したため、劇的な逆転でバンダムは2年連続の総合優勝を逃した。しかし、彼はどの大会でも注目を浴びる選手である。このまま引き下がっているとは思えない。そして、バンダムの対戦相手はベテラン、マーティー・ストーンである。今シーズン、ストーンは目立った成績を残してはいないが、百戦錬磨の経験がバンダムを上回る可能性は充分に必見したいポイントだ。
 
 注目3:ブロック3→大森貴洋
 昨シーズン、大森貴洋さんは、パーソナルな問題が起こったこともあり不調だった。しかし、今年、彼は見事に復活を果たした。今年2月FLWにおいて35位でスタートすると、B.A.S.S.セントラル戦では2位に、3月FLWで28位、Ranger M-1で5位、B.A.S.S.イースタン戦で15位、セントラル戦6位、4月Bassmaster Tourで9位、イースタン戦で16位、FLWで55位などと昨シーズンは100位以下で終了した大会が多かったことを考えれば、素晴らしい成績といえる。そんな大森貴洋さんは、ビッグバス・ハンターとして知られるディーン・ロハスを迎え撃つ。ロハスは多用なテクニックを駆使するが、ジグが得意な選手である。大森さんもシャローを得意とするが、彼のリーサル・ウエポンはスピナーベイトである。強いていえば、「“縦の釣り”v.s.“横の釣り”対決」だ。しかも、ロハスはアリゾナ州出身ではあるが、現在はテキサス州在住である。大森さんもテキサス州在住ということで、「テキサス・アングラー対決」とも取れる一戦だ。
 
 注目4:ブロック3→ギド・ヒブドン
 体調不良によりトーナメント戦線から脱していたものの、今年見事な復活と遂げたギド・ヒブドンは、言わずと知れたトップ・プロの1人である。その彼が迎え撃つ相手は、フロリダ州のチャック・エコノモーである。彼はB.A.S.S.の大会へ参戦していない。むしろ、FLWが主催するBFL、EverstartとFLW Tourに集中して参戦するアングラーだ。両者にいえることは、ともにフリッパーであることだろう。もし、ヒブドンが勝ち進すみ、同ブロックの大森貴洋さんが勝ち進んだ場合、これはまた意味深い対戦となる。ヒブドン・ファミリーと大森さんとの接点は古く、大森さんがアメリカに渡って以来、孤独だった大森さんを家族ぐるみで支えてくれたという。そのため、このブロック3はある意味、残忍な展開に発展しそうな予感がする。
 
 注目5:ブロック9→アーロン・マーテンス
 同チャンピオンシップ唯一のカリフォルニア州出身の選手として注目したいのが、アーロン・マーテンス。あのスキート・リースに「彼は天才だ」と言わしめる理由には、マーテンスのポテンシャルの高さからだろう。マーテンスの活躍はFLW Tourだけに止まらず、昨シーズンのB.A.S.S.においては、ウェスタン戦総合1位、Classicでは堂々の2位に輝いている。そしてマーテンスの対戦相手が、FLW Tourを主戦場とするロン・キルビーである。彼はFLW Tourに1996年から参戦しているが、同Tourにおいて、いまだ1度も最終日を経験したことがない。すなわち、10位以内でフィニッシュした経験がないということである。だが、彼は安定した成績を残すことで今年を含め5度めのチャンピオンシップにクオリファイされた。また、キルビーはスロー・スターターと言われるタイプで、毎シーズン初戦や第2戦めの成績は思わしくないが、Tourが終盤になるにつれて、調子を上げる選手でもある。もし、このチャンピオンシップに照準を合わせてきているとすれば、台風の目となるだろう。
 
 注目6:ブロック11→全員
 この組では、リック・クラン(11位)v.s.ポール・アライアス(38位)とトム・マンJr.(14位)v.s.ラリー・ニクソン(35位)の2戦が行われるが、誰が上がろうとベテラン・トッププロの潰し合いであるには変わりない。要するに、リック・クランv.s.ラリー・ニクソンの優勝決定戦は絶対にありえない。魔のブロック11である。
 
 明日は、スロット・ルールについて解説予定。