2002/12/12
4名の日本人アングラーに注目!
2003B.A.S.S.バスマスターツアー


 
それは、突然かかってきた本人からの電話で明らかになった。
 「あのですね、ツアー、決まりました」。

 そう、そうなのだ。なんと、清水盛三さんは来期からFLW TOURへのフル出場を決めたという。これにより来期は大森貴洋さん、下野正希さんに加えて清水盛三さんと3人もの日本人が出場することになるが、この状況はこのトーナメントが始まって以来初めてだ。B.A.S.S.ウエスタン・オープン、そして今年のB.A.S.S.セントラルオープン。活躍の場を全米へと広げつつある清水さんにとって、FLW参戦は願ってもないチャンスだったに違いない。
 
 「いや、あの、それも出ますけど……。B.A.S.S.のほうにも出れることになりまして(笑)」。
 
 清水さんは、確かB.A.S.S.ツアーの出場権は獲得していなかったはずだ。2001-2002シーズンのウエスタン・オープンでは総合23位。初めてのシーズン参戦で、この成績は決して悪くない。……悪くないのだが、ツアーへの出場権が与えられるのは上位20位までのはずだった。

 「なんかね、繰り上げがあったらしいんですわ。ラッキーでしょ?」。
 たしかに、これまでにもB.A.S.S.はツアー(TOP 100、TOP 150と呼ばれていた時代も含めて)の参加枠において、繰り上げ措置を行なってきた。今回はどのようなケースでの繰り上げだったのだろうか……。そのへんを探ってみよう。

 B.A.S.S.が当初発表していた2003年ツアーの出場権獲得者は下記のとおりだ。

1.2001-2002年度バスマスターツアー年間上位75名
2.2001-2002年度イースタンオープン年間上位25名
3.2001-2002年度セントラルオープン年間上位25名
4.2001-2002年度ウエスタンオープン年間上位20名
5.2002年度ノーザンオープン上位15名
6.2002年度セントラルオープン上位15名
7.2002年度サザンオープン上位15名

 これらを合計すると、アングラーの数は190名。バスマスターツアーの定数は175名なので、オーバーする計算になる。しかし、ツアーとオープンの両方に出場しているアングラーも多く、B.A.S.S.はそれらを見越したうえでこの数字を決定したのだろう。
 事実、2〜7の中で、すでに1の条件を満たしているアングラーは26名。ただし、この26名の中には、重複して出場権を獲得しているアングラーも存在する。それがダニー・コレイア、エドウィン・エバース、トッド・フェアクロス、ブレント・チャップマンの4名となり、実質22名のアングラーがすでに1の条件を満たしていることになる。よって、この時点でツアー参加権を得ているアングラーは166名と、定員を割ってしまうのだ。
 さらに、2〜7の条件を満たすアングラーにも重複が見られる。たとえば、大森貴洋さんは2001-2002年度バスマスターツアーは138位。しかし、彼は2001-2002年度イースタンオープンで年間21位、セントラルオープンで年間11位。
 つまり、2と3のダブルでツアー出場権を獲得していることになる。ちなみに、リック・モリスやジェフ・クリートなども大森さんと同じ条件をもっている。また、経済的な、あるいは体力的な理由でツアー参加を断念したアングラーも存在するため、出場権を得たアングラー全員がツアーに参戦するわけではない。結果的に、上記の出場権獲得者だけでは定員の175名をかなり下回ったことが予想されるのだ。

 ただし、こういった状況は今シーズンに限ったことではない。B.A.S.S.ではこれまでにも同じような状況が起こっており、そのたびにさまざまな方法によって繰り上げ措置が行なわれている。
 たとえば、1998-1999年度のTOP 150の場合。この年はB.A.S.S.のトップカテゴリーがTOP 100からTOP 150へと拡大されたシーズンであり、このために生涯獲得金額が上位のアングラーが繰り上げ措置の対象になっている。その後、2000年のバスマスターズクラシックに出場することになる田辺哲男さんも、この繰り上げ措置によってB.A.S.S.に復帰したのだ。
 また、その後も定員に満たない状況ではTOP 150からの繰り上げ措置が行なわれている。

 現状ではB.A.S.S.の正式発表がないため、残念ながら正確な繰り上げ措置の内容は不明だ。
 清水さんの情報によると、彼と親しいバイロン・ベルビックも、同様に繰り上げの対象になったようだ。ベルビックは、2001-2002年度ウエスタンオープンで年間32位。そのように考えると、各オープンからかなりの数のアングラーが繰り上げされたと思われる。
 2002年のB.A.S.S.トーナメントは、11月21〜23日のサザン・オープンですべてが終了。おそらく、B.A.S.S.はこの時点から2003年のツアー出場者の調整をはじめたのだろう。清水さんに通知が来たのも12月上旬だったようで、まさに彼の出場は急遽決定したことになる。

 このようないきさつもあり、清水さんは1月9日から始まる第1戦の地、フロリダ州ハリス・チェインでのプリプラクティスを行なうことができなかったという。1月6〜8日の公式プラクティスから、まさに“ぶっつけ本番”で彼のルーキーイヤーが始まるのだ。

 この清水さんの参戦が決定したことによって、2003年のバスマスターツアーには4名の日本人アングラーが出場することになった。すでに“常連”の風格が漂う大森貴洋さん。わずか2シーズンにしてツアーからクラシック出場を決めた桐山孝太郎さん。ルーキーイヤーを見事に生き延びた宮崎友輔さん。そして、自らの“強運”でルーキーイヤーに挑む清水盛三さん。

 2003年のバスマスターツアーはいよいよ来月、1月9日にその幕を開ける。
 この4名の日本人たちに、ぜひ注目してほしい。