2002/11/12
メリーランド州のスネークヘッド、駆除される

 11月7日の「文字ニュース」で掲載したアメリカ・メリーランド州のスネークヘッドの件だが、その後、同魚は発見された池に薬物を流入することで駆除された。
 厳密には2種類の除草剤(フィッシュ・キルに用いられるタイプのもの)を池に流し込み、水中内の溶酸素濃度を低下させることで駆除したようだ。
 
 州の生物学者によると、6尾の成魚と1000尾の幼魚を4エーカーの同池から取り除いた。発表によると、これらの親魚は2年前に同池にリリースされたもので、リリースした人(名前は公表されていない)は、ニューヨークのマーケットで2尾のペアを購入したという。Maryland Department of Natural Resource(DNR:メリーランド州天然資源課)は駆除が行われた後、同池で電気ショックによる生態調査を行ったが、結果としてはすべての生魚は1つも棲息していなかったという。
 駆除に使用されたfish poison rotenoneと呼ばれる薬物はある程度の水温があれば自然分解する性質を持っているが、雨と曇り空の影響で思うように水温が安定せず、分解が遅れていた。そのため、DNRはpotassium permanganateという薬物を導入して池内の水をニュートラルにさせるところまで進んでいるらしい。
 
 現在のところ、同池のスネークヘッドが近くに流れる河川に逃げ出したようすはない。また、念のため、同池の隣接する小さな池2つでも同様の駆除対策がなされた。
 今後、同池ではまたテストが行われ、魚が棲息していないことを確認した後、来春メリーランド州のネイティブフィッシュをリリースする予定だという。
 
 このrotenoneという薬物は、アメリカ国内で頻繁に行われるフィッシュキルに用いられるもので、たとえ人間や動物がそれらの薬物が混入する池で獲れた魚を食べたとしても、影響はないといわれている。
 
 ただし、同池に対して薬物を使用することが決定するまでには、多くの論争が巻き起こったという。理由は、1997年にカリフォルニア州レイク・デイビスでノーザン・パイクを駆除した際に、このrotenoneが用いられ、その結果、それが地下水に侵入し大きな問題となったからだという。また、そのレイクから流出する河川の下5マイルまでの魚をすべて殺してしまった事実もあるからだった。もちろん、同湖に隣接する都市の水道水にも影響を及ぼした。そして、5年後、同湖にはまたパイクの生態が確率された。つまり、同湖においては、rotenoneですべてのパイクを駆除することができなかったのだ。
 しかし、DNRは「これと同じことは、メリーランド州では起こらない」とし、rotenoneの使用に踏み切ったという。
 
 これらのソースは、ワシントンタイムスのこの記事、ENNのこの記事、CNN.comのこの記事を参照にしました。