2002/4/11
Bassmaster Tour第5戦初日
ランディー・ブローキャットが暫定トップ

 4月10〜13日の日程で開催されるBassmaster Tour第5戦。開催レイクとして使用されるのは、アラバマ州ガンターズビル・レイクだ。同湖での開催は、1997年5月に開催されたイースタン・インビテーショナル以来5年ぶり。同州では“ビッグバス・ファクトリー(ビッグバス生産湖)”として知られる。

 Tour第5戦初日を1位で折り返したのは、2001年度の国際釣り博でメガバス社契約プロとしての来日経験もあるランディー・ブローキャット。本人は「たぶん今日(のウエイト)が4日間を通してベストになるだろう」と語る。プラクティスの状況からは、相当タフなシチュエーションに直面しているとわかるコメントだ。それでも22ポンド10オンスをウエイインした。
 2位には、昨年不調だったものの一昨年はアングラー・オブ・ザ・イヤーの栄冠を勝ち取ったティム・ホートン。「風の影響が少なくなって、バスはミルフォイルにつきだした。でも、逆に大勢の選手が同じテクニックを使用しているみたいだから、これからさらにプレッシャーがかかる」と言う。また、ホートンは、アメリカの人気ソープオペラ・「ジェネラル・ホスピタル」に出演中のリアル・アンドリューズと最終プラを行い、そのエピソードも語った(下記参照)。
 また、同大会には3人の日本人選手も参戦している。大森貴洋さんは初日暫定11位だったが、宮崎友輔さんは114位、桐山孝太郎さんが140位ど大きく出遅れた。
 
Bassmaster Tour第5戦が開催されるガンターズビル・レイクとは!?

 ガンターズビル・レイク(Guntersville Lake)は、アメリカ南部の中でもっとも美しいフィールドの1つといわれる。同湖はアパラチカン山脈を横目に、東テネシー・エリアを水源とするテネシー・リバー(Tennessee River)を堰き止めた「ガンターズビルダム」からなるアラバマ州最大の湖だ。水生植物に富び、山を切り開いた際にできるスタンプも無数に点在する。67900エイカーの広さを持つ湖だが、アベレージの水深が15フィートと、さほどディープなフィールドではない。上流のダム(ニッカジャックダム)から下流のダム(ガンターズビルダム)までは、直線でおよそ76マイル(120 km)。
 前述したとおり、同湖でB.A.S.S.主催の大会が開催されるのは5年ぶりとなる。テネシー・リバー系にはケンタッキーレイクをはじめ、オールド・ヒッコリーなど数多くの有名レイクが存在し、参戦選手は同湖での大会が5年間開催されていなくとも、テネシー・リバーの特徴あるマッディー・ウォーターの状態から、ある程度のパターンは絞り込めているらしい。
 問題とされるのは、テネシー・リバー系リザーバーに多い傾向の1つ“放水”だ。ウェザーフォアキャスト(天気予報)によると、大会中この地区周辺に纏まった降水が予測されていたため、ダムがすでに大量の水を放水していた。大会2週間前の時点でかなりの減水があったらしいが、アングラーたちは「これはテネシー・リバー系リザーバーによくある“減水・増水”の問題で、それも計算にいれてパターンを組むのが本音のところ」と語っている。
 しかし、プラクティスの状況は悲惨なものだった。コールド・フロントの影響で強風がガンターズビルを吹き荒れた。風速30マイルというから、ただものではない。同大会参戦選手の1人、ジェラルド・スインドルは、「普段は天候を言い訳にしないけど、今回はボートを真っ直ぐに向けることで精一杯だった。本戦はキビしくなりそうだ」と語っていたが……。上記ホートンのコメントにもあるように、本戦では雨も降らず、風も落ち着いたようだ。また、この天候変異を受けたダム事務局は放水を止めたため、逆に本戦では水位が高くなってきているという。
 この影響を最初に受けたのはバスだ。強風は続いたが、連日の気温上昇で、バスはスポーニングへと移行の時にあるという。ちなみに、大会最終日までの平均予想水温は14度、平均気温は23度だ。これらのバスを巧みに追い、釣り上げた者が同大会を制するのではないだろうか。
 
 さて、ホートンとプラ最終日をともにしたリアル・アンドリューズ。「ジェネラル・ホスピタル」というソープオペラ(日本でいう昼のメロドラ)のスターが、同大会のアマチュア部門で参戦している。普段からバスフィッシングが好きなようで、「プロと同船して釣り方などを学びたい」と語っていた。普段はアメリカ西海岸を中心にトーナメントに参戦しているという。
 その彼がプラ最終日にホートンを同船し、“リアル・プロ”の手ほどきを目の前に見ることになったが……。「あの日、アンドリューズは4尾で約27ポンドを釣り上げ、ボクは2尾しか釣れなかった」とホートンは初日のウエイイン・ステージで語った。
 これで本戦のウエイトにも期待がかかったアンドリューズだったが、初日は無念のノー・フィッシュ。一方、ホートンは暫定2位。プロとアマの差が目立った初日だった。