2002/8/5
空飛ぶアジアン・カープが五大湖を脅かす
 
 
アメリカ五大湖エリアの科学者たちは、イリノイ・リバーからレイク・ミシガンに進入するアジアン・カープをどのように防止できるか、またネイティブフィッシュをどのように守っていくかのディベートを収集している。
 カナダ・アメリカ国際共同委員会(国境の利水問題を協議する委員会)はイリノイ・リバーの利水委員会に対して、アジアン・カープがレイク・ミシガンに進入しないためのバリア導入を要求している。しかし、すでに1つめのバリアが使用されており、このバリアには魚が触れると電流が流れる仕組みになっている。第2バリアにも電流、泡、サウンドウェーブなどを使用し、アジアン・カープが進入することを避けようと思案しているという。
 また、アジアン・カープは地元漁師やレジャーで湖を使用する人にも影響を与えている。このアジアン・カープは20ft(約6m)ジャンプすることから、そのジャンプしたアジアン・カープにぶつかって、むち打ち、鼻骨骨折、アザになることは日常茶飯事らしい。リサーチャーの中にはクッキーシート(クッキーを焼くときに乗せる鉄板)や鉄製のゴミ箱でプロテクションをしている人もいる。州関係者は、「ジャンプしている姿は確かに面白いが、1回当たるとその思いも吹っ飛ぶよ」と語っている。また彼はこの第2バリアもあまりいい仕事をしないだろうと述べている。なぜなら「アジアン・カープは電流が流れていることを知っているから、そのバリアの近くに来たらまた20ftジャンプして避けるはず」と加えた。

アジアン・カープの写真(中国産のコイ科ハクレン属の魚?)

↑basswaveの調査によると、Asian CarpとはSilver Carpのことを示すことが多く、Grass Carp(いわゆるコイ)とは異なる。Silver Carpは学名がHypopthalmichthys molitrixであることから、ハクレン、関東でいうレンギョである。Bighead Carp(Hypopthalmichthys nobilis)はコクレン。

 このサイトによると、「アジアン・カープが五大湖に進入しその生態系に影響を与える」ということがメインに書かれているが、多数のリサーチャーや州関係者のコメントも掲載されている。 
 この記事は2002年4月11日に発表されたもので、意外と新しいのでソースとして使用できるだろう。
 
 まず、コイ科ハクレン属の魚(ハクレン、コクレンなど)は現在ミシシッピー・リバーやイリノイ・リバー水系で発見されている。1990年に調査されたときには、1尾すらネットに入らなかったらしい。しかし、10年後に行われたフィッシュ・キル(食物連鎖や生態系に偏りができたときに行う人為的な駆除)が行われた際、死骸の97%がコイ科ハクレン属の魚だったらしい。
 コイ科ハクレン属の魚が広まることで彼らが心配することは、これらの魚の食量にある。基本的に草食性であるため水草や植物性プランクトンを食べるが、あまりの食量と成長の速さから五大湖の水草の減少が懸念され、それは将来的に他の草食魚に多大なる影響を与えると思案された。
 その影響を恐れる理由には、1980年代にヨーロッパから輸入され五大湖にリリースされたzebra mussel(イガイ、カラスガイの仲間)にあった。この貝が大量繁殖したことにより、五大湖の水草と魚に影響が出たという。
 
 現来、コイ科ハクレン属の魚がアメリカに紹介され輸入された経緯には、養殖池に繁殖する水草の削除を考え、コイ科ハクレン属の魚を池に放している。この池の魚が洪水などで溢れた際にメイン・リバーに流れ込んだ恐れが上げられている。
 また、クレッグ・カーネッキー(地元フィッシュ&ワイルドライフ・オフィスのスーパーバイザー)はこの記事の中で、「多くのアジア人は自分たちのカルマを体内で増殖させるために魚を食べてる。そのために、ハクレンやコクレンをリリースしている」とコメントしている。
 
 コイ科ハクレン属の魚が五大湖に入り込まないために、水路を閉鎖することも考えていたらしいが、実際には電力を通したバリアを導入したとある。
 
 そしてこの記事の最後には、「日本から何回か電話があって、彼らはコイ科ハクレン属の魚がマイナスの影響を生んでいることが信じられないらしい。というのも彼らは、これらの魚を何らかのかたちで利用したり、食材にしているらしい。ただし、彼らには彼らの問題があって、他の外来種が生態系を脅かしているらしい。ラージマウスバスだよ」と述べている。