2002/10/16
LMBVをミシシッピー・リバー上流で発見

 
U.S. フィッシュ&ワイルドライフ・サービス(The U.S. Fish and Wildlife Service。:以下FWS)のラクロス・フィッシュ・ヘルス・センター(LaCrosse Fish Health Center:以下LFHC)は、年に1度行われるフィッシュ・サンプリングテスト時にラージマウスバス・ウィルス(Largemouth Bass Virus:以下LMBV)をミシシッピー・リバー上流のプール3エリアと7で識別したことを発表した。FWSとそのリサーチチームは、LMBVがどれぐらい広範囲にわたるか決定するために現在も共同で調査を進めているが、州の生物学者は、現在のところはまだ安全であることを既存の調査結果に基づいて指摘した。
 ただし、これはミネソタ州とウィスコンシン州の領域では、初のウイルス確認であることは明確である。プール3はエリア的にはミネソタ州になり、プール7はウィスコンシン州になる。
 プール3ではLMBVがスモールマウスで識別され、プール7ではラージマウス、スモールマウス、ホワイトバス、ロックバスで見つかっている。同じようにプール4やプール9でもフィッシュ・サンプルが収集されたが、LMBVの症状は見られなかったという。
 「我々はこのウイルスがミシシッピー・リバーのバスにどれほどの影響があるのかを決定するには、まだ早い段階にいる」とLFHCのプロジェクト・リーダーのリック・ネルソン は言う。「ただし、その影響力をこれからも調査し続ける」と加えている。
 
 これは、年に1度のナショナル・ワイルド・フィッシュ・ヘルス調査を行ったときに識別した結果で、調査は1997年からはじまった。それ以来、アメリカ全土に生息する魚の健康状態や病気の分布を調査している。このLMBVがどれほど広がっているか、どれほどバスに影響があるのかについては、いまだ明確にはわかっていない。大規模なテストはこれまでの数年間にはじまっただけで、それの研究についてはこれから広い範囲で行われる予定。
 
 ネルソンは、「LMBVは自然界で魚に感染するウィルスの1つで、温血動物には感染しない。(温血動物とは、恒温動物・定温動物のこと。外界の温度変化にかかわりなく常にほぼ一定の体温を保っている動物の総称。鳥類・ほ乳類がそれにあたる)」。
  LMBVは1995年、サウス・キャロライナ州のリザーバーで大量のバスの死骸が湖面に浮かんだことからはじめて識別された。生物学者はこれまでにLMBVの分布を17州で確認している。当初、北の寒い地方ではウィルスが発生しないと考えられていたが、現在ではイリノイ州、インディアナ州、ミシガン州でも発見されている。
 
 ミシシッピー・リバーでの調査で陽性反応が検出された後、FWSはウィスコンシン州内にあるジオナ・ナショナル・フィッシュ・ハッチェリー(バスの人口孵化場)で飼われている親魚を調べてみた。その結果、ラージマウスとスモールマウスからウィルスが検出されたという。
 ミネソタ州デパートメント・オブ・ナチュラル・リソーシズ(Minnesota Department of Natural Resources:MDNR)によれば、過去2年間にハッチェリーでウィルスが検出された記録はないが、現在州内にある12の試験場での調査を今後強めていく方針を打ち出している。
 また、「大量のバスの死骸があった」とMDNRに報告が寄せられていることから、LMBVとリンク付けた調査を進めているらしい。
 
 ネルソンによれば、「このウィルスはバスに多く発生し発病しているが、見ためには感染しているかが判断しにくい。たとえば、感染していたとしてもそれが病気として発症しない場合もある。今の段階では、この病気が発生していると決める必要はない。ただし、何かの影響でこのLMBVが一気に発症する可能性はある」と語っている。
 このウィルスが発病するストレスの要因として、ネルソンは僅年の高水温現象を挙げている。その他には水質悪化、数度にわたって釣り上げられてできた外傷も挙げている。また、これらの要因に当てはまらないエリアで採取されたバスからは、LMBVの症状がみられないという。
 ネルソンは、「LMBVを持っているラージマウスバスは、表層近くで泳ぎづらそうにしているか、真っ直ぐな姿勢を保てない症状を示すことが多い。傾向として、LMBVは魚の浮き袋に影響するものなのかもしれない」と語っている。

これらの詳細のソースは:ミネソタDNRU.S. フィッシュ&ワイルドライフ・サービスバスマスター・ニュースから引用。