2002/6/26
B.A.S.S Bassmaster Tour v.s. FLW Tourスケジュール

 先日発表された2003年度FLW Tourのスケジュールは、数ヶ月前に発表された2003年度Bassmaster Tourのスケジュールに真っ向からぶつかるものだった。プロアングラーの間では「両団体が生き残りをかけてスケジュールを重ね合うのでは!?」とウワサされていたが、それが現実となった。
 では、ここで両団体のスケジュールを再度チェックしてみよう(左のスケジュールをクリックして、ポップアップを出して欲しい)。
 
 赤色の日程が両団体の大会が重なるものである。B.A.S.S.は2001-2002年度までサーキットを9月〜5月のサイクルで進行させていたが、新フォーマットの導入により、9月〜12月をオープン戦に当て、1月〜5月に全10戦のツアー用スケジュールを発表。今までB.A.S.S.はFLW Tourとスケジュールが重なることを避けてきたが、新フォーマットの導入によって、スケジュールの見直しを敢行した。それがこれである。
 そして先日発表されたFLW Tourのスケジュールには、先に発表されたBassmaster Tourと重なる日程があるため、参戦選手はどちらかの団体を選定し、参戦せざるをえなくなりそうなのだ。
 
 B.A.S.S.がBassmaster Tourスケジュールを年間10戦にした理由として、参戦選手から「賞金だけを考えるなら、年間6戦では少なすぎる」ということだった。新スケジュールにおいて、7戦め以降は175名から100名にカット、9戦め以降はさらに50名にカットして行う形式を採用するが、それでも残りのトップ100、もしくはトップ50に残った場合、それなりにビッグマネーを獲得するチャンスがある。
 しかし、これに勝負を挑んだのがFLWだった。2003年度のツアーを通し、年間48位以内に入った選手は自動的にジェイコブス・カップにクオリファイされる。この大会での優勝賞金は50万ドルであるため、選手にとってこれも美味しいのも現実である。
 
 他に挙げられることは、ESPNとタッグを結成しているB.A.S.S.とTV露出の少ないFLWとの差にある。B.A.S.S.の方式として、スポンサーのパッチを着用したシャツを着てTVに写ることは許されているが、FLWの参戦選手はFLWのメインスポンサー(フジフィルム、ケロッグなど)が用意したシャツを大会3日めから着用しなければならない。
 これは選手自身についている釣り具メーカーなどにとってはデメリットである。選手のパッチがTVを通じて映し出されることは、多大なる宣伝効果を持っているからだ。
 スポンサーといえば、FLW系プロにも痛い選択が突きつけられた。FLW側についているスポンサーの中には、選手にも付いているメーカーがある。ゆえに、Bassmaster Tourに参戦したくとも、メーカーに対するリスペクトやロイヤルな気持ちから、FLW Tourに参戦をせざるとえない選手もいることだろう。
 
 賞金の部分だけをピックアップすれば、FLWの方が安定していると考えられる。1戦1戦のペイアウトが多いことに加え、エントリーフィーをチャージしないため、賞金枠に入った選手たちには、210%のペイアウトがある。しかも、来シーズンの賞金トータルは550万ドルとなり、これは2001年度から比べて100万ドルの増額。賞金だけで考えれば、FLWが群を抜いている。
 
 プロアングラーの収入は、賞金やスポンサーからだけではない。セミナーはフィッシングショーへの出演も大きなな割合を占めている。トッププロのショー・グリズビーJr.は次のように語っている。「セミナーやショーでどれだけ上手くプロダクトを説明できるか、ポテンシャルを伝えられるか、質問に対し的確に答えられるかも、プロとしての仕事である」。大会でよい成績を残していることより、セールスが上手い選手と契約するメーカーも多い。
 アメリカでは各地で時期を問わずショーが開催され、セミナーも多い。Bassmaster Tourは別表にもあるように、5ヶ月間で10戦を計画しており、過密であるため、ショーやセミナーに精力的に出演することが難しい。
 一方でFLW Tourは月1戦ペースであるため、ショーやセミナーにも出やすい。
 
 選手たちは、多数の理由からどちからの団体に参戦することを決定するだろうが、どちからの団体がスケジュールを見直さない限り、潰し合いになるような兆しがある。